従来型のストレージに関する課題解決手段として、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)に注目が集まっている。しかし、関心が高まっている一方で、「本当にコストメリットやスケールメリットは生まれるのか」「セキュリティは担保できるのか」といった懸念から、実導入フェーズについては、まだこれからという状況だといえよう。

SDSは、業務やアプリケーションの用途によってさまざまなタイプが存在するが、本稿ではそのなかでも、コストとパフォーマンスの点で特に大きな関心が寄せられている「サーバベースSAN」と呼ばれるタイプのSDSを取り上げ、サーバベースSANタイプの中でも存在感を放つ製品「EMC ScaleIO」を軸に、前述の懸念をどのように解消し得るかを解説していきたい。

汎用サーバで作る「超高性能」で「スケールメリットの高い」ブロックストレージ

サーバベースSANは、汎用サーバに用いられるx86ベースのハードウェアを利用して仮想的なSANストレージシステムを構築するものだ。ハードウェアを追加していくことで容易に拡張性を高めることができ、ソフトウェアを活用することで従来型のストレージでは実現が難しかった機能を提供する。

このサーバベースSANの代表とも言えるのが、EMCの提供する「EMC ScaleIO」だ。

ストレージに対する課題を様々な角度から解決するEMC。本稿ではその中でも、仮想的なブロックストレージを構築する「EMC ScaleIO」について取り上げる

ScaleIOは、仮想的なブロックストレージを構築するソフトウェア製品で、名前が示す通り、拡張性とパフォーマンスに優れていることが大きな特徴だ。また、入手しやすい汎用サーバを活用できるため、コスト面でも大きなメリットがある。さらに、ソフトウェアの機能により、エンタープライズクラスのセキュリティを提供することができる。

つまり、従来のSANストレージで課題になりがちなコストや拡張性、汎用サーバで課題になりがちなセキュリティを解決できるのがScaleIOなのだ。

表1. SDSを実現するEMC ScaleIOの3つの特徴
1. 圧倒的なコストパフォーマンス
2. ソフトウェアによる高い柔軟性
3. 強固なセキュリティ機能

具体的に、ScaleIOがユーザにどのようなメリットをもたらすのか、表1に提示した3つの特徴から、具体的に解説していこう。

特徴1. 圧倒的なコストパフォーマンス

ScaleIOの特徴の1つは、圧倒的なコストパフォーマンスにある。汎用サーバを使うことで、ハイエンドのSANストレージに匹敵する性能を持ったストレージシステムを低コストで構築することができるのだ。

ScaleIOの仕組みは、汎用サーバに内蔵されている複数のローカルディスクを1つに束ね、データを分散配置して、それらに並列にアクセスすることでIOPSを高めるというものだ。たとえば、サーバ1台のストレージ容量が1TBで、性能が8000IOPSだった場合、10台のサーバ(ノード)で構築した10TBのストレージでは8万IOPSの性能を実現することができる。サーバを追加で拡張すると、その分、性能がリニアに向上していくことがScaleIOの大きな特徴だ。128ノードで3105万IOPSという、SSDですら実現できないパフォーマンス評価結果もある(なお、性能向上に上限はないが、サポートは1024ノードまでとなる)。

128ノードでのIOPS評価結果(写真左。EMCジャパン提供)の通り、サーバを追加で拡張することで、性能はリニアに向上していく。ScaleIOでは汎用サーバに内蔵されている複数のローカルディスクを1つに束ねることで、リニアな性能向上を実現する(写真右)

従来のストレージシステムでは、高い処理性能が必要になった場合、ストレージのコントローラを物理的に交換するなどして性能向上を図る必要があるが、ハードウェアの交換を伴うことが多いため臨機応変にシステムを拡張することが難しく、ハードウェアのコストも高くなりがちだ。一方、ソフトウェア製品として提供されるScaleIOは、ディスク(ノード)を追加するだけで性能を向上させることができる。ディスクとして汎用サーバを用いることができるため、ハードウェアに関連するコストを大幅に削減できるというわけだ。

特徴2. ソフトウェアによる高い柔軟性

ScaleIO の2つめの特徴は、柔軟性や管理性の高さだ。ScaleIOは、複数のOS、ハイパーバイザー、メディアに対応したソフトウェアだ。物理環境でのWindowsやLinuxはもちろん、Hyper-V、vSpehre、KVM、Xenといった仮想環境にくわえ、OpenStackなどのプラットフォームにも対応する。メディアも、HDDだけでなく、SSD、PCIeフラッシュも利用できる。

表2. ScaleIOが対応するOS、ハイパーバイザー、メディア
OS. Windows、Linux…
ハイパーバイザー. Hyper-V、vSpehre、KVM、Xen…
メディア. HDD、SSD、PCIeフラッシュ…

