【インタビュー特集】キーパーソンが語る、VMwareの最新動向

1回目:VMware NSX - ドム・デルフィーノ氏
2回目:VMware Virtual SAN - ヤンビン・リー氏(本記事)

ヴイエムウェアが提唱するSDDC(Software-Defined Data Center)の核となるコンポーネントの1つが、ハイパーコンバージドインフラを構築するソフトウェアストレージ「VMware Virtual SAN(以下、VSAN)」だ。ハイパーバイザーのVMware vSphereとカーネルレベルで統合されているのが最大の特長で、サーバー内蔵のHDDやSSDを仮想化してストレージプールを構成しつつ、かつてないパフォーマンスとシンプルな管理を実現する。

2016年3月には最新バージョンのVSAN 6.2がリリースされ、ビジネスクリティカルなアプリケーションの運用を担う基盤として活用範囲を広げている。その最新動向をVMware, Inc. ストレージ&アベイラビリティ・ビジネスユニットを統括するシニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのヤンビン・リー氏に聞いた。

VMware, Inc ストレージ&アベイラビリティ・ビジネスユニット
シニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ヤンビン・リー氏

ハイパーバイザーにカーネルレベルで組み込まれたストレージ

ITインフラは大きくコンピューティング、ストレージ、ネットワークの3つの機能から構成されているが、従来はそれぞれに専用のハードウェアが用いられており、そのサイロ状態の中で運用管理のプロセスは複雑化する一方だった。

そんなITインフラの制約から様々なアプリケーションを解放すべく、最近流行しつつあるのがハイパーコンバージドインフラである。ハイパーコンバージドインフラでは、分散ストレージソフトウェアでサーバー上にストレージ機能を実現し、サーバーとストレージのハードウェアを統合してしまうことで、シンプルなインフラを構成することを可能にする。

ヴイエムウェアは、ハイパーコンバージドインフラを構成するためのソフトウェアとして、「VSAN」と呼ばれる分散仮想ストレージを提供している。VSANを使えば、各サーバーに内蔵されたローカルなHDDやSSDを仮想化して束ね、1つのデータストアとして提供することができる。

もっとも、類似のストレージ仮想化ソリューションは他社からも提供されている。VSANのユニークであり優れた点はどこにあるのか。ヤンビン・リー氏は、「VSANはVMware vSphereにカーネルレベルで組み込まれたSDS(Software-Defined Storage)なのです」と強調する。

ハイパーバイザー上のゲストOS内で動作する他社のソリューションは、ストレージアクセスに大きなオーバヘッドがある。ハイパーバイザーと統合されているVSANだからこそ、ハイエンドの共有ストレージにも勝るとも劣らないパフォーマンスとスケーラビリティを得られるのである。

リー氏によると、VSANは1クラスタ(=vSphereクラスタ)あたりホストサーバーを64ノードまで拡張することが可能。トータルで最大8ペタバイトの容量と600万IOPS以上のパフォーマンスを実現できる。

ビジネスクリティカルな領域でのユースケースが拡大

VSANの最初のバージョンがリリースされたのは2014年3月のことで、当初はテスト環境や開発環境など、主にノンクリティカルな業務領域での導入が進んだ。しかし、その後のユーザー数の急速な伸びに伴い適用分野もどんどん拡大。2015年7月にヴイエムウェアが実施した社内調査では、ビジネスクリティカルなアプリケーションでの利用が62%に達するまでになり、全体の中でトップのユースケースとなった。

図:VSANの利用用途(出典: VMware customer survey, July 2015)

「この調査からすでに1年が経過した現在、グローバルでのVSANの導入ユーザー数は累計5,000社以上に増加しています。3月からはエンタープライズ機能を一層強化した第4世代のVSAN 6.2の提供も始まり、ビジネスクリティカルなアプリケーションでの利用比率は、ますます高まっていると見込んでいます」とリー氏は語るとともに、その動向を裏付ける代表的なユースケースをいくつか紹介した。

