新型コロナウイルスの感染拡大や政府からの緊急事態宣言にともない、十分な準備期間をもたずにテレワークを開始した企業も多く、社員たちの間ではどのように在宅で仕事をすべきか戸惑う声や「テレワーク疲れ」といった言葉も聞かれた。一方で、コールセンター業務においては、テレワークは非常に困難と考えられており、実際にコールセンターをテレワークに移行できている企業は少ない。オペレーターが自宅で安心して普段通りに働ける環境を構築できれば、企業および社会全体のテレワーク推進に貢献できるだろう。

株式会社テラスカイでも急遽2020年4月1日から全社員が在宅勤務となり、短期間で準備をすることになった。コールセンター部門においては、クラウド型コミュニケーションソリューション「Twilio(トゥイリオ)」を活用したことで、在宅コールセンターの短期構築・運用を実現した。この経験をもとに、4月17日に開催されたオンラインセミナー「在宅コールセンター短期構築 実践セミナー」では、テラスカイが実践したそのノウハウを公開した。

テラスカイがTwilioを選択した理由

最初のプログラムでは「在宅コールセンター 短期構築事例のご紹介」と題して、株式会社テラスカイ ソリューション推進本部 カスタマーエンゲージメント推進 マネージャーの玉川 泰之氏が、在宅コールセンターを実現するうえでの技術的課題と、Twilioを利用して実際に短期で在宅コールセンターを立ち上げた取り組みについて紹介した。

株式会社テラスカイ ソリューション推進本部 カスタマーエンゲージメント推進 マネージャー 玉川 泰之氏

株式会社テラスカイ
ソリューション推進本部
カスタマーエンゲージメント推進
マネージャー 玉川 泰之氏

「昨今の雇用環境や人材不足のなか、多様な働き方を実現する仕組みのひとつとして、これまで難しいと考えられてきた在宅コールセンターの需要が高まっています」と玉川氏は述べた。そして、在宅コールセンター構築に向けたテクノロジーの課題を「回線」「コール管理」「既存コールセンターとの連携」「電話以外のチャネル対応」「セキュリティ」の5つに整理。これらの課題の解がTwilioであったと語った。

  • 在宅コールセンター構築に向けたテクノロジーの課題

    在宅コールセンター構築に向けたテクノロジーの課題

テラスカイはなぜ数あるコンタクトセンターソリューションのなかからTwilioを選んだのか。玉川氏によれば、Twilioのソリューションは以下のようにあらゆる層に対応しているため「これらをすべてクラウドで提供できるのはTwilio一択なので、採用を決定しました」と強調した。

Twilioのソリューション全体像

【IaaS】世界各国の電話番号を迅速かつ安価に取得でき、利用料も従量課金からスタート可能
【PaaS】音声やSMS、チャット、メッセンジャーなどの各チャネルがAPIを通じて手軽に使える
【SaaS】コールセンター向けをはじめとするソリューションを提供
【ENTERPRISE EDITION】大規模コールセンター向けに最高レベルのクオリティを実現

テラスカイが全社員在宅勤務となったのは4月1日のこと。3月30日にコールセンターのテレワーク化が決定され、構築に3日間、切り替えに2日間のわずか5営業日で4月6日に運用を開始したという。「短期間で在宅コールセンターの構築、運用を実現できたのもTwilioを採用したからこそ」と玉川氏は語った。

  • テラスカイの在宅コールセンター構築事例

    テラスカイの在宅コールセンター構築事例

Twilioによる在宅コールセンターの実際

株式会社テラスカイ 経営企画本部 マーケティングコミュニケーション部 インサイドセールスチーム マネージャー 安部直樹氏

株式会社テラスカイ
経営企画本部
マーケティングコミュニケーション部
インサイドセールスチーム
マネージャー 安部直樹氏

Twilioによる在宅コールセンターの構築は、具体的にどのように進められたのだろうか? 続いて、株式会社テラスカイ 経営企画本部 マーケティングコミュニケーション部 インサイドセールスチーム マネージャーの安部 直樹氏が、実際に在宅コールセンターを構築することになった背景や構築内容、運用にともない生じた課題などについて話した。

実はテラスカイが4月1日から全社員在宅勤務になることが決定したのは、前々日の3月30日夜だったという。そこで安部氏は、二日後に迫る4月1日以降のインサイドセールス業務をどう継続させるか、また外線電話の対応をどうするかについて検討を開始している。前述のとおり、会社はインサイドセールスおよび外線電話存続のため、Twilioで在宅コールセンターを構築することにした。

まず、4月1日からTwilioの正式運用までの数日間は、応急処置として既存システムを活用した。東京と国内各拠点の代表電話をすでに保有していた番号に転送し、在宅コールセンターをトライアルで開始。4月3日にはTwilioのテストが完了し、着信環境が整った。そして週が明けた4月6日には、正式運用をスタートしている。会社の期待に応えたスピード運用ができたといえる。

