一般的にディザスタと呼ばれるシステムダウンの原因の多くは、ユーザーのオペレーションミスやハードウェア障害にある。これらは発生前に察知することが困難であり、事前の予防対策は不可能だと言っても過言ではない。そのため、高度な可用性を求められるミッションクリティカルなシステムでは、HA(High Availability)を実現するためにクラスタを構成し、ダウンタイムゼロの実現を目指す。また、クラスタまでは構成しない業務システムについては、数時間単位の停止を許容した上での事業継続を検討する。

従来、こうしたシステムを構成するには、長い導入時間と手間、多大なコストがかかることが多かった。HAのために専用のクラスタソフトを採用したり、業務システム向けにディザスタリカバリ(DR)システムを構築する必要があったからだ。

しかし現在、こうした課題は専用ソフト、あるいは多くのコストをかけずに解決できるようになっている。それを実現するのが、ノベルが提供する「SUSE Linux Enterprise Server」と、DR アプライアンス「PlateSpin Forge」だ。SUSE Linuxは、高信頼性のHA機能がOS ネイティブで稼働し、クラスタソフトとしての魅力的な候補だ。また、PlateSpinは、計画外の業務停止を最小限に抑え、容易にサービスを再開できるDRソリューションだ。ノベルのソリューションは、HAからDRまで、業務のダウンタイムゼロを目指す企業をサポートする。

RTOに準じたリカバリプラン

もう専用クラスタソフトは要らない!?

ノベルが提供する「SUSE Linux Enterprise Server」は、ミッションクリティカルシステムや高可用性が求められる業務アプリケーション向けに数多くの実績があるLinuxディストリビューションだ。高信頼性のHA機能「SUSE Linux Enterprise High Availability Extension」(以下 SLES HA)をOSネイティブで備えることが大きな特徴で、この機能を有効化するだけで、HA 環境が構築できるようになる。特別なクラスタソフトウェアを必要としないため、OS ならではの安定性に加え、最小限のコスト、手間と時間でダウンタイムゼロを実現することが可能だ。

SLES HAが提供する3つのメリット

HA機能は、オープンソースのHA クラスタソリューションとして提供され、ミッションクリティカルシステムに対して、大きく「ビジネスの継続性維持」「データ整合性の保護」「予期せぬダウンタイム削減」の3つの価値を提供する。

一般的なクラスタやHA 構成は、拠点内の機器だけで構成されることが多く、地域的な大規模災害への対応に課題がある。例えば、遠隔地とのクラスタ構成をどう確保するか、距離の遅延によるデータの整合性をどう保つかといった課題への対応も必要となる。さらに、オペレーションミスやハードウェア障害といった予期せぬダウンタイムにも対応しなければならない。その意味で、SLES HA機能が提供する「ビジネスの継続性維持」「データ整合性の保護」「予期せぬダウンタイム削減」という3つの価値は、現在のユーザー企業にとって、大きなベネフィットになるものなのだ。

クラスタリングのシナリオ

SUSE LinuxのHA機能は、専用のHAクラスタソフトと同等の機能を提供している。クラスタ構成として一般的な、アクティブ/パッシブ構成、アクティブ/ アクティブ構成をサポートするほか、ハイブリッド物理仮想クラスタもサポートする。ハイブリッド物理仮想クラスタでは、物理環境でアクティブ/パッシブ構成やアクティブ/ アクティブ構成をとれるだけでなく、仮想サーバを物理サーバとともにクラスタ化することで、物理と仮想をまたがったり、アクティブ/ パッシブ構成を実現することができるというものだ。

クラスタがサポートするアプリケーションは、SAP、Oracle、DB2 など、データベース、ミドルウェアを含めて、商用、オープンソースを問わず利用できる。

下の図にあるように、共有ストレージを使ったアクティブ/アクティブやアクティブ/ パッシブ構成や、共有ストレージを使わずにデータストアを分散して同期させる構成をとることができる。後者の非共有ストレージ型は、仮想環境やクラウドとの親和性が高いため、物理環境と仮想環境を混在させたクラスタ構成を実現しやすい。このように、SUSE Linux はOS標準の機能で、一般的なクラスタ構成から、仮想環境を対象にしたクラスタまで対応できるというわけだ。

共有ストレージ型と非共有ストレージ型クラスタ構成例

拠点間をつなぐクラスタ構成も可能

距離の離れた拠点間をつなぐクラスタ構成も可能だ。クラスタを距離で見た場合、拠点内で行う「ローカルクラスタ」、数十㎞の距離で行う「メトロクラスタ」、数百㎞以上の距離で行う「Geoクラスタ」がある。一般的には、距離が離れることでネットワーク遅延が発生するが、SUSE のHA 機能では、こうした遅延に対して距離に応じて適切な処理を行うことで、メトロクラスタやGeoクラスタといった距離の離れた拠点間をつなぐクラスタの信頼性を担保している。距離に関する処理を除けば、構成やシナリオはローカルクラスタとまったく変わらない。

