【特別企画】

クラウド業界はどうなる? ニフティがエンジニアを集めて交流会を開催

 

2017年のクラウド業界は、どのような方向に進んでいくのだろうか。2017年2月1日に「『ニフティクラウドエンジニア交流会 第2回』~ちょっと遅めのクラウドエンジニア新年会+特別座談会~」が開催された。

同イベントは、ニフティクラウドブログのメインライターで、日本仮想化技術株式会社の宮原徹氏がコーディネーターを務める、エンジニアによるエンジニアのための交流会。クラウドベンダー各社の著名エンジニアによる特別座談会やライトニングトークが行われ、ニフティクラウドのユーザーやニフティクラウドに興味をもつ約40名が集まった。

著名エンジニアが語り合う2017年のクラウド業界

イベント開始の挨拶の後、行われたのが、クラウドベンダーの著名エンジニアによる「2017年のクラウド業界大予想! 」と題した特別座談会だ。

座談会には、さくらインターネット エバンジェリストの横田真俊氏、ニフティ クラウドインフラ部エンジニアの五月女雄一氏、日本マイクロソフト Azureテクノロジーソリューション プロフェッショナルの吉田雄哉氏、アイレット cloudpack事業部 執行役員/エバンジェリストの後藤和貴氏が参加。日本仮想化技術の宮原徹氏がモデレーターを務め、2017年のクラウド業界のトレンド・課題・展望を「エンジニア視点」で語り合った。

2017年のクラウド業界はどうなる?座談会では(左から)さくらインターネットの横田真俊氏、ニフティの五月女雄一氏、日本マイクロソフトの吉田雄哉氏、アイレットの後藤和貴氏、日本仮想化技術の宮原徹氏が語り合った

2017年のクラウド業界では何に注目?

2017年のクラウド業界では、どんなことが注目されるだろうか。さくらインターネットの横田氏が推すのは「コンテナ」で、「個人的に再度、注目している。まだ業界では『どう使ったら良いのか』の実例が出てきていないと思う」と語る。「コンテナ」は、サーバーを仮想化する手段のひとつで、ひとつのコンピューター内で複数のコンピューターを動かすような環境を構築する、というもの。

モデレーターの宮原氏から「さくらインターネットではIoTもやっているのでは」と水を向けられると「弊社ではIoTもやっていますが、社内のポジション的にはユニークな存在なんです」と回答。普段は高校、大学、専門学校で講演する機会もあるという横田氏は、「高校生にエバンジェリストと言っても理解してもらえない」と嘆き、会場の笑いを誘った。 日本マイクロソフトの吉田氏は、ここ最近の業界の変化を肌で感じているという。「昨年の後半あたりから、事業を担当されている方々からの直接的な問い合わせが如実に増えました。従来なら多くは情シスの方々からのクラウドの話を聞きたいというご依頼でしたが、昨年の後半からは情シスを飛び越えて、様々な事業部から直接連絡が来るようになりました。IoTといった事業に直結するテーマについて知りたい、あるいはデータの分析をしたい、セキュリティ関連ではデバイスが乗っ取られていないか、後は認証のことなど具体的な課題に基づいた案件が増えてきています」と語る。この傾向はしばらく続きそうだと同氏は分析する。

クラウド業界の話題についてざっくばらんに話し合った。座談会では「PoC (Proof of Conceptの略。コンセプト検証)がスタンダードな言葉になった、情シス以外の部署でも通じるようになった」との話も出ていた

アイレット後藤氏は、自身が注目するクラウド業界のトレンドについて、次のように分析する。「マシンラーニング、AIあたりがトレンドと言えるのではないでしょうか。これらは、実際に器(うつわ)はできているが、日本の企業の多くはまだ使いこなすためのデータが十分にない状態だと思います。日本の企業が収集中のデータは、半ば冗談のようにまだ『リトル・ビッグデータ』であると言われることもあります」。 一方、ニフティの五月女氏は次のように語る。「先ほどコンテナの話題が出ましたが、我々は2012年に開発者向けアプリケーションプラットフォームの「ニフティクラウド C4SA」を提供開始しました。今思えば早すぎたと思います。いま同じようなものを提供しているDocker社が、業界の先頭を走っています。あのとき我々がオープンソースにしていれば、世界が変わっていたのかもしれませんね(笑)」。

