「Hack the Real」をメインテーマとして掲げた「Developers Summit 2016」が2016年2月18日から19日まで都内で開催された。ソフトウェアエンジニアに向けて多くのセッションが行われた同イベントで、スクウェア・エニックス 情報システム部 ITインフラストラクチャー ソーシャルゲーム・グループの船寄悟史氏が「Storeランキング上位におけるゲームインフラについて」と題した講演を行った。本稿でその内容を紹介しよう。

スクウェア・エニックスがオンラインゲームのサーバにニフティクラウドを採用

スクウェア・エニックス 情報システム部 ITインフラストラクチャー ソーシャルゲーム・グループ 船寄悟史氏

船寄氏はスクウェア・エニックスにおいて、主にソーシャルゲームのインフラからミドルウェア層を担当。ゲームを提供するプラットフォームとして、ニフティクラウドを利用しているそうだ。

昨年はリリースされたタイトルのうち、10タイトル以上のゲームのインフラを船寄氏は担当しており、「お蔭様で多くのお客様に遊んでいただいております」と船寄氏は語る。多くのタイトルをリリースするため、複数タイトルのインフラ準備が併走しがちだという。そのため、必要となるサーバ台数も多く、またリリース後に想定以上のユーザー負荷がかかることもあるそうだ。

「高アクセスに耐えうるインフラが必要です。十分な速度が出るネットワーク帯域、低レイテンシー、高いディスク性能などが必要です。さらに高スピードに耐えられる取り組みも必要になります。インフラ構築のスピードを向上させないと機会損失に繋がります。新技術やノウハウの習得も必要です。グループメンバーのうち、誰が構築しても一定の品質で構築できるようでなければなりません」(船寄氏)

こうした課題を解決できるサービスとしてスクウェア・エニックスが採用しているのが、ニフティクラウドなのだという。ロードバランサーやインスタンスのタイプ、Disk性能といったもののラインアップが豊富で多彩な需要に応えられることや、品質が一定であること、月間のサーバ稼働率99.99%という品質保証制度(SLA)などを評価していると船寄氏は説明する。

サポート面についても、障害発生時に即時対応してくれる点や、定期的なミーティングを通じて課題や要望についての共有を図っていることなどを評価しているそうだ。

「方向性が明確でないと、エンジニアはフラストレーションが溜まってしまうものなので、もしかしたらこれが一番重要かもしれませんね。利用者側が良いサービスを受けるためには、定期的なやりとりによって課題の解決について両者で探る必要があります。長いお付き合いをしながら関係を構築して行くことが大事です。ニフティクラウドを提供するニフティ様とはそれが出来ていることで、良い成果に繋がっているのだと思います」(船寄氏)

このように、安定したクラウドインフラを用意するスクウェア・エニックスでは、より迅速に環境構築を進めるための工夫も行っている。その取り組みの1つとして紹介されたのが「All- in-Oneサーバ」だ。

All-in-Oneサーバを用意した背景としては、従来は開発環境の要件をヒアリングし、ミドルウェアのインストールやチューニングを行い、ドキュメントを作成する必要があったそうだ。この手順では時間も手間もかかるため、複数案件が同時進行することになりがちなソーシャルゲームのインフラ環境を構築するにはあまり良いやり方ではないと考えたのだという。

「案件ごとに変わる名称やユーザーアカウントといったものだけを変更すれば済むような構築にしたい、ドキュメントも作りたくない、しかしノウハウは蓄積しておきたいという考えがありました。またメンバー間のスキルにも差があったため、習得コストの低い手法でなければなりません。そこで、PHPやRuby、Java、Apache、MySQLなど必要となるものを全て入れたAll-in-Oneサーバを作りました」と船寄氏は語る。

バックグラウンドにはオートメーションツールであるAnsibleと、バージョン管理ツールであるGitを採用。その上でチームを管理者と利用者に分け、管理者が汎用的なサーバを作るためのルールや設定を作り、利用者がサーバを作って利用するという形にした。

All-in-Oneサーバではこの他、サーバ構築の自動化、構築品質の一定化、ノウハウの蓄積などを実現。その上で、習得コストが意外と低く、作業していて楽しいという状況も作り出すことが出来たという。さらに、運用自動化や構成図の自動描画などにも取り組み、出来る限り現場の負担を減らすことを意識しているそうだ。

IoTの開発を5分で体験できるニフティクラウドブースが人気

ニフティ クラウド事業部 モバイル・IoTビジネス部 野田雄也氏

Developers Summit 2016ではこのほか、スポンサー各社が自社のサービスや製品をアピールする展示も行われていた。スクウェア・エニックスがプラットフォームとして利用しているニフティクラウドを提供しているニフティもブースを設置していたので、紹介しよう。 同社のブースを飾るのぼりに書かれた言葉は「5分で出来るIoTスマホアプリ開発体験会」。その名の通り、その場でごく簡単な開発作業を行なう体験ができるというもので、「ニフティクラウドmobile backend(mBaaS)」を利用しているという。このmBaaSは、スマートフォンアプリでよく利用される汎用的な機能をクラウドから提供することで、バックエンド機能開発を不要にし、開発におけるコスト削減やスピードアップが可能だという。

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ニフティ クラウド事業部 モバイル・IoTビジネス部の野田雄也氏は、mBaaSについて「スマートフォンアプリだけでなくIoTのバックエンドでも使えるサービスです。今回はドアの開閉を磁気センサーで取得してクラウドに保存するという体験をしていただいています」と解説する。

「IoTは話題ではありますが、実際に触って体験できるものを展示している場は少ないので、参加してくださった方はかなり楽しんでいただけていると思います。ウェブのフロント系からサーバを扱っている方まで幅広くご参加いただいています」と野田氏は語る。関心が集まっている分野だけに、手軽に体験できるブースはよい入口になっているようだ。

ブースの様子。参加者は用意されたPCで、mBaaSを利用したプログラミングを体験できる

ニフティではこのような体験型の展示を積極的に行っているという。展示会などで同社のブースを見かけた際は、ぜひ体験してみるとよいだろう。

(マイナビニュース広告企画:提供 ニフティ)

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