富士通は2月2日、都内で開催された「NetApp Innovation 2017 Tokyo」の展示会場にブースを出展した。「NetApp Innovation」はストレージベンダーのNetApp主催で毎年開催される業界最大級のイベントであり、NetAppおよび多くのパートナー企業、スポンサー企業による講演とブース展示が行われる。今年のテーマは「紡ぐ、織りなす、そして革新へ」。富士通はブースにおいて機能強化した垂直統合型製品「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX」と、オールフラッシュストレージの新製品「ETERNUS NR1000A series」を披露した。本稿ではブース担当者に製品の機能強化ポイントやユーザーメリットなどを聞いた模様を紹介する。

ビジネスのスピード化でますます注目を集める垂直統合型製品

近年、垂直統合型製品への関心が高まってきている。垂直統合型製品とは、サーバ、ネットワーク、ストレージを1つのシステムとして最適に統合した製品だ。一般に、ある一定以上の規模のシステムを構築する場合は、サーバ、ネットワーク、ストレージをそれぞれ調達し、業務にあったかたちに組み上げていくことが多い。しかしそうした方法は自由に設計できる反面、導入や初期設定に時間と手間がかかり、運用管理にもコストがかかるのが課題だという。

これに対し、垂直統合型製品は初期セットアップや設定が事前に行われており、導入後すぐに利用できる。サーバやネットワーク、ストレージの組み合わせも検証済みで、業務に最適なかたちで提供される。そのため、運用に入ったあとも管理ソフトからハードウェア、ソフトウェアまで一元的に管理することができる。

富士通 データセンタプラットフォーム事業本部 コンバージドプロダクト開発部 前原崇行氏

富士通のデータセンタプラットフォーム事業本部 コンバージドプロダクト開発部の前原崇行氏は、垂直統合型製品に対するニーズは年々増えてきていると説明。背景にあるのは、ビジネスのスピードがあがる一方で、運用管理の負荷は高まり続けているという課題だ。

「システム部門が困っているのは、ビジネス部門側からの要求が予想以上にスピードアップしていることです。市場や顧客動向に合わせてすぐにサービスを始めたり、サービスを止めたりする必要があります。一方でITインフラは、仮想化やクラウドの利用が広がる中で、ますます複雑化しています。できるだけ簡単に管理してビジネスに貢献したいのにそれができない。そういった課題にこたえられる製品として、垂直統合型製品への関心が高まっているのです」(前原氏)

そこで富士通が取り組むのが、業務やシステムのワークロードに合わせた垂直統合型製品の展開だ。統一ブランドとして「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX」を開発し、業務やワークロードに応じて5つのラインアップを展開している。具体的には、仮想化やクラウド基盤の構築向け、高可用性システム向け、Oracle Database向け、SAP HANA基盤向けなどだ。そうしたラインアップのなかでも、近年導入実績が増えているのが仮想化・クラウド基盤向けに開発された「PRIMEFLEX for Cloud」だ。

「仮想化やクラウドの技術は、ITリソースの柔軟な利用や効率的な管理に欠かせない基盤になっています。ビジネスにスピードが求められるなかで、いかにはやくサービスを提供できるかといった点にも有効です。そんななか、PRIMEFLEX for Cloudを使ってプライベートクラウド環境を構築し、管理負荷軽減とビジネススピードの向上を目指すケースが増えているのです」(前原氏)

当日富士通のブースへは多くの人がつめかけた。新規の来場者だけでなく最新の情報を求めて訪れる熱心な既存ユーザーもいたという

NetApp Innovation 2017 Tokyo 富士通セッションレポート

「NetApp Innovation 2017 Tokyo」にて富士通がセッションをした講演レポートを以下に掲載しております。併せてご覧ください。

「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX」の魅力とは

富士通が提供する垂直統合型製品「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX」。ストレージには「ETERNUS NR1000A series 」が搭載されている

PRIMEFLEX for Cloudは、仮想化基盤とプライベート基盤の設計、構築、運用に必要な要素をパッケージ化した垂直統合型のプラットフォームだ。幅広い用途と企業の業容をターゲットにした、次世代のインフラ基盤といっていいだろう。特徴は、「Integrated」「Automated」「Flexible」というキーワードで表現することができる。これはPRIMEFLEX for Cloudが、富士通が実践で培ったノウハウを最適統合した高品質検証済みのICTインフラであり、作業自動化の追求による運用の品質向上と負荷軽減を可能にしていること、構成の柔軟性と将来を見据えた拡張性を兼ね備えたインフラ基盤であることを指している。

実際、2015年に登場してからはさまざまな環境で稼働しており、顧客企業に多くのメリットをもたらしてきた。前原氏がまず強調するのは、導入やセットアップの容易さだ。一般的に、サーバなどのインフラを調達しシステムとして構築するまでには数週間から数ヶ月かかる。PRIMEFLEX for Cloudはそれらを数日にまで短縮することができる。

またプライベートクラウド基盤であるため、ビジネスに応じてサービスを迅速に立ち上げることも可能だ。それを可能にしているのが運用管理のしやすさである。インフラ管理ソフトウェアであるServerView Infrastructure Managerは2016年に新バージョンの2.0が提供され、一新されたGUIでのPRIMEFLEXの管理が可能となっている。

