韓国2位の通信会社であるHanaro Telecomが、携帯電話事業者のSK Telecom(以下、SKT)に買収されることになりそうだ。

SKTは14日、「SK Telecom、Hanaro Telecom買収関連 優先協議対象者に選定される」という告知を発表した。これにより今後SKTは、Hanaro Telecomの持ち株を買収するための本格的な協議を始めることとなる。

現時点でHanaro Telecomの大株主は、AIG-Newbridge TVGコンソーシアムだ。同コンソーシアムではかねてから、Hanaro Telecomの持ち株38.9%を売却する旨を明らかにしており、その作業を主管する企業としてゴールドマンサックスを指定。これによりゴールドマンサックスが、Hanaro Telecomの持分売却のための作業を推進していた。しかし14日の公式発表までは、具体的にどの企業に売却されるのかまで明かされず、噂や推測が飛び交っている状態だった。

一時はSKTの公式発表を待たないまま、SKTに売却という噂がまことしやかに流れたが、同社ではこれを否定し、まだ未定であるという立場を貫いていた。そんな中、やはり本命はSKTということで一段落ついた形だ。

とはいえこれにより、SKTへの売却が本決まりとなったわけではない。今後、社内で買収条件などを決定して政府機関による審査を経なければならないほか、SKTの株主などからも認可を得る必要がある。買収額についてもまだ未定であるため、今後の話し合い次第ではHanaro Telecomの行き先が変わる可能性がないともいえない。

今回のような展開に対して韓国では「やはり」とった反応が多い。SKTは携帯電話に関しては韓国1位の最大手であるが、固定回線を自社で持ち合わせていない。おりしも同社ではこれから有・無線統合型サービス(固定回線と無線、双方を連携したインターネットサービス)を活発化させようと、技術開発や他社買収を盛んに進めている。このサービスを軌道に乗せるには、どうしても自前の固定回線が必要なわけだ。それには韓国2位の通信会社であるHanaro Telecomの持分売却話はうってつけだったといえる。

今回の買収が成立すれば、韓国最大手通信会社のKTと、その子会社のKTFという"KT陣営"や、同じく通信会社のLG Powercomと、グループ企業で携帯電話事業者のLG Telecomという"LG陣営"とも対等に戦えるだけの土台ができることとなる。韓国の通信市場で三つ巴の争いが繰り広げられることとなり、競争はいっそう熾烈になっていきそうだ。