高い柔軟性により、様々な用途への適用が可能

システムの構成を柔軟に行えることもScaleIOの特徴である。まず、既存のサーバとSANストレージによる2階層を踏襲した構成がある。2階層構成では、既存環境を生かすことできるため導入が容易で、アプリケーションはこれまでのSANストレージに対するのと同じようにIOを実行できる。もう1つは、アプリケーションとストレージを同一筐体にするハイパーコンバージド構成で、リソースのオーバーヘッドはより小さくなる。サーバを追加すればコンピュート性能とストレージ性能を同時に拡張することができる。

自社のシステムに合わせて、2階層構成(写真左)かハイパーコンバージド構成(写真右)かを適宜柔軟に選択し、構築することが可能

従来と同様の操作で管理を行うことが可能

管理性という点では、取り扱いの容易さも挙げられる。ScaleIOは、ブロックベースのドライバとして動作する。たとえば、Linux環境でストレージに「/dev/sdb」などのコマンドでアクセスするのと同じように「/dev/scinib」としてアクセスできる。データの分散配置については、構成管理サービス/プロセス(MetaData Manager)が自動で行うため、管理は不要だ。ノードを手動で追加したり、故障したノードを削除したりする場合も、MetaData Managerにより、自動でデータが再配置される。

構成管理サービス/プロセス(MetaData Manager)によって、ScaleIOクラスタの構成管理とデータがどのSDSに配置されるかが自動で決定される

特徴3. 強固なセキュリティ機能

セキュリティを中心としたエンタープライズクラスの機能を備えている点も、ScaleIOの大きな特徴だ。まず、データ保護という観点からは、分散配置で採用されている「2コピーメッシュミラーリング」という方式がある。これにより、データを完全に保護し、リカバリすることが可能だ。

ScaleIOで構築されたシステムへデータが書き込まれる場合、「2コピーメッシュミラーリング」の方式によって自動的にミラーリングによる冗長化が施される(写真左)。仮にノードのどれかに障害が発生した場合にも、右の写真のように障害が発生したノード内のデータを更に別のノードへミラーリングすることで、データを保護する仕組みだ

また、ストレージプールについては「保護ドメイン」と呼ばれるノードのグループを作成することができる。グループ化することで、そのグループで起こったノードの障害がほかのグループに影響がでないようにし、エラーの切り分けなどを行いやすくする。また、SSDなどをグループ化し、アクセス頻度に応じた階層管理なども行うことが可能だ。

大規模なクラスタを構成する際には、ラック単位で「フォールトセット(Falt Set)」を構築することができる。それぞれのラックをフォールトセットとして設定し、2つのミラーを同じフォールトセットに配置しないようにすることで、ラックをまたがった障害に対応する仕組みだ。

他のノードに障害の影響が出ないようグルーピングする「保護ドメイン(写真左)」や、ラックをまたがった障害に対応する「フォールトセット(写真右)」など、ScaleIOではデータ保護機能を多く備えることで、信頼性を高めている

このほか、QoS、スナップショット(書き込みも可能)、シンプロビジョニングなど、エンタープライズで求められるセキュリティ機能をScaleIOでは備えている。

ソフトウェアだけでなくハードウェアもまとめてサポートする「ScaleIO Node」も登場

SDSの採用に際し懸念をもたれることの多い「コスト」「性能」「拡張性」「セキュリティ」といった面を、ScaleIOは高い水準で解決する。EMCのサイトからインストールし、すぐに試用することができるScaleIOだが、柔軟にスケールアウトできる製品であるため、詳細なサイジング無しにスモールスタートできることも大きなメリットだ。

新たに提供を開始する「EMC ScaleIO Node」

さらにこの10月からは、EMCが設計し、事前に検証、テスト、構成を済ませたアプライアンスとして出荷するSDS製品「EMC ScaleIO Node」の提供を開始した。

ScaleIO Nodeは、ラックに汎用サーバ、ストレージ(HDD、SSD、PCIeフラッシュ)、ネットワーク機器を組み合わせて提供するアプライアンス製品で、サーバで実行するOS/ハイパーバイザを選択し、単一システムとして容量や性能を拡張させていくことができる。単一ラックで最大60サーバノードまで拡張でき、クラスタは、複数ラックで3ノードから1000ノード以上まで拡張可能。既存のスイッチとラックも使用でき、必要に応じてEMCから購入することもできる。

ハードウェア面とソフトウェア面のサポートをEMCに一任できる点や、事前インストールの上で提供されすぐに使い始めることができる点など、アプライアンス故のメリットを求める場合、ScaleIO Nodeを選択すべきだろう。

ここまで見てきたように、SDSは、コスト、パフォーマンス、管理のしやすさ、セキュリティといった面でユーザに大きなメリットをもたらすものだ。特にブロックストレージの分野では、コストや拡張性が課題になりがちだったが、サーバベースSANが登場し、普及しはじめるなかで、状況が大きく変わりつつある。ScaleIOやScaleIO Nodeは、そうしたSDSが持つメリットを十分に引き出す製品となっているので、SDSの採用を検討する企業は、ぜひ注目してほしい。

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