「ハードウェアの構成やネットワークの構成などをわかりやすく表示します。ネットワークケーブルがどのように結線されているか、どのケーブルで障害が発生しているかなども、物理と仮想を統合したかたちで表示することができます。トラブルシューティングが非常に容易になっています」(前原氏)

インフラ管理ソフトウェアのバージョンアップにより、システムを可視化し管理しやすくなった

垂直統合型製品として、機器検証や品質管理は事前に徹底して行われている。しかしアプリケーションの仕様や負荷の状況により、システムに万が一のトラブルが発生する可能性がある。そんなときでも、システム担当者は迅速に対応し、業務への影響を最小限にできるのだ。

もちろん、富士通のサポートサービスも大きな力となる。万が一トラブルが発生した場合も、PRIMEFLEXのトラブル情報を伝えるだけで、充実したサポートサービスを受けることができるようになっている。

さらに新機能としては、REST APIに対応したことも注目できる。REST APIを使って他のシステムとPRIMEFLEXを連携して管理したり、さらなる自動化を推進できるようになったのだ。

「垂直統合型製品は、ICTライフサイクル全般にわたる運用の品質向上と負荷軽減を促し、お客様のビジネス成長に貢献する製品です。今回の機能強化により使い勝手がさらに上がり、ビジネスを支援できるようになったと自負しています」(前原氏)

オールフラッシュ新製品「ETERNUS NR1000A series」

PRIMEFLEXの展開では、オールフラッシュへの対応も大きな注目ポイントだ。システムが複雑化し、またビジネススピードが増すなか、ストレージが業務のボトルネックになるケースが増えてきた。そこでのストレージをHDDからSSDなどのフラッシュ製品にリプレースし、システムのボトルネックの課題を一気に解消する動きが進んでいるのだ。

富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 アシスタントマネージャー 軸丸 洋行氏

オールフラッシュストレージはどのようにしてこれまでの課題を解決するのだろうか。富士通のプラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 アシスタントマネージャー 軸丸 洋行氏は、こう話す。

「オールフラッシュストレージの特徴は大きく2つあります。1つは高負荷環境でも安定したレスポンスを発揮できること。HDDストレージと比べて応答時間はおよそ40分の1になります。もう1つは、性能要件に必要なドライブ数を大幅に削減できること。性能を2.2倍に向上させてもドライブ数は9分の1にまで削減できます」(軸丸氏)

こうしたメリットを持つ製品として、富士通が新たに投入したのが「ETERNUS NR1000A series(以下、A series)」だ。F seriesと呼ばれる従来モデルのNR1000F seriesからラインアップを拡充し性能を強化した。軸丸氏はA seriesの特徴をこう説明する。

「レイテンシー1ミリ秒未満で、最大700万IOPSという高速処理を実現しています。スケールアウト型のストレージシステムであるため、ノードを追加することでリニアに性能を向上させていくことができます」(軸丸氏)

ラインアップは、エントリー向けの「A200」、ミッドレンジの「A300」、ハイエンドの「A700」という3つのモデルで構成される。1月に発売済みのA300はオールフラッシュに特化したアーキテクチャを備え、保守性やアップグレード性が向上したほか、2ラックを5Uに省スペース化できるなど、大きな機能強化を遂げている。

「A series on PRIMEFLEX」により顧客価値を最大化する

今後注目すべきなのは、このA seriesがPRIMEFLEXのストレージとして搭載されることだ。軸丸氏は、A seriesがPRIMEFLEXに搭載されることで顧客のメリットはより大きくなると話す。

「オールフラッシュストレージのメリットを生かし、高負荷でもより安定したレスポンスが実現できるようになります。また管理工数や消費電力の削減といった効果も高まります。A seriesは構成定義や運用監視のGUI化で簡単に管理できます。FUJITSU Software Systemwalkerと連携して、効率的なシステム管理も可能です。そうした管理のしやすさによりシステム運用の課題にこたえていきたいと思います」(軸丸氏)

オールフラッシュストレージ「ETERNUS NR1000A series」。同ストレージの採用により、安定したレスポンスと容易な管理が実現した

もちろんサポート面も大きな魅力だ。A seriesはNetApp製品を活用したストレージだ。富士通とNetAppは19年にわたるOEMパートナーシップの実績がある。また長年の品質に関するノウハウを活かし、顧客の運用を想定した 大規模環境による評価とハードウェア異常試験などを実施してきた。

サポートサービスも充実している。富士通サポートセンターの専門技術者がハードウェア、ソフトウェアを一括でサポートし、定期点検やリモート通報などの予防保守、専用ホームページによる情報提供を行っている。万が一のハードウェアトラブル時には、サービスエンジニアによる派遣修理を実施する。「国内最強の2時間オンサイト体制」により、顧客を全面的にバックアップするわけだ。

垂直統合型製品が顧客にもたらす価値は大きい。そのなかで、富士通の品質管理や運用のノウハウ、オールフラッシュを生かし切るための充実したサポートは、ユーザーにとって大きな魅力になっている。

NetApp Innovation 2017 Tokyo 富士通セッションレポート

「NetApp Innovation 2017 Tokyo」にて富士通がセッションをした講演レポートを以下に掲載しております。併せてご覧ください。



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