温泉宿を中心とした宿泊予約サービス「ゆこゆこ」を提供する、ゆこゆこホールディングス株式会社では、2017~18年にかけて基幹業務システムをSalesforceとAWSを中心とするマルチクラウド構成に刷新した。宿泊施設向けのサイトコントローラーやインターネットFAXシステムなども含め、必要なシステム間の連携にはクラウド型データ連携サービス「DataSpider Cloud」を利用することで、ビジネスの変化に強く、柔軟なシステム構成を実現した。

Salesforceが得意とするコンタクトセンターシステム、営業支援システムと、システム間連携については、実績のあるテラスカイが構築サポートにあたった。そのシステムの全貌や効果について、ゆこゆこホールディングス株式会社 代表取締役 社長執行役員 池照 直樹氏に話を聞いた。

ビジネスの変化に対応できるよう、システムをクラウド型に刷新

「ゆこゆこ」は旅館・ホテルが提供する宿泊プランの広告を、会員向けの冊子やDM、Webサイトなどに掲載し、消費者から予約を受け付ける宿泊予約業を事業としている。消費者からの申し込みの7割が電話によるもので、同社のコンタクトセンターでは常時200~300人ほどのオペレーターが対応にあたっている。

「予約の電話は1日に約1万件、年間240万人の申し込みをいただいています。温泉宿に特化しているということもあって、お客様の約8割が50代以上です」と池照氏は話す。

株式会社ゆこゆこ 代表取締役社長 池照 直樹氏

ゆこゆこホールディングス株式会社 代表取締役 社長執行役員 池照 直樹氏

オペレーターが予約内容をシステムに入力すると、同社が宿泊施設から販売を委託された宿泊プランの在庫引き当てが行われるという仕組みだ。2017年中頃までは、VB2.0でスクラッチされた独自システムとインハウスデータベースを利用して、この仕組みを行っていた。

「長らく利用していましたが、VB2.0はもうサポートもなく、ビジネスの変化に合わせて改修が必要になった時にも即座に対応できません。そこでシステムの刷新を行うことにしました」(池照氏)

新システムの構成は、大手IT企業で開発チームに所属していた経歴を持つ池照氏自身が行った。まず、消費者との窓口になるコンタクトセンター業務、CRMのインターフェイスにSalesforceを採用することが決まった。マスターデータ管理のような機能要件はもちろん、プラットフォームとしての柔軟性が採用の決め手だったと、池照氏は言う。

「当社の独自性に関わる部分や、時代、市場の変化に合わせて変えていく必要がある部分、例えば予約アプリなどは、当社で独自に開発してSalesforce上にマッシュアップしています。こうした連携ができる柔軟性は、将来を見据えたシステムには重要な条件です」

また、顧客700万人分のプロフィールや、2,500件の宿泊施設とそれぞれの提供プラン、365日分の価格情報などの膨大な在庫データは、インハウスデータベースからAWS上のリレーショナルデータベースへと置き換えることになった。同社の場合、在庫がシーズンによって増減するため、簡単に拡縮できるクラウドデータベースが必要だった。

このデータベースは、「ゆこゆこ」の営業担当者が宿泊施設のマスターデータ管理に利用するSalesforceや宿泊施設側のシステムとも連携している。具体的には、施設側が各予約業者に割り当てた在庫状況を一元管理するために利用しているサイトコントローラーや、予約処理の完了をFAXで知らせる電子帳票システムなどだ。

  • 「ゆこゆこ」のシステム構成。Salesforce、AWSを中心に宿泊施設向けサービスまで連携

    「ゆこゆこ」のシステム構成。Salesforce、AWSを中心に宿泊施設向けサービスまで連携

システムを支える優秀な“裏方”、DataSpider Cloud

構築にあたってはいくつかのベンダー候補の中から、SalesforceとAWSの連携構築に大きな実績のあるテラスカイが選ばれ、データ連携にはDataSpider Cloudが採用されることとなった。

「Salesforce用のコネクタが用意されていて、テラスカイが豊富な導入実績を持っているDataSpider Cloudを選択しました」

DataSpider Cloudは、クラウドにある様々なデータとの連携を可能にするクラウド型データインテグレーションサービスで、今回のケースのようにアプリケーションやデータが複数の環境にまたがって存在する場合にも、それらをシームレスに扱えるようにすることができる。連携開発はプログラムを書く必要がなく、すべてGUIによるノンプログラミングで行えるため、開発期間は短く、また急な改修が必要になった場合にも迅速に対応できるのが特長だ。実際、ゆこゆこのシステムは開発スタートから、POCも含めて、わずか1年間で完了したという。

「私たちの業界はITに強い人材が多いわけではないので、仕事に必要なシステムが簡単に使えて、止まらずに動き、必要なときに拡張できれば良い。あとはブラックボックスでも構わないのです。その点、システムを連携させることで、使う側が裏にある複雑さを意識しなくてすむようにできるDataSpider Cloudは、優秀な“裏方”だと思っています」

作業効率は約20%向上、コストは15~20%削減

新システム導入の効果について、池照氏は次のように説明する。

「以前使用していたVBベースの予約システムは操作がかなり難しく、オペレーターにも慣れが必要なものでした。しかし新システムでは、一般の方がWebの予約サイトを利用するのと同じような感覚で扱えるようになったので、受付作業の効率が約120%向上し、全国に3箇所あったコンタクトセンターは2箇所に縮小することができました」

また前システムは完全なクライアントサーバ型だったため、コンタクトセンターにある、専用のアプリケーションをインストールしたマシンでしか受付業務ができなかった。しかし、クラウドにシステムを置いたことでその枷を取り払うことができ、繁忙期には自社のコンタクトセンター以外の場所に、業務委託という形でオペレーターを増員することも可能となった。クラウド化で拡張・縮小が自在のシステムを構築できただけでなく、人員体制もエラスティックになり、全体的なコストを15~20%削減できているという。

現在は、営業担当者が宿泊施設やプランなどのマスターデータ管理に使用しているSalesforceを、本格的なSFA(営業支援ツール)として活用できるようにすることを目指している。

「宿泊施設から委託されている在庫が少なくなった時、営業担当者にアラートが飛ぶようにしたり、営業のパフォーマンスマネジメントに利用したりすることを考え、私と当社の営業、そしてテラスカイの担当者で週に1回、定例会を実施して、要望を出したり提案をもらったり、密にコミュニケーションを取っています。私たちが何をやりたいのか、きちんと伝えれば、テラスカイは迅速にシステムを直してくれるので、非常に助かっています」(池照氏)

最後に「ゆこゆこ」を支える基幹システムについて、池照氏に将来へ向けての抱負を語ってもらった。

「高度なITというのは、本来、簡単に使えるものであるはずです。ユーザーに『使うのが難しい』と思われているうちは、中途半端なものだと言えます。私たちも『ゆこゆこ』を、お客様にとって簡単なサービスとして仕上げ、さらに喜んでいただけるようにしていきたいと考えています」

  • 株式会社ゆこゆこ 代表取締役社長 池照 直樹氏

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