Red Hatは5日(米国時間)、2つのアグリーメントを発表した。ひとつは「Contributor Agreement」だ。Red HatのエンジニアがSun Microsystemsの運用しているオープンソースソフトウェアプロジェクトに参加して成果物をコミットできるようになった。もうひとつは「OpenJDK Community TCK License Agreement」。こちらはJava SEの仕様をチェックするためのテストスイートにアクセスできるようになるというものだ。

この2つの契約が意味するところは、端的に言えばRed HatのエンジニアがOpenJDKの開発に参加したり、互換性の保証されたJDKとJREをRed Hat Enterprise Linux向けに開発できるようになったということだ。これまでSunはJavaの開発を徐々にオープンにしながらも、最終的な制御権は保持したままでいた、という背景があり、今回のアグリーメントは、Javaの開発が新しいフェーズに入ったことを意味している。

今回の発表により、Red HatはOpenJDKの成果物をベースにして、Red Hat Enterprise Linux向けのJDK/JREが開発できるようになる。これまでよりもJavaの開発がオープンになったと言えるだろう。

Red Hatは6月7日(米国時間)にフルOSSのOpenJDK構築プロジェクトThe IcedTea Projectを発表。発表当時のOpenJDKはビルドするにあたっていくつかのバイナリプラス("binary plugs")を必要としていたため、同プロジェクトでは、それをOSSコンポーネントで置き換え、完全にOSSで構築されたOpenJDKを開発することを目指していた。今回のアグリーメントは、IcedTeaとOpenJDKのマージが進むことを示唆している。

発表内容にはIcedTeaで取り組まれた成果物がそのままOpenJDKにマージされるかどうかまでは明記されていないが、発足当時に「最終的にはマージしていく」ことを謳っていたことから察すると、IcedTeaの成果物の多くがマージされていくのではないかと予想される。OSSのみで構築されたOpenJDKの登場がまたひとつ確実なものになったと言えるだろう。