インフラも“攻め”の姿勢にこだわる

リクルートが主要事業部門および横断機能部門を分社化し、2012年10月1日付けで誕生したリクルートテクノロジーズ。同社は、各種サービスのシステム開発やWebマーケティングなど、リクルートグループの各サービスをITの側面から支えるプロフェッショナル集団だ。その中でもインフラソリューション部は、リクルートグループの各事業会社に対して、商用ネットサービス向けインフラおよび社内インフラサービスの企画・設計・構築・運用を手がける部隊である。

インフラエンジニアというと、一般的には「保守運用」や「トラブルシューティング」「コスト削減」といった“守り”のイメージが強い。しかし同社のインフラソリューション部は、個々のエンジニアに「圧倒的な当事者意識」を強く求める、“攻めの部隊”といえる。

リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 インフラソリューション部 執行役員 エグゼクティブマネジャー
阿比留竜一氏

リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 インフラソリューション部 執行役員 エグゼクティブマネジャーの阿比留竜一氏は「リクルートグループは2020年に人材領域で、2030年には人材・販促領域でグローバルNo.1になるという目標を掲げています。私たちは、そのビジネス基盤となるインフラもグローバルNo.1を目指すべきだと考え、一人ひとりが誇りと使命感を持って品質の維持・向上や新技術への積極的な挑戦を常に実践しています」と語る。

大規模な共通インフラの仕様を決められる喜び

こうした前向きな意識は、4年前に中途入社した同氏のキャリアからもうかがうことができる。分社前のリクルートでは当時、4つに分かれていたデータセンターを、自社で立ち上げた共通インフラ「RAFTEL」へ統合するプロジェクトが完了したところ。入社して最初に取り組んだのが、移行を終えた直後のRAFTELについて、課題の洗い出しを行うというミッションだった。

「課題の洗い出しだけではなく、原因の分析に加えて“こうしたら良い”という自分なりの意見を添えて、1ヶ月程度でまとめ上げ提案しました。リクルートにはもともと自発的な意見と行動を尊重する雰囲気があるので、社歴に関わらず、筋の通った提案であれば受け入れる文化が根付いていました。そうした背景もあって、大胆な提案もしやすかったですね」と、当時を振り返りながら語る阿比留氏。

同氏の提案内容は、新しいアーキテクチャによって運用にかかる維持費を削減し、その結果、基盤上で稼働するサービスのページビューあたりのコストを約半分に削減できるというもの。この画期的な提案は当時の経営陣からも認められ、ネットワークインフラを刷新する「RAFTEL改プロジェクト」が始動。ピーク時は150名ほどの人材を動員する規模の大規模プロジェクトとなり、2015年9月現在はほとんど移行が完了しているという。

「当時は私自身にプロジェクトマネジメントの経験がなく、前職でも技術的な部分でアーキテクチャの設計をメインに担当していました。ここまで大規模なプロジェクトに参加すること自体が初めてで、しかもマネジメントも任されたので、常に考えながら進行していましたね。メンバーが多いだけに、どうしたら効率良くチームとして成果を出せるか、プロジェクトマネジメント関連の勉強も独学でOJTしながら必死でした」と阿比留氏。

こうした難しさを感じると同時に「グループ全体のサービスに関わる大規模な共通インフラの仕様を、自分自身の手で決めていける。これはインフラエンジニアとして一番やりがいがありました。RAFTELは、リクルートが提供する多くのサービスが同居するインフラです。もちろん、サイトを運営するすべての事業部門の意見を採り入れることはできません。大多数が納得できるところを見極め、合意形成するのは大変ですが、そこも腕の見せ所です。また、当時の自分にとっては、まったく新たな経験だったので、プロジェクトを通じて非常に成長できたという充実感もありました。それにしても、よく未経験の自分に任せたなと今でも思いますね」と、自身が体感した仕事の面白さを語ってくれた。

業務を大きく変えた組織改革プロジェクト

阿比留氏はRAFTEL改プロジェクトと並行する形で、2013年4月よりインフラ組織の課題解決に向けた「インフラ組織改革プロジェクト」を立ち上げた。この背景として、当時のインフラ担当部門は社員比率が7%程度、パートナー企業の常駐メンバーに対する技術的依存度が非常に高かったという実情がある。ビジネスとして実現したい世界と、技術的な実現可能性の、両方を踏まえた判断ができていない状況に対し、危機感が強まっていた。また、社内IT向けインフラと商用サービス向けインフラのチームが別組織で、共通したノウハウを持ちながらも情報共有が行われていなかったのも課題だった。