また、2017年のクラウド業界について五月女氏は、「コンテナにお客様のサービスが搭載された実例がどんどん出てくるのではと考えています。こういう風に使えるんだ、という認識が広がりそうだと思います。日本国内でも、コンテナ型仮想化ソフトの代表格であるDockerの事例が増えるでしょう」と分析。このほか、吉田氏からはOffice365の導入企業数が伸び続けていることも挙げられた。

盛り上がる座談会のなか、後藤氏がクラウドビジネスを行う上での自社の方針を紹介。アイレットでは、一般的にクラウド環境の導入段階では、顧客からほとんど報酬を貰わないのが社の方針なのだとか。「運用の段階に入ってからMSP(Management Services Provider)として報酬を頂いています。環境を導入した後の、お客さんが抱える問題を常に一緒に考えています。最近気が付いたんですが、こうした姿勢が他社と比較されて、結果的にお客さんに好印象を持っていただいています。『今度新しいことをやるんだけど相談に乗ってよ』なんて案件も増えてきました」と同氏は語る。

ここで宮原氏が「こういうのって、私は『サザエさんの三河屋商法』と呼んでいるんですよね」とコメント。「勝手口から入ってきて足りないものをお持ちする。相談に乗って、次、こうしましょうああしましょうと。すると、相見積もりなんてとられなくなる。クラウド業務はウッカリすると契約を切られてしまう。いまの業界のトレンドを見ていると、これからはお客さんの変化に合わせてビジネスをやっていけることが必要になるのかなと」と続ける。

この話題は「今後の業界はどうなる」というテーマに繋がった。後藤氏は、今後のクラウド業界について、「お客さんに聞く前にニーズを感じ取って、それを踏まえた提案を織り交ぜています。お客さんのビジネスが伸びたから、次の案件が来る。ある意味、成果報酬に近いビジネスの形になりますね」とコメント。これに吉田氏が「お客様とお話をしていると、技術的な面以外にもビジネス面でのお話になることがあります。場合によっては、経営層とお話することもありますよ」と続けた。

競合するサービスがひしめき、勢力図が目まぐるしく変化するクラウド業界。エンジニアであっても、今後は専門分野だけでなくビジネス全体を見通せる知識が求められ、また顧客の立場で親身になる姿勢なども評価される時代になるのかも知れない。

ニフティ担当者が様々な製品・事例を紹介したライトニングトーク

続くライトニングトークでは、まずニフティの川原史識氏が登壇。普段はプロモーションやマーケティングを担当する同氏が、Python、Excel等を使用して「ニフティクラウドmobile backend」のユーザーの利用状況を分析・可視化・評価したときの制作物・方法について紹介した。「ニフティクラウドmobile backend」とは、スマホアプリのバックエンド機能が開発不要になるクラウドサービス。SDKを導入するだけで利用できる。

ニフティの川原史識氏。「ニフティクラウドmobile backend」のユーザーの利用状況を分析・可視化・評価したときの制作物・方法について紹介した

データ分析・可視化の目的は、CV率向上を目指して登録からアクティブ・有償化までを追いKPI設定に利用するため。同氏はまずファネル分析を行ったという。Active、NonActiveで分け、API利用状況でユーザーを分類。Pythonで作ったCSVをExcelで分析したそうだ。「2次元散布図やヒストグラムを作成するときにMicrosoft Excelは便利だった」と川原氏。利用状況を色で塗り分けると、ユーザーの成長速度、非アクティブからの復帰、活性化までの流れが明確になったとのこと。

「しばらく使っていない」から「かなり使っている」までを色分けして表現。PythonのXlsxWriterライブラリで作成した

実際に分析してみると、想像していた以上に非アクティブから復帰するユーザーが多いことが分かった。これにより「そうした層に向けたイベントやメール配信を打っていけば良いことが分かった」と手応えを口にする。川原氏はMicrosoft Excelのほかフリーの統計専門ソフト「R」も使用、「基本的にはプログラミングが必要なソフトだけれど、マニアックな統計も行える」と解説していた。

