「私が感じるところでは、BIツールを導入している日本企業のうちの半数くらいは、それによる効果を殆ど上げられていません。 ビッグデータをきちんと活用できている企業となると、10%もないように思います」

そう厳しい意見を述べるのは、株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)でリサーチディレクター/シニア・アナリストを務める生熊 清司氏。2015年7月29日に開催されるセミナー「経営層から現場まで『全社データ活用』の成功の秘訣~見える化からアナリティクスまで~」 での講演に先だって、氏が長年、IT製品の選定や活用のコンサルティングに携わる中で見えてきた、日本企業が抱えるBIツール利用の問題点などを伺った。

株式会社アイ・ティ・アール リサーチディレクター/シニア・アナリスト
生熊清司氏

定量分析から独自分析へシフトしていくニーズ

ITRが昨年9月に行った「大企業におけるBIツール活用状況に関する調査」の結果によると、BIツールを用意するIT部門と、それを使う現場との間には、かなりの温度差があるようだ。

下図のレポート結果を見てほしい。IT部門(提供者)側は、BIツールを「レポート作成作業の省力化」に利用してもらうことを第一に考えている。日本企業では現在、この利用方法が主流であることを踏まえての回答だろう。しかしグラフからは、現場(利用者)が「分析の高度化」のための活用を強く望んでいることがわかる。月次・週次報告のために定型データを定量分析するだけでなく、独自の分析に役立てたいという意向だ。「ビッグデータを早急な意思決定に役立てて、急速に移り変わる市場に対応しなければならない」「同業他社に先んじなければならない」という命題を前に、BIツールへの期待は今後ますます大きくなっていくと予想される。

IT部門が思う以上に、現場は「高度な分析」を求めている。~ITR「大企業におけるBIツール活用状況に関する調査」(2014年9月 有効回答数215)より

効果が上がらない理由の一つは、ツール選定の失敗

しかし冒頭に記した生熊氏の言葉のように、BIツールを導入しても「半数の企業が効果を上げられていない」という現実があることを、ここで思い返す必要がある。なぜそのようなことになってしまうのだろうか? 生熊氏はその一例として、とある企業のエピソードを語ってくれた。その企業では、有名なBIツールを高額で購入してシステムを構築したものの全く役に立たず、ITRに相談を持ちかけてきたという。原因は企業側がやりたかったことと、ツールの性能のミスマッチだった。企業では1,000人規模での利用を想定していたが、導入したツールは、数十人がアクセスすると処理能力の限界に達してしまうものだったのだ。「まさか! 自分ならそのくらいの下調べはする」と思われる方も多いだろうが、生熊氏によれば「多くの企業をコンサルティングしていると、似たようなケースにしばしば行き当たる」という。

「導入時、そのツールで何をしたいのか、どんな規模で使いたいのかなどは明確にしておくことが重要です。今のBIツールは大抵、データをビジュアライズできる・操作性が良い・高速に使える、という3つを特長としてあげていますが、だからといって『どれを導入しても同じ』というわけではありません。一口にBIツールといっても、製品によって得意とする分野も違いますから、目的・環境に合ったもの選択しなければ、大きな損失になってしまうでしょう」

分析結果をどう活かすかは、人間の仕事

また同業で、全く同じツールを利用している企業間でも、「凄く役立っている」というところと、「使い物にならない」というところが出てくることもあるという。 「何が違うかと言えば、使う人のスキルや使い方です。BIツールはあくまで『道具』なので、使いこなさなければ意味がありません。手持ちのデータをすべて解析して、そこになにがしかの法則性を探すというのは、殆ど占いのようなもので、的確な結果を導き出すのは困難でしょう。BIツールは、熟考して立てた仮説を検証するため、そして検証結果を次の予測に役立てるために利用すべきです。そのためにはツールの導入だけでなく、人材育成や組織作りにも気を配る必要があります。―― ツールの進化は今後も止まらないでしょうが、分析結果をどう活かすかの最終決断は人間が行わなければいけない、ということを忘れてはいけません」(生熊氏)

セミナーでは、高度な分析へのニーズが圧倒的に大きくなる将来のことを考えながら、今、自社に最適なツールを選ぶには何に留意すべきか、導入費用をどう捉えるべきかなど、ツールやソリューションの選定に携わるIT部門の担当者にとっても、導入されたものを利用するマーケティング部門や経営層にとっても興味深い話が語られることになっている。

他にもアサヒグループによるデータ活用事例や、SAS Institute Japanによる最新ソリューションの紹介などが予定されている。市場の変化が激しく、予測を立てにくい現代を生き抜くために、ぜひ本セミナーを役立てていただきたい。

開催概要

マイナビニュース主催「データ活用セミナー」
『経営層から現場まで「全社データ活用」の成功の秘訣 ~見える化からアナリティクスまで~』
開催日時:2015年7月29日(水) 13:30(開場 13:00)~16:20
会場:〒163-1526 東京都新宿区西新宿1-6-1-19F(入り口5番扉)
新宿エルタワー19階 マイナビルーム ルーム1
参加費:無料(事前登録制)
定員:80名
申し込み締切日:2015年7月28日(火)18:00まで
セミナーの詳細はこちら から・お申し込みはこちら から

(マイナビニュース広告企画:提供 SAS Institute Japan株式会社)

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