著作権侵害を中心とした知的財産権侵害対策を行っている中国国家版権局はこのほど、海賊版への対策に特化した行政機関「国家版権局反海賊版摘発センター」を開設した。同センターでは、専用の国内向け電話番号とメールアドレス(jubao@ncac.gov.cn)を公開し、海賊版に関する相談・通報などを受け付ける。同センター設立が、国内外で強く批判されてきた中国の海賊版問題をどの程度改善できるか注目される。

中国では、知的財産権に関わる法律や制度が整備されつつあるが、知的財産権保護の重点は「正しい市場秩序を維持する」ことに置かれている。このため、政府が主導的役割を果たすだけでなく、社会各層の積極的な協力が欠かせないという認識で国内の見方は一致している。

反海賊版摘発センターの設立と並行し、国家版権局は中国国務院傘下の知的財産権保護ワーキングチームの要請により、財政部の支援を受け、「知的財産権侵害摘発・調査・処分奨励基金」を設立した。同基金は、重大な知的財産権侵害案件の摘発、調査、処分活動に大きく貢献した企業や個人を奨励する目的で設けられた。また、こうした奨励活動を効果的に展開していくため、国家版権局は財産権侵害案件の摘発、調査、処分に関する行政法規も定めた。

同法規によると、重大な知的財産権侵害案件の摘発、調査、処分に大きく貢献した企業や個人に対し、今後奨励金を支給する。奨励金の額は、企業などの場合は10万元以下、個人の場合は1万元以下となっている。全国規模で影響力の大きい案件の場合は、金額を上積みするという。