日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は14日、同社が提唱するクライアント統合ソリューション「HP CCI(Consolidated Client Infrastructure)」を強化することを発表。その一環として、ブレードPCの新製品「HP bc2000ブレードPC」を同日より販売開始することを明らかにした。

HP CCIは、リモートクライアント(シンクライアント)型のソリューション。現在PCが担っている役割の大部分をサーバ側に移して管理するというもので、ユーザーはネットワーク経由で各種のアプリケーション/データを利用することになる。

HP CCIは、以下の4つの層によって実現される。

  • アクセスティア(Access Tier): ユーザーが直接触れる入出力端末。ユーザー側に配備される。
  • コンピュートティア(Compute Tier): 演算処理装置。サーバ側に配備される。
  • リソースティア(Resource Tier): データ管理装置(ストレージ)、ネットワークプリンタなど。サーバ側に配備される。
  • マネージメントティア(Management Tier): ユーザープロファイルやアクセス管理、稼働状況の監視などを行う装置。サーバ側に配備される。

通常のPCを使用する場合とは異なり、演算処理装置やデータ管理装置をサーバ側で一元管理できるため、運用/管理コストの削減につながるうえ、セキュリティが強化されるという特徴がある。また、コンピュートティアにはブレードPCやハイパーバイザーなどが利用されることが多く、OSの変更が簡単に行えるといったメリットも生じる。

今回発売された「HP bc2000ブレードPC」は、同ソリューションのコンピュートティアを担う製品。同製品は、同社が提供しているブレードPC「HP bc1500ブレードPC」の後継に当たるもので、パフォーマンスの改善、Windows Vista Businessを標準搭載、といった変更が加えられている。また、8月には、デュアルコアCPUを搭載した「HP bc2500ブレードPC」を投入する予定で、ブレードPCによるクライアント統合ソリューションをさらに強化していく構えだ。

さらに、今回の発表では、「HP Remote Graphics Software (RGS) v5.0」を8月にリリースすることも明らかにした。これは同社が開発したプロトコルを使用した画像転送用ソフトウェアで、クライアント/サーバの双方にインストールすることで大容量グラフィカルデータを高速に転送できるようになるという。従来はリモート環境で扱うのが難しかったCADデータも容易に送受信することが可能だ。リリース後は、HP bc2000ブレードPC、HP bc2500ブレードPCともに対応する予定である。

8月には、これらに併せて、「HP Session Allocation Manager (SAM)」の新版v2.0/v2.1をリリースするという。これは、ユーザーのセッションをブレードPCへ自動的に割り当てるためのもの。新版では、RGSやマルチディスプレイなどへの対応がなされ、オプション設定の一元管理機能などが追加される予定だ。SAMやActive Directory、NAS(Network Attached Storage)などとブレードPCを組み合わせることで、ブレードPCに障害が発生した際にもセッションをつなぎなおすだけで処理を継続できる。ノートPCなどを利用して、出張先から個人のデータにアクセスするといったことも可能である。