2015年10月16日「有名経営者に学ぶ! 戦略実行を成功させるデータドリブンビジネス~データと知見の組み合わせによる意志決定とアクション~」と題されたセミナーが、東京都千代田区のマイナビルームにて開催された。「データドリブン」とは、取得したデータを使って次の行動を起こしていくこと。言葉にしてしまえばいたって当然のことだが、実行にあたっては疑問や悩みも生まれてくる。セミナーでは、データドリブンの考えに基づいた戦略の立て方と実現の方法、基盤となるプラットフォームと、その活用方法などが紹介された。

KPIの可視化で全社が活性化したカルビー

基調講演の演壇に立った中田康雄事務所 代表取締役 中田康雄氏は、1960年代から情報システム開発に従事、1979年にカルビーへ籍を移してからは、IT部門責任者を務めながら職域を拡げ、同社の社長兼CEO、CIOも務めた人物だ。ITを現場・経営の両観点からも見てきた中田氏ならではの講演「戦略を成功に導くデータドリブン経営」の中から、本稿では、カルビーでの戦略実現事例をピックアップして紹介する。

中田康雄事務所 代表取締役 中田康雄氏

カルビーは1970年代、「スナックは生鮮食品」というビジネス・コンセプトを打ち出した。そして製造から80日を超えた商品を不良品としてカウント、商品・エリア・代理店・小売店ごとの不良品率をKPI化し、週次で全社に公開した。その結果、「鮮度を落とさない」という目的のために、サプライ・チェーン・マネジメントの高度化・高速化をはじめ、新商品提案や営業活動、プロモーション活動など、全社的な活性化を図ることができたという。

また「鮮度を保つ」という戦略を遂行するために、「財務の視点(株主の視点)」「プロセスの視点(取引先との関係)」「顧客の視点」「学習と成長の視点(従業員の視点)」の4視点から設定したKPIを、全社員がオンラインで共有できる「経営コックピット」を開発した。すべてが上手くいかなければ良い成果は生まれないという意識が全社員の意識に根付くことになり、今何をすべきか社員一人ひとり自らが考えられるようになったという。つまり、全社員に情報を包み隠さず「見える化」させることが、戦略実行の力になったということだ。

データと人を結び、スピーディかつ的確な行動を導き出す

ドーモ株式会社 代表取締役 水嶋ディノ氏からは、データドリブンを実現するための具体的なソリューションとして、同社のビジネス管理プラットフォーム「Domo」が紹介された。Domoは、データと人(知見)を同一プラットフォーム上に集約するという、従来のBIツールやダッシュボードにない特徴を持つ。その活用イメージを、水嶋氏はストーリー仕立てで紹介した。

ドーモ株式会社 代表取締役 水嶋ディノ氏

【Step1】ある会員制スポーツクラブ社長のスマホに、Domoから、退会者数が経営上の危険水域に達したことを知らせるアラートが届く。社長はその場でスマホからDomoにアクセス、会員数の推移をグラフで確認

【Step2】社長はグラフの横に表示されている「DomoBuzz」(チャット機能)から、顧客管理部長に原因を問い合わせる。すぐに「都道府県別退会者数データを見ると、栃木県での退会数が著しい」と回答が来た。社長がコメントに貼られたリンクをクリックすると、退会者のグラフが表示された。店舗別グラフを見ると、宇都宮店の退会者が極端に多いことが分かる

【Step3】今度は宇都宮店の店長にメッセージを送り、理由を問いただす。店長は、退会理由データにリンクを貼ったコメントを返してきた。社長がリンクをクリックすると退会理由がワードクラウド形式で表示された。原因は宇都宮店の設備が、他店よりも古くなっていることだと分かる

【Step4】社長は宇都宮店、財務部などに連絡をとって、設備の更新を指示する

このようにDomoには、KPIの把握、異変があったときのアラートはもちろん、データと人を有機的につなげられる機能が備わっているため、状況の把握から意志決定、具体的なアクションまでを迅速に行える。

