調査会社の米IDCは11月29日(現地時間)、2007年第3四半期(7-9月期)の世界のサーバ市場報告を発表した。同四半期の市場全体の売上は131億ドルで、前年同期比0.5%アップの微増となっている。6四半期連続のプラス、Q3の売上としては2000年以来の最高水準を記録したものの、成長の鈍化がみられる。一方で出荷台数成長率は前年同期の7.8%から微減の6.3%となった。今期のハイライトとしては、Q2のデータでメーカー別シェア3位のSunと4位のDellの順位が再び入れ替わり、Dellが売上/シェアともに躍進していることが挙げられる。

市場全体のトレンドとしては、ボリュームゾーンと呼ばれるx86システムなどを含むエントリーレベルのサーバの伸びが顕著だ。年率の成長幅は8.1%で、過去2年間で最高を記録した。一方で引き続き不調なのがミッドレンジサーバの分野で、昨年比2.2%のダウンと、2四半期連続での減少となった。またサーバ統合や仮想化ブームを受けて好調だった大規模サーバも、今期の調査では減少に向かっている。減少幅は昨年比で14.5%マイナスと大きく、過去5年で最大規模の減少となった。今期のメーカー別売上では大規模サーバを得意とするIBMやSunがシェアを減らしており、こうしたトレンドの影響を少なからず受けたものとみられる。特にSunの売上の減少が顕著で、Dell躍進の一因ともなっている。

米IDCエンタープライズプラットフォーム部門バイスプレジデントのMatt Eastwood氏は「x86、ブレード、UNIXサーバが好調な一方で、他の分野が冷え込む四半期だった」とコメントしている。また景気減速を懸念したシステム投資の冷え込みで、新しいトレンドを模索する段階に入りつつあるとも同氏は指摘する。

2007年第3四半期の世界のサーバ市場 (売上の単位は百万)

ベンダー 3Q07売上(シェア) 3Q06売上(シェア) 前年同期比
IBM $3,933(30.00%) $4,299(33.00%) -8.50%
HP $3,751(28.60%) $3,401(26.10%) 10.30%
Dell $1,582(12.10%) $1,394(10.70%) 13.50%
Sun $1,336(10.20%) $1,324(10.20%) 0.90%
Fujitsu/Fujitsu Siemens $706(5.40%) $690(5.30%) 2.30%
その他 $1,790(13.40%) $1,930(14.80%) -7.30%
合計 $13,097(100%) $13,038(100%) 0.50%

OS別では、MicrosoftのWindowsが53億ドルで前年同期比9.7%のアップ。サーバ売上全体のシェアでは40.4%となり、引き続き最大勢力の座を維持している。Linuxも引き続き2桁水準の成長を維持しており、10.7%成長の18億ドル、市場シェアは13.4%となった。前回は減少だったUNIXサーバも再び盛り返し、今期は4.1%の成長となった。特にハイエンド分野での伸びが強く、市場全体でのシェアは41億ドルの31.1%である。一方で5四半期連続で堅調な成長を続けていたIBMのメインフレーム「System z」は、今期は31.9%の減少と大幅な落ち込みを見せた。

また前述のように、今期のトレンド牽引役はx86サーバだ。成長率は9.1%で、72億ドルの売上。これは史上2番目の成長記録となる。また出荷台数ベースでは7.8%増の1900万台となる。この分野のトップはHPで33.3%の売上シェア、次いでDellの21.8%となる。またブレードサーバも好調で、成長率は41.4%と最も大きい部類に入る。シェアトップはHPの42.1%で、次いでIBMの32.9%である。