SNSサービスの「Cyworld」や、ポータルサイトの「NATE」を運営するSK Communications(以下、SKC)は、大法院(日本で言う最高裁判所)とコンテンツ情報共同活用のための協定を締結したと発表した。

これによりSKCが運営しているNATEや、同社が買収/合併した検索サイトの「empas」、そしてCyworldでも、大法院による判例情報を検索できるようになった。大法院が自らの判例情報を、民間企業のポータルサイトと手を組んで提供するのは、韓国ではこれが初めてだという。

手始めにSKCでは、1945年以降の判例の中から、大きな話題となったものや、重要な内容を含んでいるもの約12万8,000件を選別。最初はこれらのうちの約5万件を、自社Webサイト上で検索できるようにするという。残りの判例についても、順次公開していく予定だ。

今後は、NATEかempas、あるいはCyworld内にある「大法院 総合法律情報」で、多角的な面から判例を検索できる。例えば、「医療法違反」といったキーワード検索はもちろん、「商法 第3条」などといった各法律条項を指名しての検索も可能だ。また、判決が下された日や時間、最高裁判所/高等裁判所などの担当裁判所別、事件の種類別など、細かな条件で目当ての判例を探すことができる。

検索された判例には、判例の概要と全文のほか、参考にできる判例や文献、条文などの周辺情報も表示される。

こうしたサービスは、専門家や研究者だけが利用するものと思われがちだが、いつどこで事件に巻き込まれるか分からないのが世の常だ。例えば、韓国では、女性の間で整形手術が盛んに行われているが、それだけに医者が無免許だったなど、整形外科にまつわる事件もまた多い。

被害者がこうした事件を法廷に訴えたいと思った際、まずはインターネットで似たような事件の判例や医療法などについて調べることとなる。しかし、これまでの検索では、各サイトに掲載された法律や判例の情報がバラバラにヒットしていたため、それらをまとめるだけでも一苦労だった。それが、今回の判例検索サービスにより、統一されたかたちで閲覧できるようになるというわけだ。

SKCでは「大法院の判例や文化財、図書館や特許など、日常生活に必須の専門分野情報まで、1つの検索語入力で多角的な情報を探せるようにしたい」と、今回の検索を提供した理由について語っている。

SKCでは2006年にempasを買収したのに続き、2007年6月に合併することを宣言した。そして11月2日に、同社と合併した法人体制で新たなスタートを切っている。

合併を決定した際、SKCではその理由の1つを「次世代検索トレンドをリードするため」と述べている。実際、合併した新法人には「Cyworld事業本部」「メッセンジャー事業本部」「検索ポータル事業本部」の3部が新設されており、同社がどの部門に注力していこうとしているのかが垣間見える部署整備となった。

そしてこうした意思を反映するかのように、Cyworldにはインターネット検索ができるキーワード入力欄が新たに設けられ、ここで検索するとNATEやempasと同様の検索結果が出てくるようになっている。

今回の判例検索は、Cyworldやメッセンジャーなど、気軽に利用できるサービスで頭角を現してきた同社が、今度は実用的なサービスでも検索ポータルとしての地位を固めようと努力している様子が見える。新体制となった、NATE/empas/Cyworldの進化はまだまだ続きそうだ。