ネットアップは、1992年にカリフォルニアで創業して以来、自社開発に注力し続けている世界的なストレージベンダーの1つである。昨今では「データ ファブリック」というメッセージを掲げて、各種ベンダーとの協業も積極的に行っている。一見、競合にも見えるストレージソフトウェアベンダーであるクラウディアンとの協業も、よりよい“データ管理”を実現するための施策の1つだ。そこで本稿では、ネットアップ 技術本部 シニアクラウドアーキテクトの杉本直之氏とシステム技術本部 カスタマーブリーフィングセンター長 エバンジェリストの河西学氏、そしてクラウディアン 取締役 COOの本橋信也氏に、両社の取り組みについて伺ったのでその内容紹介する。

適所適材なストレージを開発、クラウドにも注力

── 最近のストレージ動向とネットアップの取り組みについて教えてください

ネットアップ株式会社 システム技術本部 カスタマーブリーフィングセンター長 エバンジェリスト 河西学氏

河西氏 この5年ほどはクラウド──特に、オンプレミスシステムとパブリッククラウドやプライベートクラウドサービスを併用するハイブリッドクラウドでの連携に注目し、「データモビリティ」をミッションとして開発に取り組んでいます。

ネットアップでは、2014年から「データ ファブリック」というコンセプトを掲げ、異なるクラウドどうしを統合し、複数のクラウドをまたいでデータを管理したり、ポリシーに応じてデータを移動したりできる仕組みを提案しています。米ネットアップのジョージ・クリアンCEOは、どのような航路や航空会社を用いても目的地に到達できる「国際線の航路図」を例にして表現しています。

つまり私たちは、データを失うことなく自由に移動できる仕組みを作りたいと考えているのです。その意味で、豊富なアプリケーション等と連携するCLOUDIAN HyperStoreのアプローチと非常に近いと思います。

本橋氏 ネットアップというとアプライアンスのイメージが強いですね。

杉本氏 私たちは、ソフトウェアのみにこだわるわけではなく、特定のハードウェアに固執することもなく、どちらにもフォーカスして最適なストレージを作る努力を続けています。最近ではフラッシュを搭載したストレージが注目されていますが、当社は、読み出し専用キャッシュとしてフラッシュを利用する製品を2009年に発表しています。

当時はリーマン・ショック直後で、コスト削減の目的から、シンクライアントが流行していた時期で、高いパフォーマンスを得るため、データをフラッシュに載せる方式が注目されました。このときは当社もハードウェア──メモリの選定に注力していたと記憶しています。

ネットアップのストレージ製品は、CLOUDIAN HyperStoreのように汎用IAサーバを用いることはありませんが、特定のベンダーなどに依存するものではありません。「適所適材」的な製品開発が、私たちの得意とするところです。

クラウドストレージを最大限に活用するためのストレージ

── CLOUDIAN HyperStoreと連携するNetApp AltaVaultとはどのようなストレージ製品でしょうか

ネットアップ株式会社 システム技術本部 シニアクラウドアーキテクト 杉本直之氏

杉本氏 端的に言えば「Disk to Disk to Cloud」、クラウドを活用したバックアップ環境を実現するストレージ製品です。昨今は、さまざまなストレージサービスが登場していますが、どのように使えばよいかという点で課題が残されています。それに回答を与えるのが、NetApp AltaVaultです。

具体的には、CIFSやNFSなどのローカルネットワーク上で用いるファイル共有プロトコルを、クラウドストレージのRest APIやAmazon S3などへのプロトコルへ変換する仕組みが中核となりますが、これに合わせてハードウェアを最適化しているところがポイントです。

私たちが注意したのは、バックアップ先を従来のテープからクラウドストレージに移行したときに生じる運用プロセスの変化です。NetApp AltaVaultはテープを置き換えるように導入でき、バックアッププロセスを変更することなく、メディアの入れ替えなどの人的作業を削減することが可能です。

河西氏 もう1つのポイントは、ストレージコストを抑制する効果です。クラウドストレージは、使いはじめは安価ですが、データ容量が増大すると想像以上に高額な課金に驚かされます。

NetApp AltaVaultは、データの圧縮と重複排除をインラインで実行し、データの肥大化を抑制します。特に重複排除は、データを世代管理する際に絶大な効果を発揮します。さらに、暗号化の機能も持っていますので、クラウド上へ安全にデータを格納できます。また、忘れられがちな回線コストにも注目していただきたいところです。NetApp AltaVaultで送信するデータ容量を小さくすれば、回線コストの増大を抑制する効果が得られるのです。

NetApp AltaVault自身のローカルストレージは、バックアップデータのキャッシュのように利用できます。リストア対象になりがちな最新のデータをローカルに保存しておき、古くなったコピーのみをクラウド側に送るというわけです。

杉本氏 最大のポイントは、インタフェースの豊富さでしょう。一次ストレージ側は、当社のみならず各社のストレージ製品との接続が可能で、既存のインフラへシームレスに統合することが可能です。

バックアップ先は、Amazon S3/GlacierやMicrosoft AzureなどのパブリッククラウドやCLOUDIAN HyperStoreなどを活用したプライベートクラウドなど、さまざまなサービス/製品から選択することが可能です。

NetApp AltaVaultとHyperStoreは重要なパートナー

── CLOUDIAN HyperStoreの魅力はどこにありますか

杉本氏 長期的なデータライフサイクルの視点で考えたとき、ストレージの「スケールアップ」「スケールアウト」「階層化」が非常に重要です。特にNetApp AltaVaultは、ネットアップが“自社製品に依存した階層化”から脱却するためにある製品と言えるでしょう。その点で、CLOUDIAN HyperStoreを採用する国内外のクラウドサービスやエンタープライズのオンプレミスにおける膨大なストレージ空間と連携できる点は大きなメリットです。

技術的に注目したいのは、Amazon S3 APIに“完全準拠”しているところです。もはや事実上の標準となっていることもあり、ストレージベンダーとしても、Amazon S3は注目の技術です。

クラウディアン株式会社 取締役 COO 本橋信也氏

営業的な観点では、サービスプロバイダーやデータセンター事業者、エンタープライズなど、世界中で利用されているというユーザーの広範さは重要なことです。ユーザーの選択肢を広げるという意味で、CLOUDIAN HyperStoreとの接続性は重要な要素です。

本橋氏 CLOUDIAN HyperStoreとNetApp AltaVaultは、従来機のころから相互接続性を検証し、問題なく連携できることが実証されています

杉本氏 CLOUDIAN HyperStoreは、ニフティクラウドやNTTグループなどのパブリッククラウドサービスでも基盤技術として活用されていますし、私たちにとっても力強い連携先だと感じています。

本橋氏 今後も、グローバル規模での販売展開も含め、協業関係を強化していきたいですね。

(マイナビニュース広告企画:提供 クラウディアン)

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