データの前処理はPythonがよく、成型後はExcelの可視化が楽、と川原氏

続いて、ニフティ クラウドプラットフォーム部の世良迪夫氏が登壇。「ニフティクラウドRDB」について紹介した。「ニフティクラウドRDB」とは、ニフティクラウドが提供するRDBの構築・管理・運用サービス。「自前でDBサーバーを立てる場合、品質の高いDBサーバーは構築が大変で、壊れても復旧に手間取る。「ニフティクラウドRDB」なら、ブラウザー上に必要事項を入力するだけでDBサーバーが構築できる」とアピールした。

ニフティ クラウドプラットフォーム部の世良迪夫氏は、ブラウザー上に必要事項を入力するだけでDBサーバーが構築できる「ニフティクラウドRDB」についてアピールした

「ニフティクラウドRDB」では「データ優先タイプ」「性能優先タイプ」の2種類の冗長構成を選択可能。自動または手動でスナップショットを作成してバックアップ・リストアできる仕様で、特定の時刻のDBサーバーの状態を復元できる。

「ニフティクラウドRDB」では「データ優先タイプ」「性能優先タイプ」の2種類の冗長構成を選択可能。自動または手動でバックアップ・リストアできる

特定のイベント(フェイルオーバー発動、パラメータ変更、バックアップ完了など)発生時にはメール通知を受けられるほか、イベント履歴も閲覧できる(2週間分)。DBサーバーのリソース状況は監視でき、グラフ表示も可能。APIによるDBサーバーの操作も行える設計になっている。

特定のイベント発生時にはメール通知を受けられる。APIによるDBサーバーの操作も行える

最後に、飛び入りでライトニングトークに参加したニフティ IoTデザインセンターのセンター長 佐々木浩一氏は、就職活動中の大学生向けに開催したセミナーで語った内容を中心に紹介した。事業内容が多岐にわたるニフティではいま、ISP事業、クラウド事業、WEBサービス事業、IoTについて注力している。IoTの市場規模について佐々木氏は、商業系IoTは1.2兆円、コンシューマー系は1兆円、工場系は1.6兆円規模と見ている。ニフティIoTデザインセンターでは、IoTを活用して企業の事業課題を解決するプロフェッショナル集団として活動しているという。

ニフティ IoTデザインセンターのセンター長 佐々木浩一氏。IoTを活用して企業の事業課題を解決することを目指している

参加したセミナーの対象が広告・ネット業界向けだったため、佐々木氏はIoTデータを活用したマーケティングについて説明。それによれば2020年には世界でネット接続型IoTデバイスが240億個存在、デジタルデータの量は4万エクサバイトに増大するという。家電製品などがインターネットにつながることで、これまで見えなかった「製品の使われ方」「人の動き」などが可視化されるほか、双方向の継続的なつながりが実現して、メーカーはユーザーと常にコミュニケーションが図れるようになると同氏は語る。

これまで見えなかった「製品の使われ方」「人の動き」などが可視化されるほか、双方向の継続的なつながりが実現。メーカーとユーザーは常にコミュニケーションが図れるように

ニフティでは、すでにIoTにより収集した膨大なデータを分析することで、マーケティングに活用する手段を模索し始めている。例えば温泉施設でIoTを活用、混雑状況を“見える化“することで、顧客の行動が分析でき、従業員配置の最適化が実現できるとのこと。

IoTによりデジタルマーケティングが可能になる。顧客の行動を分析することで、従業員配置の最適化を実現できる

新年会を兼ねたエンジニア交流会は、予定していた時間を延長するほどの活況ぶり。参加者はいつまでも話が尽きないといった雰囲気で、アルコールを片手に終始賑やかに話を続けていた。自社の事業や今後の展望を語り合うエンジニアたちの明るい笑顔が、そこかしこで見られる夜だった。

(マイナビニュース広告企画:提供 ニフティ)

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