産経新聞社代表取締役社長 住田良能氏(右)とマイクロソフト代表執行役社長ダレン・ヒューストン氏

産経新聞社と産経デジタルは10月1日、マイクロソフトと共同でニュースサイト「MSN産経ニュース」を立ち上げる。コンセプトは「ウェブ・パーフェクト」。速報だけでなく質と量を求めるネット報道を目指し、紙面優先だった特ダネも積極的に掲載していく。今回の提携によって産経側は情報配信ルートの増加によるPV(ページビュー)強化を期待するとともに、マイクロソフトは各種機能を同サイトに提供することで同社のWeb関連技術をアピールできるとしている。現行サイトの「Sankei WEB」は9月30日で終了する。

25日に行われた新サイト説明会では、他サイトとの差別化について紹介された。読者の関心度の高いニュースをトピックスとして提供。オープン時には200以上のトピックスを用意する。また、一般的に1~3カ月だった記事掲載期間を原則6カ月間に延長。トピックスの主要記事には掲載期間を設けず、記事を長く読めるようにする。写真素材は壁紙サイズ(最大1,024×768ピクセル)の大きなものを用意するという。なお、産経新聞グループが運営する「iza」との差別化も課題となるが、読者層に合わせてMSN産経ニュースに適した記事の扱い方や構成にしていく。

サイト機能については、「Live Search サイドビュー」を導入した。記事内のキーワードにマウスオーバーすると、ミニウィンドウがポップアップし、Webや画像検索の結果を表示。関連記事にすばやくアクセスできる仕組みとなっている。また、「Windows Live Messenger」機能を組み込み、誰とでも手軽に記事を共有できるようにしたほか、Windows Vista向けの機能として、MSN産経ニュースを表示するサイドバーガジェットを提供する。

「MSN産経ニュース」のサイトデザイン。オープン記念として「インターネットが変えたもの」「記者は見た 世紀の事件」の2連載を開始

サイドビュー機能を組み込んだ。記事中のキーワードからすばやく検索できる

誰かに記事を教えたいときに便利なインスタントメッセージング機能「メッセする」

Windows Vista用のサイドバーガジェットを提供。デスクトップ上から記事をチェックできる

説明会では、紙とネットの異なるメディアに対する棲み分けについても触れられた。「原則としてスクープも新聞を待つのではなく、随時ウェブのほうに流していく」(産経新聞社社長 住田良能氏)、「出し惜しみをなくし、紙面に掲載できなかった記事も出していく」(産経デジタル取締役 近藤哲司氏)。紙面かウェブかの判断は両媒体の統合編集長(4人交代制)が行うが、「ウェブ・ファースト」という考えが何度も強調された。また、阿部雅美産経デジタル代表取締役社長は新サイト立ち上げについて、「記者の意識が(ネット報道への関心が高い)時代に合致したものに変わっていくことを期待する」と、社内の意識改革にも狙いがあると語った。

毎日新聞社から産経新聞社へとパートナーを変更するマイクロソフトだが、今回の件は「我々から持ちかけた」(マイクロソフト執行役オンラインサービス事業部事業部長 笹本裕氏)。同社代表執行役社長ダレン・ヒューストン氏は「マイクロソフトは3カ年計画で日本におけるデジタルライフスタイルの向上に取り組んでおり、情報伝達におけるWebの重要性を認識している産経新聞社と提携することで、一般消費者により革新的なデジタルライフを提供できる」と語った。