・事例:基幹系アプリケーション性能が約 10 倍に

まずは米国フルトン・カントリー・スクールにおける導入事例である。ジョージア州に94校を展開し、総計9万6,000人という大規模な生徒を擁する同校は、基幹システムのパフォーマンスが不足し、モバイルなどを活用した新たな個人別学習プログラムに対応できないといった課題を抱えていた。 そこで同校はビジネスクリティカルな生徒情報システムおよび共通データベースの運用を支える基盤としてコモディティなIAサーバー上にVSANを導入し、オールフラッシュおよびハイブリッドの2つのクラスタを構築したのである。

「これにより同校は21台あった物理サーバーを3台に統合し、業務上の大きなボトルネックとなっていた共有ストレージの遅延を50ミリ秒から1ミリ秒未満に短縮しました。これまで30~45分を要していたユーザータスクの処理も5分以内で完了できるようになり、教師に時間的な余裕が生まれたことで、一人ひとりの生徒とじっくり向き合えるようになりました」と、リー氏は成果を語る。

・事例:同等のストレージ性能を約 50% 低いコストで

また、米国マサチューセッツ州で2番目に大きな医療機関であるベイステート・ヘルスは、3つのデータセンターをまたいでペタバイト規模のデータを運用しているコアインフラの一部のほか、VDI(仮想デスクトップ)用途としてもVSANを導入。将来的にすべてのデータをVSANに移行するという計画を策定している。

「従来型の共有ストレージ(SAN)からVSANへの置き換えを進めることで、ベイステート・ヘルスは同等のストレージ性能を約50%低いコストで導入すると同時に、運用コストについても20~30%の削減を実現しています」とリー氏は語る。

図:ここで紹介した事例に代表されるとおり、Virtual SANは近年、飛躍的な成長を遂げている(出典: VMware customer survey, July 2015)

さらに注目すべきは、非常に高度な可用性とセキュリティが求められる米国政府機関においても、VSANが導入されたことだ。各省庁で増大するITの利用ニーズや多様な新規プロジェクトに迅速に応えていくためには、ローカルなIT環境をクラウドベースのインフラサービスに進化させる必要があった。その解決策としてVSANを導入し、20テラバイト(8ノード)の本番用クラスタと10テラバイト(4ノード)の管理クラスタを実装したプライベートクラウドを構築した。

「設備投資コストを約33%、TCOを約50%削減すると同時に、ストレージのパフォーマンスを高速化しました。また、一元化されたインタフェースのもとでポリシーベースの管理を行うことで、セキュリティ監査を迅速かつ容易に実施できる体制を整えることができました」とリー氏は語る。 そのほかVSANの初期バージョンからのアーリーアダプターである大手航空会社でも適用業務を拡大しており、「現在では課金や予約システムといった非常にクリティカルなアプリケーションの基盤としても、VSANが活用されるようになりました」とリー氏は語る。

日本市場でもエンタープライズ領域の用途拡大に注力

もちろん、日本においてもVSANの導入は急速に拡大している。

例えば人材派遣大手のフルキャスト社は、1,000 台規模のVDI 環境にVSAN を導入し、4 千万円ものストレージコストの削減を達成した。岡山県の万成病院も、煩雑だったストレージの管理をVirtual SAN で大幅に簡素化することに成功している。九州のある金融機関ではVSAN を活用してDR( 災害対策) 環境を構築。それを含めたシステム全体をシンプル化し、入社1 年未満の新人SE が運用管理を担っている。また、独立系IT サービスプロバイダーのアイネット社は、VSAN を基盤とする新たなクラウドサービス上で約2 万台のDocker コンテナを商用環境として運用している。

こうした時代の追い風を受けながらヴイエムウェアとしても、VSANをはじめとするSDDCのテクノロジーにさらに磨きをかけ、イノベーションを促進していく考えだ。

「新しいストレージインターコネクトの標準規格『NVMe(Non-Volatile Memory Express)』に対応したパフォーマンスのさらなる向上、ティア1からクラウドネイティブのアプリケーションまで包括したエンタープライズ領域の用途拡大などに注力し、大きな可能性を秘めた日本のマーケットおよび日本企業に向けてエンドツーエンドのソリューションを展開していきます」とリー氏は、今後を見据えた強い意気込みを示す。


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