昨年より日本市場でもクラウドサービス事業を強く打ち出しているオラクル。"データベースの雄"によるSaaS、PaaS、IaaSの包括的なクラウドビジネスの展開による影響力には計り知れないものがある。そこで今回、日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 エバンジェリスト 中嶋一樹氏とスーパーストリーム取締役 企画開発本部長 山田誠氏に、オラクルのクラウド戦略と、そこから提供される新しい価値をテーマに対談していただいた。

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 エバンジェリスト 中嶋一樹氏(左)、スーパーストリーム取締役 企画開発本部長 山田誠氏(右)

オラクルのクラウド戦略と市場の反響は?

山田氏:昨年より「クラウドのちから・POCO(The Power Of Cloud by Oracle)」というコンセプトを頻繁に耳にするようになりましたが、POCOに象徴されるように、データベース事業で業界内でもトップシェアを誇るオラクル社が満を持して日本市場でも本格的にクラウドに乗り出してきたなという印象が強いです。お客様やパートナー様の反応を見ても、やはり注目度が高いですね。国内市場ではAWSやAzureを始めとした他社のクラウドサービスが先行していることから、IaaS/PaaS市場は既に十分耕されているのではないですか。

中嶋氏:SaaS、PaaS、IaaS事業のすべてを拡大し、2020年には「No.1クラウドカンパニー」となるべく、Oracle Cloudの価値を訴求していくというのがPOCO戦略です。我々はこれまで、パブリッククラウドの裏側にあるデータベースを提供していたため、パブリッククラウドサービス事業者としては後発に位置づけられるかもしれません。ただし、その間にパブリックサービス向けのシステムを文字通り1からつくりあげていたからこそ、昨年より本格的に国内のお客様にお届けできるようになったというわけです。

山田氏:私たちが提供している統合業務パッケージ「SuperStream-NX」も、SaaS、PaaS、IaaSと合わせたクラウド環境での導入が急速に拡大しています。一昔前と比べると、クラウド市場に対する考え方がお客様の中で大きく変わってきていますから、いよいよ「プラットフォームの大本命」がクラウドにやって来た、という感覚なのではないでしょうか。

中嶋氏:手前味噌かもしれませんが、市場からの反響や期待は大きいと自負しています。やはりRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)で50%のシェアを持っていますから、そのお客様がクラウド環境にマイグレートしたいというニーズがとても強いようですね。我々としてもそうしたニーズにお応えすべく、満を持してクラウドで使えるOracle Database、「Oracle Database Cloud Service」を打ち出しました。これは従来のRDBとはまったく異なるユーザーエクスペリエンスを提供するサービスになります。

山田氏:具体的にはどんな点ですか。

中嶋氏:お客様の利用実態に合わせたサービス形態として、大きく3つを用意しています。まず1つが、「スキーマサービス」です。これはその名のとおり1つのスキーマを自由に利用できるサービスで、バックアップなど、データベースの管理はすべてクラウドに任せることができます。2つ目は、完全構成済みのOracle Databaseインスタンスを実行する仮想マシンをご利用いただく「インスタンスサービス」です。これはOSのrootユーザー権限も提供するため、かなり自由度の高いサービスと言えます。そして3つ目が、データベースマシンとして「Oracle Exadata」をまるごとクラウドで提供するというH/W占有サービス「Exadata Service」で、全てのデータベース機能・オプション・ワークロードに対応することが可能です。

山田氏:Exadataというと、相当なハイエンドマシンなので通常に購入すると億単位の費用がかかるため、なかなか手を出しづらいという企業も多いかと思いますが、それが月額料金で気軽に使えてしまうというのは凄いことですね。私共スーパーストリーム社も2013年度にOracle Exadata Optimizedの認定を取得しているのですが、やはり情報システム部門の技術者であれば1度はExadataを使ってみたいものですよね。

それと、私が特に興味を抱いたのはデータベースのマネージドサービスですね。データベースの運用管理はそれなりにスキルも必要で手間もかかりますから、できる限り裏側の面倒は見てほしいというお客様は多いでしょう。

中嶋氏:もちろんそういうお客様はたくさんいらっしゃいますが、反対に自分たちのシステムに触れてほしくないといったお客様も少なくありません。なので、それぞれの企業の考え方に合うような一連のサービス形態を用意しているというわけです。

クラウドサービスのスタック展開についても、SaaS、PaaS、IaaSの3つのレイヤをカバーしているだけでなく、それぞれのレイヤごとに多彩なサービスやオプションを提供するようにしています。

