登壇者。写真左より、福岡俊弘氏(アスキー)、粟飯原健氏(電通)、水口哲也氏(キューエンタテインメント)、真島理一郎氏(IDIOTS)

電通は23日、米Linden Labが運営する「セカンドライフ」内に24日オープン予定の「バーチャル東京」に関するプレスプレビューを開催した。バーチャル東京は、電通が区画、整理する16SIM(セカンドライフ内の土地単位)の空間を持った仮想都市。様々なイベントを開催したり、企業が出店する基盤を用意したりする。街のデザインや設計は、ゲームデザイナーの水口哲也氏(キューエンタテインメント代表取締役CCO)が務める。

プレスプレビューでは、バーチャル東京の今後の展開についてパネルディスカッションが行われた。バーチャル東京の総合プロデューサー水口氏、粟飯原健氏(電通 メディア・コンテンツ本部メディア・コンテンツ計画局)、「スキージャンプ・ペア」の制作者である真島理一郎氏らが参加した。

その中で、「東京のエネルギーやポップさ、ユーモア」(水口氏)をバーチャル東京に表現できるコンテンツとして、二人一組でスキージャンプをする映像で人気を博したスキージャンプ・ペアの競技化が発表された。9月中旬からバーチャル東京内にジャンプ台、東京シャンツェを開設。セカンドライフ内の住人とペアを組み、スキージャンプ・ペアを楽しめるようにする。国際大会も定期的に開かれる予定。登壇者からは、リンデンドルで賞金を出したり、名ジャンプのダイジェスト映像を「YouTube」などで公開して投票したりする仕掛けはどうかといった意見も出た。なお、水口氏はコンテンツ開発現場の盛り上がりを「メディアが誕生する黎明期のよう」とし、さらにゲームの中でやってきたことができそうだと、セカンドライフへの期待を語った。別の構想として、スクリプトを中心としたアートを集めた「東京ポップミュージアム(仮)」を開設し、寄付金(リンデンドル)を集めて現実のミュージアムを作るというアイデアも披露された。

スキージャンプ・ペア

バーチャル東京スタジアム

村井純氏(慶應義塾大学常任理事 兼 環境情報学部教授)

粟飯原氏からは、世界陸上(開催期間:8月25日~9月2日)の関連イベントも紹介された。24日(12時)から仮想陸上競技場「バーチャル東京スタジアム」を開設。24日(12時)~9月1日(12時)は、100メートル走、400メートル走、砲丸投げ競技を仮想体験することができる。9月1日(20:00~22:00)はマラソンが開催される予定。このほか、慶應義塾大学環境上学部教授 村井純氏が登壇し、インターネットの未来像と同大学の取り組みについて講演。人間社会そのものをバーチャルスペースに取り込もうとするセカンドライフの試みに対する興味や、人類全体が(十分な速度をもって)対話できる空間を実現しようする技術的な意義について語った。バーチャル東京には9月下旬以降、電通との共同研究拠点「慶應義塾大学セカンドライフキャンパス」が開設予定となっている。

9月下旬以降には国内企業の出店を予定。1年以内に30社ほどの出店を見込んでいる。単なる広告出稿でなく、セカンドライフの特性をいかした提案をしていく。社会インフラの構築に必要な企業などにアピールしているという。出店料と店舗制作費を基本としたビジネスモデルを採用し、集客施設では協賛を募っていく。バーチャル東京内での物販は、リンデンドルの取り扱いについての課題があることから当面は行わないとのことだ。また、セカンドライフの第三世代に向けて、フランチャイズシステムやポイントプログラムなどのインフラを構築中であることも発表された。