2017年6月27日に開催された「データ分析実践セミナー」。現場のエンドユーザー自ら分析を行う「セルフサービスBI」の実践をテーマとした人気のセミナーだ。第3回となる今回は、これまでで最大となる150人もの参加者を集め、特に小売店業界において重要となる商圏分析にスポットを当てた企業のデータ活用実例などが紹介された。

本記事では、セミナーにて紹介された、クリックテックが提供する商圏分析に有効なセルフサービスBIツールの基本機能「Qlik Sense」と、オプション製品である「Qlik GeoAnalytics」について解説する。

セルフサービスBI検討における3つのポイント

当日の第1セッションで登壇したクリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部 プリンシパル エンタープライズ アーキテクトの濱野 正樹氏によると、セルフサービスBI導入の検討ポイントには以下の3つがあるという。

1. 異なるユーザー層の様々な分析ニーズに対応できる
2. 多様かつ複雑なデータを効率的に活用へ導くことができる
3. 管理・コストの視点から、適材適所のデプロイメント(配置・展開)を行うことができる

クリックテック・ジャパン
ソリューション・コンサルティング部 プリンシパル エンタープライズ アーキテクト 濱野 正樹氏

そして、これらのポイントを満たす製品こそが、同社が提供するセルフサービスBIツール「Qlik Sense」である。

「Qlik Sense」では、定型の業務や週次・月次などのレポートや帳票を作成できる出力オプション「Qlik NPrinting」や、クリックしていくだけで関連する項目が次々と紐づいて表示されるクリックテック独自の機能「連想技術」を使用可能。クラウドや、オンプレミス上などにあるデータをデータウェアハウスに依存せずに活用することができる。

これらの特徴を持つ「Qlik Sense」であれば、商品やサービスによって多種多様なデータが発生する小売業界においても、セルフサービスBIの実践が容易となるだろう。

「Qlik Sense」におけるデータ取り込みのデモ。取り込んだデータは円で表示され、関連している場合は自動的に紐付けされる

「Qlik Sense」における「連想技術」のデモ画面。特定の項目を選択すると、それに関連するデータがある項目(白)と、関連するデータがない場合(グレー)が、自動的に表示されていく

新たな気付きをもたらす地理空間分析ツール「Qlik GeoAnalytics」

第2セッションでは、クリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部 シニアOEMソリューションアーキテクトの高橋 智宏氏による、地理空間分析ツール「Qlik GeoAnalytics」の紹介が行われた。

小売店や飲食チェーン店における新規出店は、大きな手間とコストが掛かる。だからこそ、出店を検討している地域の商圏分析には、慎重を期さなくてはならない。 かつてのようなベテラン担当者の経験や勘に頼った知見ではなく、人口分布や交通網、付近の道路事情、競合する他店との距離や顧客の重複など、多種多様なデータを用いて分析を実行することが、今後は求められるようになる。そして、そこまで複雑にデータが組み合わせられてくると、単純な表やグラフからでは、具体的な知見や新たな発想は生まれにくい。

クリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部 シニアOEMソリューションアーキテクト 高橋 智宏氏

「最近は、スマートフォンで撮影された写真などのように、緯度経度のような位置情報を持ったデータが増えてきています。また、Wi-FiやBluetoothなどの機器に接続した状況を調べれば、人の流れや滞在時間などの情報も集めることができます。情報が増えれば増えるほど、グラフや表も複雑で見え難くなり、知見が得られ難くなってしまいます。だからこそ、地理や空間で情報を可視化するビジュアライゼーションツールが重要となります」(高橋氏)

高橋氏によると、実はこれまでクリックテックの製品は地図を用いた地理分析があまり得意ではなかったとのこと。そこで2017年2月、スウェーデンを拠点として地理情報関連ソフトウェア・サービスを提供していた「Idevio」を買収し、「Qlik GeoAnalytics」をリリース。「Qlik Sense」や「QlikView」と機能統合することで、より高度な地理分析が可能となった。その結果、現在では、第三者機関による調査にて「住所からの位置検索や分析」などの機能で、業界一位の評価を得るまでにいたった(*)。

セミナー当日では、「Qlik GeoAnalytics」を用いた様々なデモが行われた。そのいくつかを以下で紹介しよう。なお、デモで表示されているデータは、あくまでもサンプルであり、実際の状況を示したものではないことを、あらかじめご理解いただきたい。

ロンドンにおける火災発生件数の表示デモ。例えばここに、発生から消化までに掛かる時間のデータを組み合わせると、消防署や消火栓の適切な配置に役立つ

米国における電気自動車用バッテリースタンドの分布状況デモ。赤い部分は1度の充電で行ける距離の範囲を示す。つまり地図の白い部分をフォローするバッテリースタンドが必要ということがわかる

ある空港において遅延が発生しやすい空路の表示。色が濃いほど、遅延の発生件数が多い。航路をクリックすると「連想技術」に基づいて、関連する項目が表示されていく

分析の目的は、「新たな知見を得ること」だ。そして可視化する目的は、「より知見を得やすくすること」である。じっくりとグラフを眺め、数字を見比べなくては気がつかないものと、一見しただけでポイントがわかるものと、どちらがより多くの知見が得られるか。それは、実際に見てみればすぐにわかる。

クリックテックのWEBサイトでは、今回紹介したもの以外の「Qlik GeoAnalytics」デモが、いくつか体験できるようになっている。「Qlik GeoAnalytics」によって、どのような知見が得られるのか、ぜひ実際に触れ、実感していただきたい。

(*)Dresner Advisory services 「2017 Location Intelligence Market Study Report」より

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