Domoプラットフォーム画面。グラフをチェックしながら、関係者とコメントをやりとりできる

データドリブンを支援する機能を網羅

これを可能にするためDomoには、数百種類のデータソースに直接接続できるコネクターが用意されており、多彩なビジネスデータを取り込むことができる。また専門知識がなければ難しかったデータの変換・結合や、手間のかかった視覚化を簡単に行える機能がある。先ほどのストーリーの中で、顧客データ、設備データ、財務データなどを横断的・視覚的に利用できていたのは、これらの機能によるものだ。クラウド経由で最新データにいつでもどこからでもアクセスでき、さらに同一プラットフォーム上で、知見を持つ人々とのコミュニケーションもはかれるので、ユーザーの誰もが的確なアクションを起こせるようになる。

Domoはすでに世界中で1,000社を超える企業に導入され、実績を上げている。続くセッションでは、2013年の創業以来Domoを利用し続けているKaizen Platform, Inc.の共同経営者 兼CEO 須藤憲司氏から、同社での利用事例が紹介された。

どんなデータが人を動かすのかを試行錯誤

Kaizen Platformは、サイトの継続的な改善をサポートする企業だ。顧客企業やそのユーザーに「いかに良いUX(User Experience)を提供するかが、コア業務です」と、須藤氏は語る。

「このコア業務にリソースを集中するために、Domoを導入しました。Domoは様々なデータをクラウド上にまとめられるので、データが増えても問題ありません。さらに、リアルタイムな更新、フレキシブルなUI、面倒なレポーティング作業やアカウント管理が容易、といったことがメリットだと感じています」

Kaizen Platform, Inc. Co-Founder & CEO 須藤憲司氏

【Step1】自らが経営指標を見る : まずは経営者がデータドリブンを実践するために指標を見る。ちなみに、同社ではこれまで様々な用途にDomoを利用し、データドリブンを試行錯誤してきた

【Step2】オペレーションと直結させる : 制作中サイトのチェック状況をDomoで可視化 【Step3】パートナーへの情報開示 : 提携している制作会社に、各社がどのくらいのパフォーマンスで仕事をこなしているかのデータを開示。クオリティやスピードの向上・改善につなげてもらっている

【Step4】顧客への情報開示 : 同社が手がける改善の進捗状況をデータで提供

【Step5】プロトタイピング : パートナーや顧客にどんなデータを見せれば有意義か、Domo上で試行・検証

【Step6】全社周知 : 社内状況を日次・週次でPush配信し、スタッフのモチベーションを向上

上述のStep1~6は全てDomoの活用シーンだが、「誰にどんなデータを、どんなふうに開示したら、どう動いてもらえるのか、つまりデータの用途を考えるのが重要だということをDomoを使いながら学びました」と須藤氏は語った。

データの民主化で、誰もが意志決定できる風土を

2年間Domoで試行錯誤を繰り返してきた同社では、今、スタッフや顧客が直接、BIを扱うチームに「こういうデータが欲しい」とリクエストしてくるようになったという。一部の意志決定者が情報を現場に与えるのではなく、現場スタッフ自らが必要な情報を得て行動するようになったこの状況を、須藤氏は「経営のためのデータから、現場が実行していくためのデータへの移行」「データの民主化」と表現する。そしてこれこそがDomoのようなツールを利用するにあたって一番重要なことだと語った。

「ツールを有意義に使うには、まず現場のスタッフ達が『自分たちはこういうデータをもらえれば、正しいアクションができる』と考えられるような意識づくり、風土づくりが必要でしょう」(須藤氏)

より直感的にデータを把握できるようになった現在、何を抽出し、どう行動に役立てていくか、改めて個人の力量が問われるようになってきているのかもしれない。最後に須藤氏が講演の中で語った言葉を引用して、本稿を締めよう。 「データはアクションを変える。アクションが変わらないデータには意味がない」

(マイナビニュース広告企画:提供 ドーモ株式会社)

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