これまでにも、自分の第一希望企業から内定をもらって家族に報告したら、予想外に大反対されてしまい、転職そのものを断念せざるを得なかったという例は珍しくない。転職とは、新たに得られるものと、失うものがある。どういう背景から転職を考えたのか、何を望んでいるのか、家族も納得して転職活動を応援し、内定を喜んでくれるような対話を持つことが大切だ。

■恐怖! 「内定後」もトラブルは転がっている

転職活動中は、選考中・内定時・内定後、いつでもトラブルが起こる可能性がある。藤田氏によると、なかでも「内定後」のトラブルが多いという。

「メーカーA社に勤めていたOさんが、A社の取引先である大手企業B社に内定をもらった。しかし、大喜びもつかの間、なぜか内定は取り消しになってしまった。実はOさんの上司がB社へ転職予定だということを知ってしまい、A社からB社にクレームをつけたのです。個人の転職活動がA社とB社の取引関係を揺るがしかねないことになったわけです。社内で転職先を明かしてしまったりすると、せっかくの転職がふいになってしまいかねないという例ですね。」(藤田氏)

なんとも恐ろしい話だ。もしも内定を取り消されたら、OさんはA社の中で「取引先のB社に転職しようとした人」とレッテルを貼られてしまう。最悪の場合は、A社に居られなくなることもあるだろう。こんな惨事にならないために、スムーズに退職するためのポイントを聞いてみた。

「退職するときに、会社で言うべきことは二つだけ。一つは“辞めることを決心した”ということ。相談するという段階ではなく、すでに辞意が固まっていることをはっきりと伝えてください。二つ目は、“辞める時期”です。この二つ以外は余計なことは言わない。間違っても、内定先の企業名は絶対に教えてはいけません。」(藤田氏)

ほかには「自分が提出した退職願を直属の上司が手元で止めてしまい、人事部まで上げてくれず、退職日の調整を進めようにも進められず、転職先へ当初予定していた時期を遅らせてもらわなければならなかった」というケースもあったそうだ。

転職活動は、次の転職先へ無事に入社するまで完了していないということを認識して、慎重かつ迅速に段取りを進めることが大切だ。次回は藤田氏に“IT業界特有の転職トラブル”事例を伺っていく。

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