Appleが2016年3月にリリースしたiOS 9.3では、学校や教育機関向けの機能が大幅に強化された。児童や生徒のiPadをモニタリングできるクラスルームアプリケーションや、複数人の共用を可能にしたShared iPad、ウェブベースでiPadの端末やApple IDを管理できるApple School Manager、Managed Apple IDなど、教師が学習目的や内容に合わせて効率的に端末を配備できる機能が備わった。

こうした新機能を積極的に生かし、より充実した学習環境の構築を目指しているのが聖学院小学校だ。同校はICT先進校に多くの導入実績を持つMDMソリューションMobiConnect for Educationを選択し、教師が見守る安心感の中で子ども達が自由にICTを活用できる学習環境を目指す。同校でICT整備に関わる池内清教諭にiOS 9.3の新機能やMobiConnect for Education導入の経緯について話を聞いた。

聖学院小学校

普通教室の中でいつでもコンピュータが使える環境を

「よく学ぶ、よく遊ぶ、よく祈る」を教育目標に掲げる聖学院小学校(東京都北区)は、キリスト教の信仰に基づいた教育を実践する男女共学の私立小学校だ。聞く、話す、読む、書くという4技能の育成を目指す英語教育や“伝え合う力”を伸ばすワークショップ型の学習など特色ある教育を取り入れ、児童一人ひとりの知的好奇心や学び合いを活性化する学習に重きを置いている。

聖学院小学校 教諭 池内 清氏

聖学院小学校がタブレットの導入を検討し始めたのは2012年、新校舎の建設計画がきっかけだった。新校舎ではそれまであったPC教室を設置せずに、普通教室の中でコンピュータが使えるようタブレットを導入する方向に転換した。同校のICT整備に関わる池内氏は、「これからの時代は、わざわざPC教室に行ってコンピュータで調べものをしたり作品を作ったりするのではなく、子ども達がコンピュータを使いたい時にいつでも利用できる環境が重要だと思いました」と語る。何かを調べたい、何かを伝えたい、子ども達がそう思った瞬間にタブレットを使える環境が次のアクションにつながる。池内氏は「ICTを活用することで児童の主体性を促し、子ども達の思考力や表現力を広げていきたい」とICTに懸ける想いを語る。

聖学院小学校では、こうした学習環境を実現するためにはタブレットの一人一台体制が望ましいと判断した。その結果、新校舎が完成した2015年度から4年生以上の児童全員に対して、個人購入によるiPadの導入を実施した。端末は、以前からPC教室でMacを使用していたことや、操作性やセキュリティーの面を考慮してiPadを選択した。現在(2016年10月時点)は、4年生でiPad Air 2(Wi-Fiモデル)を78台、5・6年生で同じくiPad Air(Wi-Fiモデル) を160台、1~3年生に対しては、学校共有のiPad 3(Wi-Fiモデル)を 50台整備している。

聖学院小学校ではiPadの活用により、学び合いを活性化する学習に重きを置いている

クラスルームアプリケーションを使うために、MobiConnect for Educationを導入

聖学院小学校では2015年にiPadの一人一台体制をスタートさせたものの、初年度はMDMの導入を見送った。同校ではiPad活用の方針として、教育向けに特化したアプリを次々に使うのではなく、カメラやプレゼンテーション、授業支援ツールなど、教科を超えて活用できる汎用性の高いアプリをメインに活用することにした。そのため一旦iPadを設定してしまえば、追加のアプリインストールや変更作業は少ないと考えMDMの導入を行わなかったのだ。ただし端末のキッティングやOSのバージョンアップデートなどの設定作業は、その都度児童の端末を集め、タブレットを一斉に同期できるUSBハブを用いてApple Configurator 2で行ったという。

ところが、2016年3月にリリースされたiOS 9.3では教育向けの機能が強化されたことから、聖学院小学校はMDMの導入に踏み切った。池内氏は「クラスルームアプリケーションの機能を使いたかった」と述べており、その利用にはMDMが必須であったことから、MobiConnect for Educationを採用した。

スクリーン上のクラスルームアプリケーション画面には、一人ひとりの児童のログイン状況が映し出される

クラスルームアプリケーション画面。児童が起動中のアプリケーションや作業内容が把握できる

クラスルームアプリケーションについて池内氏は、「OSレベルで児童のiPadをモニタリングできることがメリットだ」と語る。というのも、授業によっては皆がiPad上で同じ作業するとは限らない。例えば新聞を作成する授業では、ウェブで調べている子もいれば、資料や写真を編集している子もいるため、教師は誰が今、何のアプリを使って、何をしているのかを把握できることが重要だというのだ。池内氏は「教師の一番の不安は、児童がiPad上で何をやっているのか分からない時があることです。子ども達には自由な使い方を認めつつも、教師は児童全員の作業を見守ることが大切だと考えています」と語る。

ほかには児童がiPadで教師と同じアプリやサイトを開くよう、一斉に指示を送ることができるのも「クラスルームアプリケーション」のメリットだと池内氏は話す。小学生は情報リテラシーの習熟度に違いがあり、教師の説明だけでは理解できない児童もいるが、教師と同じ画面をスムーズに配信できることで一斉授業における効率化につながるというのだ。

クラスルームアプリケーションの機能を使えば、児童のiPadをロックするなど教師が一括で操作することも可能だ

対応の早さとサポートの充実がMobiConnect for Education導入の決め手

聖学院小学校がMDMにMobiConnect for Educationを選んだ理由として池内氏は、「iOS 9.3にいち早く対応していたこと」と「サポートセンターの対応が良く相談ができたこと」を挙げた。「MDMはIT担当の教師にとってまだまだ難しい部分もあるが、サポートセンターに相談しながらひとつひとつの手順を進めることができた」(池内氏)。また小学生の情報リテラシーやモラルを考慮して、必要のないアプリを非表示にする、ネット接続に制限を設けるなどMobiConnect for Educationで細かな設定ができることもメリットとして挙げた。

MobiConnect for Educationの導入後は、「アプリ配信の作業が楽になった」と池内氏は述べた。これまでは、児童の端末をすべて集める手間があったが、MDMの導入によりインターネット経由での配信が可能になった。今後Wi-Fiの設定やセキュリティーポリシーが変更になった場合でも遠隔から操作できる体制も整った。

今後の展開については、iPadの共用を可能とするShared iPadやiTunes Uを積極的に活用していきたい考えだ。これまで小学生はApple IDの取得ができず、iTunes Uの利用ができなかったが、iOS 9.3の新機能Apple School ManagerやManaged Apple IDを利用すれば、学校向けに特化した新しいApple IDが取得できるようになった。聖学院小学校では、学校共有のiPadに対してShared iPadを活用し、低学年にも一人一台環境に近いiPadの学習環境を提供していく考えだ。

学校現場でiPadの魅力を最大限に引き出すためには、新しい学習スタイルへの挑戦が欠かせない。MobiConnect for Educationはそんな現場のチャレンジに寄り添いながら、教師や子ども達の可能性を広げていく支えであるといえる。

(マイナビニュース広告企画:提供 インヴェンティット)

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