山田氏:まさにクラウドに対する全方位展開の戦略ですね。

中嶋氏:はい。基本的に全方位を攻めるというのがオラクルのクラウド戦略でして、インフラレイヤからアプリケーションレイヤまですべてを提供してしまおうという「コンプリートスタック」を実現しているのは、我々だけなのではないでしょうか。ただし必ずしもすべてのケースでコンプリートスタックで導入いただく必要はなく、お客様が必要な部分をビルディングブロックとして他社サービスやカスタムアプリケーションと組み合わせていただくこともエコシステムとして現実的な選択肢であると考えています。

山田氏:そうした戦略をオラクル社がワールドワイドで拡大すると、他のクラウドサービス事業者はなかなか厳しくなりそうですね。

中嶋氏:クラウドはある意味ボリューム勝負なところがありますので、リソースの部分に限って言えば、最終的に残るのはビッグ3ぐらいになるのではと見ています。

多彩なオプション活用でパフォーマンスの悩みも解決

山田氏:クラウドで提供されるOracle Databaseのバージョンやエディションはどうなっていますか。

中嶋氏:バージョンはOracle Database 11gまたは12cで、エディションは次の4種類をご用意しています。

  • 「Standard Edition」
  • 「Enterprise Edition」
  • 「Enterprise Edition High Performance」
  • 「Enterprise Edition Extreme Performance」

このうちEnterprise Edition High Performanceはほとんどのオプションが、Enterprise Edition Extreme Performanceではすべてのオプションがあらかじめ含まれた構成となっています。オプションの別売りはしないで、"全部入り"で提供してしまおうという趣旨です。

山田氏:Enterprise Editionが使えるということは、例えばオプションであったパーティショニングが利用できるということですね。私は常々、システムのパフォーマンスを劇的に向上させるためには、データベースのパーティショニングやデータ圧縮の技術が極めて有効だと考えています。ただ、これまではなかなかEnterprise Editionには手が出なかったという企業も、クラウドでしかも従量課金で使えるとなると、Enterprise Editionの採用ハードルがぐっと下がりますよね。スーパーストリームとしても、お客様に最適なパフォーマンスを手に入れていただける仕組みを提供しやすくなるので、大歓迎です。

中嶋氏:パフォーマンス向上に関しては、Oracle Database 12cのインメモリとカラム型データベースのオプションである「Oracle Database In-Memory」ももちろん使えますよ。

山田氏:SuperStream-NXユーザー様の95%がOracle Databaseを使用していますが、給与計算などもデータベースを高速化すればするほど迅速に作業できるようになります。現状、大規模に導入していただいているユーザー様の一部では、やはりパフォーマンス面で悩みを抱えているところも少なくありません。そうしたユーザー様の悩みを解決できる手段としてもOracle Database Cloud ServiceでEnterpriseを利用することは魅力的な選択肢になりそうです。

中嶋氏:パフォーマンスとは直接関係ありませんが、面白い特徴として私が一押ししたいのが、いま話題の機械学習の環境をデータベースにビルトインされている点です。これはデータベースそのものに機械学習のエンジンを盛り込んでいるのが他にはない特徴で、データを移動したりエクスポートしたりせずともボタン1つで分析を行えてしまうというものです。

山田氏:それは試したい企業も多いはず。限りなく多岐にわたっているEnterprise Editionのオプションを、簡単に試すことができるのは大きいですね。

あとSuperStream-NXのパートナー様からは、自分たちのデータセンター内で、仮想環境上でデータベースをOracle Databaseにしたパブリッククラウドサービスを提供したいという声も寄せられています。これまでだとパートナー様はライセンスの問題や契約面などで、パブリッククラウドのサービス展開は難しかったのですが、Oracle Cloudならば、色々とサービスを組み合わせる導入形態も考えられますね。

中嶋氏:そういった導入形態もあるでしょうね。価格面についても、High Performance Editionであれば一つのデータベースサービス内に独立したデータベースをほぼ無限につくれますから、データベース数で割った場合、データベースサービス1つの価格は非常に安価になるはずです。SIerやISVにとっても、ユーザー様が増えるほど低コストで良いサービスを提供できるようになるというメリットは大きいのではないでしょうか。

それに、導入期間に対するユーザー企業様の目も厳しくなっていますから、よりアジャイル的なサービス提供というのは今後求められるようになるでしょう。我々のサービスを利用していただければ、ユーザー様に素早くサービスを提供して、その後の保守サービスで末永くお客様とのお付き合いを続けるという、SIerにとって新しいビジネスが創出できると考えています。

山田氏:なるほど、ユーザー様にとってもパートナー様にとっても、もちろん私たちスーパーストリームにとっても、Oracle Database Cloud Serviceという強力な選択肢があるというのはとても心強いです。これまでのパートナーシップをより強化し、ともに日本の企業に新しい価値を提供していきたいですね。

(マイナビニュース広告企画:提供 スーパーストリーム)

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