経理作業が辛い! システムが使いづらい! でも仕方ない……?

多くの課題が飛び出したマイナビニュースの会議から1つの事例を紹介する。それは、前項でも比較的改善がしやすいと述べた毎月発生する経理作業についてだ。

「月末の経理作業が大変で本業に差し障る。作業がとても面倒な上に、日程が厳しすぎて困っている」というのが最初に提示した問題点だ。出席者全員がそれに同意しつつも、飛び交うのは「仕方がない」という言葉。「過去の失敗を踏まえたルール」、「会社のルール上この日程になってしまうのはどうしようもない」、「これまでもいろいろ改善要求をしてきた」といった言葉が出てくる。

改善に向けた真の原因追求と対応策の立案を実施

これに対して船橋氏が「本当にどうしようもないのか、なぜそうなってしまっているのか」と考えを掘り下げるよう、ガイドしたところ、「社内でのマイナビニュースの立ち位置的に仕方がない」という言葉が出てきた。

マイナビニュースは、人材関連事業等を幅広く行うマイナビのニュースメディア部門だ。経理システムを含めた基幹システムは全社共通のものを利用している。

「メディアだけでできている会社ではないため、メディア事業のやり方に配慮されていないシステムが多い。経理作業も他事業部では件数的に負担が少なくても、マイナビニュースは扱う件数が多いため大きな問題になる」という実情を語る。

マイナビニュースでは毎日数百という記事が掲載されるため、必然的に他事業部とは比較にならないほど発注件数が増える。だからこそ、小さな手間が負担になるのだ。

経理作業に関しても、担当者は本来の業務を1~2日止めて対応している。この作業日程や入力内容等に関しては、システム上どうにもならない。「自動化できる部分はして、改善要求も繰り返している」と語りながらも「最後の請求書発行依頼メールをなぜシステム上からボタン1つで送らせてくれないのか。接続仕様(API)を公開してくれれば、部門内のアプリケーションからでも柔軟に対応できる」と、まだ残ったムダと改善案についての発言が出てきた。

こうした中で船橋氏は「改善が難しい部分は多いだろうが、『APIを公開してほしい』というように、具体策を整理した上で、こうしてほしいと具体的かつ明確な要求をしてみてはどうか」と提案した。

結果として「全社で定められた内規や仕組みでメディア事業にそぐわない部分を整理し、改善を要求する」をMust Doに、「問題点を抽出して整理する」、「改善策を立案する」、「改善策を主管部署に要求する」をTo Doに定めた。

APIを公開してもらうことで、部門内の業務をBPMのITツールを使用してうまく全社システムとつなぎアプリケーションとして活用できれば、業務効率の向上が期待できる。

具体的な改善につながる一歩

マイナビニュースでの事例は、大きくとらえた場合はどの企業にもよくある問題と見ることもできる。全社的なルールであっても、ある事業にとって効率化をはかるべきポイントになっているのならば、問題点や要求を整理して提案してみるというのは必要なことだろう。

「ここで決めて終わりにしないでほしい。かならず実行して、社内会議等でフォローアップするのが大切」と船橋氏は繰り返し言った。もちろんBPMとして考えるのならば、その後は新たな業務プロセスをモニタリングし、改善効果の確認や、さらなる業務効率化等につなげて行くことになるだろう。

ではあらためて、マイナビニュースではどのようにBPMを活用し、実際に業務効率を改善すればよいのか。船橋氏にそのポイントや今後の取り組みにおけるアドバイスを伺った。

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