米Googleがセキュリティツールを開発する米GreenBorder Technologiesを買収した。米国時間の28日時点でGoogleからの正式発表は行われていないが、GreenBorderが同社のサイトを通じてGoogleによる買収と既存ユーザーに対する継続的なサポートを明らかにしている。

シリコンバレーのスタートアップ企業であるGreenBorderは、Webベースの攻撃からユーザーを守る「GreenBorder Pro」というセキュリティツールを開発・提供している。GreenBorder Proは仮想化と独自のセキュリティ技術を組み合わせて、Webブラウザの利用を特定区域内に隔離し、ユーザーがWebベースの悪質な攻撃を受けてもOSやPC内のファイルに触れられないようにする。利用環境がWindowsで動作するInternet ExpolorerとFirefoxに限られるが、Web利用を切り離すというアイディアが有効なマルウエア対策として注目されていた。Googleによる買収に伴いGreenBorder Proの販売とダウンロード提供は停止されており、現在GreenBorderのサイトではサブスクリプション契約が残っている既存ユーザーのサポートのみが提供されている。

Googleは最近、オンラインセキュリティを強化する姿勢を強く打ち出し始めている。5月21日から、オンラインセキュリティに関する最新情報、トレンド、Googleの取り組みなどを紹介するブログを開始しており、その最初のポストでマルウエア問題を取り上げていた。同社のAnti-Malwareチームによると、サンプルベースの分析で認められた危険なWebページは約0.1%にとどまるが、マルウエアによる被害は「Web全体に急速に拡散している」と注意を促す。対策として、(1) OSとWebブラウザの自動アップデートの利用、(2) ネットワークトラフィックとコンピュータの異常な振る舞いを監視するセキュリティエンジンの導入などを推奨。さらに信頼性の高い環境の例として「ブラウジング・セッション終了後に全てが元の状態に戻される、仮想マシンでのブラウザ利用」を挙げていた。Googleが獲得したGreenBorderの技術を、今後どのような形でユーザーに提供するかが注目される。