そこで同プロジェクトでは、対策の1つとして、よりビジネス要件に沿った意思判断、インフラ運用を社員主導で実現するために中途採用社員の増強を決定。2014年4月の時点で24名だった社員数が、現在は3倍以上の81名まで増加している。 さらに、組織再編によって社内IT向けインフラと商用サービス向けインフラの部隊を、インフラソリューション部として統合。より効率的な業務と、組織間でのナレッジ共有を実現したのである。

「リクルートグループでは、大規模なプロジェクトが継続的に、ときに複数が並行して発生します。正直なところまだ人材が不足しているくらいですが、当時と比べて対応する状況は大きく変わりました」(阿比留氏)

実務経験で急成長した2つの能力

阿比留氏はこうした経験を通じて、「ロジカルシンキング」や「課題解決」といった能力が急成長したという。いずれも、“リクルートへ転職してから強みになった”、むしろ“それまではできていないと思っていた”というから驚きだ。

まずロジカルシンキングは、転職後、“考えてから行動しなければ物事が何も進まない”という状況が圧倒的に多くなったことに起因する。

「前職までは、課題に対する使用ソリューションの選択や提案なども、ある程度パターンが決まっており、それをこなすという仕事のスタイルでよかったんです。しかし弊社では、そうした行動パターンが通じない。「ゼロベースで考える」ことが常に求められます。社内コミュニケーションにおいても“なぜそう思うのか?”をひたすら突き詰める文化が浸透しており、一般論より自分自身の意見や考えが重要になります。考えが浅いとすぐにバレてしまうんですね。どこまで考えたか、筋が通っているかが重要になります。リクルートグループ全体として見ても、これ以上に大事なスキルはないと感じています」と語る阿比留氏。

では、課題解決の力はどうやって身につけたのか?
要因としては、定常的な業務があまり存在しないことが挙げられるという。与えられるミッションは、誰もやったことがないテーマや課題ばかり。ロジカルシンキングにも通じる部分ではあるが、大半の業務においてイチから自分で考えて、自身で関係者を巻き込みながら解決を目指すため、そうした中で能力が大きく成長したそうだ。

さらに課題解決で必須とされる「揉め事の仲裁能力」も同時に強化されたという。 プロジェクトを進行していると、事業部門との間で、時にはメンバー同士で、意見が対立することもある。そうした際、意見調整により何らかの形で決着させて前に進まなければ、プロジェクト遂行が困難になってしまう。

「コツとしては、対立関係にあったとしても、共通のゴールはどこかにあるはずなので、それをまずは思い出してもらうようファシリテートすることです。この共通のゴールに向けて、現在考えられる制約の中でどちらの道を進むと良さそうかを考えましょう、とよく言っています。“成功確率が高まるのはどちらか?”について議論すると、大半は良い方向へ進んでいきます。リクルートにくるまでは、経営陣がどうして上記のような思考プロセスを取って判断するのかがわかりませんでしたし、気にもしなかったのですが、実際に意識してみると、とても役に立っているんです」(阿比留氏)

社員主導とオンプレミスへのこだわり

最後に阿比留氏は、「最近はインフラをすべてクラウド化して、アウトソーシングする企業も増えていますが、そんな中で、クラウドをうまく取り入れつつも、社員主導とオンプレミスにこだわっている点がリクルートグループならではのポリシーといえます。これは、各事業会社がやりたいことを確実に実現しつつ、グループ全体としてもコストの最適化やサービス提供スピードの高速化を図っていける、最適な方法だと判断しているからです」と語った。

こうした“攻めの姿勢”を背景に、インフラソリューション部では今後もますます、各事業会社からの要望を受けるだけでなく、将来を見据えて先回りした提案を強化していきたいという。

グループ全体のサービス基盤となるネットワークインフラ、そして約3万人ものユーザーが使う社内IT向けインフラを支え続けているインフラソリューション部。いずれも24時間365日稼働するミッションクリティカルな大規模インフラであるが、インフラエンジニアとしてのやりがい、そして自身の成長の幅は非常に大きい環境といえるだろう。

(マイナビニュース広告企画:提供 リクルートテクノロジーズ)

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