  • 在宅コールセンター構築スケジュール

    在宅コールセンター構築スケジュール

このように短期間で構築できた在宅コールセンターだが、はじめての運用であることから、いくつかクリアにしなければならない懸念があった。 「会社側からはセキュリティ、コミュニケーション、業務管理に関する懸念の声があがりました。そこで会社からオペレーターにお願いしたことは、自宅にインターネット環境を整えること、業務を行える環境を用意すること、オフィス勤務と同様のセキュリティレベルを確保して顧客情報をSalesforceに一元化することの3つでした」と安部氏。

自宅のインターネット接続環境についてはオペレーター全員がすでに整っていたが、もしなければモバイルWi-Fiなどの支給を考えていた。業務環境についても個室を使用したり、子供がいるオペレーターの場合はシフト調整したりすることでクリアできた。また情報の一元化に関しても、同社はもともと全メンバーが情報セキュリティ研修を受けていたため問題はなかったという。

今回構築した仕組みは、顧客から本社・支店などに入った電話を、転送機能により在宅オペレーターがTwilio上で受電。オペレーターはSalesforceで顧客情報を確認し、対応する社員とチャットなどで共有するという流れだ。Twilioで新規取得した電話番号にボイスワープで転送し、在宅オペレーターのPCのソフトフォンに着信する「Twilio Flex」機能を採用し、一斉鳴動によって3人のオペレーターの誰もがコールを取れるようにしているという。

4月1日時点で開始した既存システムでの代表電話転送では、受電のタイムラグが発生しお客様を待たせてしまうことが課題となったが、4月6日にTwilioへ切り替わると、そうしたタイムラグもゼロになったそうだ。

  • 在宅コールセンター構築内容

    在宅コールセンター構築内容

安部氏は最後に、Twilioを活用して在宅コールセンターを運用するためには、社員同士の顔が見られるオフィスに比べ、社員間のコミュニケーションをより多く取ることが重要であると強調した。そのほかにも、セキュリティなどの技術面やチーム運用の面でもヒントを得るなど、この導入を進めていくなかで多くの学びを得ることができたと語り、プログラムを締めくくった。

Twilioとは何か。その象徴的な機能とは

最後のプログラムではTwilioのより詳しい説明をTwilio Japan合同会社 Principal Solutions Engineer 中村 光晴氏が行った。

Twilio Japan合同会社 Principal Solutions Engineer 中村 光晴氏

Twilio Japan合同会社
Principal Solutions Engineer
中村 光晴氏

中村氏によると、コミュニケーションというと思い浮かぶのは人と人との会話だが、実際には電話、ビデオ、メール、チャット、SMSなどさまざまなツールを介して行われるものはもちろん、ときにはチャットボットやAIとのやり取りもコミュニケーションとして成立しているという。これらの多様なコミュニケーションに必要なツールを動作させる基盤のことをTwilio社では「CPaaS」(Communication PaaS)と呼んでいる。そして、Twilioがそうしたすべてのコミュニケーションを実現するためのプラットフォームを提供するサービスであるとしている。

「Twilioでは世界中の電話番号を購入できます。購入した電話番号を自社のアプリケーションに組み込むことで簡単に受発信できるほか、たとえばアカウントのログイン時に使うSMSを介した多要素認証、電話をかけて音声で支払いを行う決済サービスなど、さまざまな機能のプラットフォームともなります」と説明した。

続いて中村氏は、今回テラスカイが在宅コールセンターを構築する際に利用したTwilio Flexの機能を紹介。Twilio Flexは「クラウド型」「マルチチャネル対応」の2つがポイントだという。クラウド型であれば一か所に人を集めることなく、どこでもコールセンター業務ができる。また、従来のコールセンターはほぼ電話を主軸に構築して運営されているが、顧客が使うチャネルは多様化しており、マルチチャネル対応のTwilio Flexなら、時代に適したコールセンターを構築できるのが特長だと解説した。

  • Twilio Flexの概要

    Twilio Flexの概要

「Twilio Flexには分析機能も備わっており、どのオペレーターが1日にどれくらいの人と会話したかがひと目でわかるほか、1件1件のログを記録するので通話内容を詳しく確認することもできます」と中村氏はTwilioのBIツールを紹介した。これらの機能が標準で備わっていれば、システムの構築だけでなく運用改善や業務効率化までを行い、カスタマーエクスペリエンスの向上へとつなげられるだろう。

テラスカイが運用開始までの限られた日数で在宅コールセンターを実現するために、なぜTwilioを選んだのか。そしてわずか5営業日で運用を開始できたその手順、さらにクラウド型コミュニケーションソリューションであるTwilioの利点・特長を確認できた本セミナー。

今回の新型コロナウイルス拡大により、コールセンターの体制の見直しや仕組みの再構築を迫られている企業も多いことだろう。その際はぜひTwilioの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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[PR]提供:テラスカイ