3日現在、プログラミング言語「Ruby」の最新安定版はRuby 1.8.6だ。現在開発中でありデベロッパ版として公開されているのはRuby 1.9.0だが、同バージョンは実行速度が大幅に向上する新バージョンとして関係者の注目を集めている。

すでにいくもの動作報告がおこなわれているが、rubychan.deにおいて公開されているベンチマーク結果「Benchmarks: Ruby 1.8 and Ruby 1.9」によると、いくつかの項目でRuby 1.9.0の方の結果が遅くなっているが、それ以外のほとんどの項目でRuby 1.9.0がきわめて優れた性能を発揮しているという(Mac OS X、Core Duo 1.83GHz/2GB RAM - Ruby 1.8.6 vs Ruby 1.9 revision 13745)。

Antonio Cangiano氏のブログによると、再帰処理と関数呼び出しを使うストレステストとしてフィボナッチ関数を使った簡単なベンチマーク試験を実施したところ、Ruby 1.8.6で159秒弱、Ruby 1.9.0で12秒弱、Python 2.5.1で32秒弱と、Ruby 1.9.0がPythonを上回る性能を出したと報告されている。

ベンチマークの結果が実際のアプリケーションの実行速度にそのまま反映されるわけではないが、多くの結果で数倍から十数倍の実行速度向上が測定されており、1.8.6から1.9.0への移行で充分に期待できる速度向上が実現されるのは確実といえそうだ。1.9.0の正式版は2007年12月末ごろにリリースされるのではないかとみられている。

Ruby実行環境をJavaで実装したJRubyは開発中のバージョンで大幅な実行速度向上を実現しており、いくつの性能改善余地を残した現状でさえきわめて良好な結果を出している。RubyおよびJRubyとも、次期バージョンはパフォーマンスの向上が大幅に期待できるものになりそうだ。