これらクラスタを、国内の地理環境にたとえるなら、メトロクラスタは東京のデータセンターと横浜や埼玉のデータセンターでクラスタを構成するイメージだ。一方、Geoクラスタは、東京のデータセンターと大阪や福岡のデータセンターとクラスタを構成するイメージになる。

メトロクラスタの構成図

Geoクラスタの構成図

メトロクラスタの事例としては、ドイツ航空が国内の複数のデータセンター拠点を結び、ドイツ全土の航空トラフィックを 制御しているケースがある。データセンター拠点ごとにSUSEのHA機能を使ってローカルクラスタを組み、それをさらに、拠点間でメトロクラスタとして構成し、ダウンタイムゼロ、データ保護、事業継続を実現している。メトロクラスタよる最大規模の事例だという。

これに対し、Geoクラスタは、メトロクラスタの距離を無制限にしたソリューションだ。メトロクラスタと同様、各サイトは独立したクラスタであり、大陸をまたがったクラスタ構成を組むことができる。先ほどの例で言うなら、Geoクラスタでは、東京と大阪のデータセンターだけでなく、米国やシンガポールのデータセンターとクラスタを組むこともできるイメージだ。クラスタの構成としては、非共有ストレージ型を活用し、アクティブ/ パッシブのストレージレプリケーションを行うことで実現することが多い。また、仮想環境やクラウド環境の利用するケースも多い。

国内ではクラスタというと、拠点内でのローカルクラスタが多いが、グローバルのユーザー動向としては、自然災害や大規模な障害などもふまえ、メトロクラスタを採用するケースが急速に進んでいる。また、企業のグローバル展開やDR 対策が進むなか、メトロクラスタをGeoクラスタに発展させるケースも増えている。SUSEのHA機能が、ローカルクラスタからメトロ、Geoへの展開がスムーズに行える点が、そうした動きを支えているのだ。

リストア不要。
ビジネスアプリケーションを簡単にリカバリ

「PlateSpin Forge」は、ノベルが提供する、業務システムのバックアップと事業継続を実現するアプライアンス製品だ。アプライアンスを設置するだけで、物理、仮想を問わずあらゆる業務システムのバックアップを取得し、必要なタイミングで必要なアプリケーションを高速にリカバリすることができる。

すでに見たように、ミッションクリティカルシステムや高可用性の業務アプリケーションには、クラスタやHA構成による高い保護レベルが求められる。ただ、こうしたクラスタやHA構成を、一般的な業務アプリケーションなどのダウンタイムを許容できるシステムにまで適用するのは現実的ではない。業務の重要度に応じて、どのアプリケーションをどの程度の時間でどのレベルまで復旧させるのかを決めることができれば、コストや手間を最適化することができる。PlateSpinは、まさに、そのようなミッションクリティカルな領域に含まれない業務アプリケーションのバックアップと事業継続をカバーする製品だ。

PlateSpinの特徴をひとことで言うと「リストア不要の業務リカバリ」が可能ということだ。動作としては、アプライアンスの中に仮想ホスト機能を搭載し、バックアップ対象のシステムをまるごと仮想マシンへP2V,V2V 変換して取得し逐次アップデートしていく仕組みだ。システムに障害などが起こったときは、変換した仮想マシンを直接アプライアンスから起動する。バックアップデータからシステムリストアする手間がかからず、仮想マシンがそのままアプライアンスの中で立ち上がるため迅速な復旧が可能になるというわけだ。一台のアプライアンスで集約して保護することができるため導入・運用コストを抑えることができる。

バックアップの取得頻度や取得範囲は、任意に決めることができる。復旧(フェイルオーバー)はワンクリックで行うことができる。最終的には、本復旧として元の環境や新規構築した環境へ移行(フェイルバック)できる。スケジュールによる同期であるため、ネットワーク遅延の影響を受けることはなく、遠隔地に設置することで災害対策サイトとして利用することもできる。また、仮想イメージをBCPで必要になる訓練で利用することも可能だ。

SUSE HAとの違いとしては、カバー領域の広さがある。メールやグループウェアなどの情報系システム、ダウンタイムを許容できるWebサイトや業務アプリケーションなど、HA 機能を必要としないシステムすべてに対応することができる。最重要システムをSUSE HA、重要システムはそれぞれの重要度に応じてPlateSpin を、といった使い分けが可能になるのだ。SUSEはもちろん、他社Linuxディストリビューションや、Windows系システムなど、異機種混在環境でも利用できることも大きなメリットとなっている。

PlateSpinによるIT-BCP対策 実現イメージ

(マイナビニュース広告企画)

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