LenovoがPackard Bellを買収へ - コンシューマ市場強化で世界戦略を再構築

 

このところ、中国のパソコンメーカ最大手であるLenovoグループの動きが激しい。先日、好調な第1四半期の財務レポートを発表したばかりだが、今度は欧州市場パソコン大手のPackard Bellグループの買収交渉に入ると宣言し、世界を驚かせている。

2004年末のIBMのパソコン部門買収後、世界市場での苦戦が続きリストラまで行ってきたLenovoだが、ここにきて再び攻勢に出たと言えよう。しかし、なぜこの時期にPackard Bellを買収するのか。その裏にあるLenovoの戦略とはいかなるものか。

IBMのパソコン部門の統合で勝利宣言

IBMのパソコン部門を買収して世界中を震撼させたLenovoだが、その後の2年間は苦しい経験を余儀なくされてきた。中国のパソコンメーカの雄であるLenovoといえども、天下のIBMが相手ではそれまでとは勝手がまるで違ったのだ。企業文化の違いや欧米市場でのブランド力の弱さから海外市場のシェアが下落し、世界規模のリストラを余儀なくされることにもなった。しかし、ここがLenovoの真骨頂といえるのだが、逆境の中、IBM関連部門との融合をバランスよく進めつつ世界規模のサプライチェーンを再構築した。そしてインドをはじめとする新興市場でも徐々に橋頭堡を築き上げ、再進撃の準備を整えるのに余念がなかった。

ここへ来てようやく統合作業がスムーズに進められ、その効果も出始めた。直近では第2四半期の財務レポートも業績の反転を示している。8月初め、CEOである楊元慶氏がIBMのパソコン部門の統合が一段落した「勝利宣言」を出した。それからわずか1週間も経たないうちにPackard Bellグループ買収交渉を発表した。その決断力には感心するしかないが、ある意味、非常に妥当なタイミングであると言える。

脆弱な欧州市場へのてこ入れ

かつては、NECの傘下に入ったこともあり日本人にも馴染深いPackard Bellグループ。世界市場でこそそれほどのメジャーではないが、欧州市場においてはブランド力もあり、シェアでも上位に食い込んでいる。それに対し、Lenovoグループは圧倒的な強さを誇るグレートチャイナを除いても、欧州市場での業績がアジア太平洋や米州よりも遥かに劣っており、影が薄いと言わざるを得ない。

しかし欧州市場はアメリカと並ぶ世界最大規模の市場である。メジャー志向のLenovoにとっては避けて通れない市場と言える。しかし、短期間に単独での市場開拓を遂行することが並大抵の努力ではできないことをLenovoは百も承知している。Lenovoにとって、中規模ながら影響力のある地元メーカを買収することが欧州市場攻略の近道になる可能性は大きい。そこに大株主が同じ中国系のLap Shun Hui氏であるPackard Bellが格好の標的として浮上してきた。すでに排他的な買収交渉に入っているLenovoが、仮に買収交渉に成功すれば、Packard Bellのブランドを手に入れ、販売チャンネルを一気に増強することができる。Lenovoにとっては欧州での事業を一気に拡大する契機になると同時に、グローバルネットワークをより強固なものにする絶好のチャンスである。間違いなく慎重に交渉を進めていくことだろう。

Lenovo対Acer、世界3位の座を巡る熾烈な戦い

LenovoのPackard Bell買収劇の背後には、台湾のパソコンメーカ最大手であるAcerの影が見え隠れする。過去2年間、LenovoがIBMのパソコン部門の統合で手間を取られていた間、Acerが猛烈な勢いで成長してきた。特に欧州市場でのマーケットシェアは10%を占め、その業績が突出している。2006年のパソコン世界市場シェアにおいて、Acerは限りなくLenovoに接近していた。Lenovoは辛うじて世界3位の座を守ったが、いつ逆転されてもおかしくない「僅差」だった。数ヶ月前、AcerがPackard Bellを買収するという噂が世間を駆け回ったとき、もっとも恐怖感を覚えたのはLenovoだっただろう。

Packard Bellの買収合戦でAcerに勝利を収めれば、Acerの拡大を当面阻止できるだけでなく、主戦場である欧州市場で相手に打撃を与えられる――これはまさに一石二鳥である。現時点で見るかぎり、Lenovoは優勢のようである。結果はともかく、いずれにしてもLenovo VS Acerの「世界3位」を巡る熾烈な攻防はしばらく続きそうである。

海外のコンシューマ市場増強を狙う

もともとLenovoは中国国内市場においてコンシューマ向けパソコン分野で無類の強さを誇り、確固たる地位を確立してきた。しかし海外ではブランド力や知名度がアキレス腱となり、そのノウハウを発揮できない状態だった。それは、法人向けが強みのIBMのパソコン部門を買収しても基本的には変わらない。

世界のコンシューマ向けパソコン市場は、法人向けより高い成長率で増大し続けており、極めて重要な市場である。ここで特徴のある製品を出し、コンシューマ向けパソコン市場に強いPackard Bellを買収すれば、欧州市場でのコンシューマ向け事業の弾みになるのは間違いない。

Packard Bellのブランド力や販売チャネルに、Lenovoがグレートチャイナで培ってきたノウハウを掛け合わせれば、ルーツであるコンシューマ向けパソコンのビジネスモデルを海外でも開花できるとLenovoは考えている。

欧州市場を足場に、さらにアメリカやほかの地域へ横展開し、世界規模のコンシューマ向けパソコン市場への進出を加速する思惑である。法人向けの「Thinkpad」やコンシューマ向けのLenovo、Packard Bellの両輪体制を築き上げれば当面のライバルであるAcerの追撃を退け、さらにHPやDellの2強を脅かすことも現実味を帯びてくる。

2年前、IBMのパソコン部門の買収で世界を驚かせたLenovoは、「防戦」から解放され再び攻勢に転じた。世界市場はその次の一手を固唾を飲んで注目している。



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