ここ1~2年の間、スマートフォンの話題一色となっている携帯電話業界。昨年度はついに、スマートフォンとフィーチャーフォン(iモード対応端末などの従来型携帯電話)が出荷台数で逆転。これまでは新しい物好きの先進的なユーザーによって市場の拡大が牽引されていた形だが、いよいよこの春以降、スマートフォンはすべての人々に向けた本格的な普及段階に入ろうとしている。

スマートフォンの特徴として、大型のタッチスクリーンなど外見上のポイントを指摘することもできるが、機能に関してより本質的な要素を挙げるとするならば、PCのようにユーザーが自分でアプリを追加してカスタマイズできること、そして、インターネットとの親和性が極めて高いこと、この2点ではないだろうか。

携帯コンテンツのスマホ対応が企業の急務

スマートフォンでは、従来のモバイルコンテンツよりずっと表現力豊かで、しかも大容量のアプリを、App StoreやGoogle Playなどのマーケットを通じて簡単に広く提供することが可能になった。コンテンツプロバイダやクリエイターにとって大きなビジネスチャンスであるばかりか、あらゆる企業にとってプロモーションその他マーケティング施策に新たな可能性が生まれることを意味する。

とはいえ、スマートフォン向けのコンテンツやサイトの提供に関心がある、いずれやらなければいけないと理解していても、どこから手を付けていいかわからない、自社で制作するのはハードルが高いと感じている企業は少なくないだろう。そこで今回ご紹介するのが、モバイルコンテンツの制作やサービス運用で豊富な実績とノウハウを持つシステム開発会社のB-WOODSだ。

プログラミングの知識がなくてもアプリ作成が可能

お話をうかがったB-WOODS代表取締役の鈴木義守氏

同社は2008年10月設立という比較的若い会社だが、代表取締役の鈴木義守氏をはじめとする創業メンバーは、フィーチャーフォン時代から過去10年にわたりモバイルコンテンツの開発・運営や、インターネットを利用した広告・マーケティングなどに携わってきた精鋭部隊だ。このタイミングで会社を起業した理由としては、まさにモバイル市場の潮流がフィーチャーフォンからスマートフォンへと変わりつつあったこと、そしてSNSやソーシャルゲームのようなユーザー間のコミュニケーションが主体となるコンテンツが急速に拡大していたことが背景にあり、同社では特にこれらの分野にフォーカスしてコンテンツやシステムを拡充しているという。

そのB-WOODSがこのほど新たに提供を開始したのが、プログラミングの知識がなくてもスマートフォン用アプリを開発できるアプリエディターの「G-BOOK」だ。しかも、このツール自体は既にWeb上で公開されており、法人・個人を問わず無償で利用することが可能だという。


アドベンチャー・シミュレーションゲームに最適化

同社はフィーチャーフォン向けの公式サイトや、ソーシャルプラットフォーム向けのアプリを多数運営した実績から、スマートフォンにおけるコンテンツの主流は電子書籍になるだろうと予測し、数年前から電子書籍の動向に注目してきた。しかし、メジャーな団体が推奨する規格はいずれも紙媒体を電子化することに主眼をおいており、最初からデジタル向けに作られたコンテンツの出力としては、最適ではないと判断。そこで、アドベンチャーゲームや育成シミュレーションゲームを提供することに最適化したシステムを開発するにいたった。G-BOOKは、プログラムの知識がなくても、アニメーション、音声、動画の再生はもちろん、選択肢や変数の計算による結果の分岐など、エディター上に必要な要素を並べていくだけでゲームができるツールで、完成したゲームは専用に開発したアプリと区別がつかないものになる。

さらに、動的な部分の作成時間を大幅に短縮できるため、アドベンチャーやシミュレーションゲームだけでなく、派手な表示を行いたい電子カタログなどの作成にも適している。紙面上の動かないコンテンツを表現するなら、他社の規格のほうが単純で認知度も高いかもしれないが、アニメーションを動作させるなら、G-BOOKが圧倒的に優れているといえる。

G-BOOKで作成された恋愛シミュレーションゲーム「PLATONIC BLOOD」の公式ホームページ

G-BOOKはPC上で動くツールだが、制作したコンテンツがスマートフォンではどのような見え方になるか、ツール上でプレビューが可能なので効率良く作業を進めることができる。ツール自体は無償で利用でき、完全なコンテンツを制作することが可能だが、スマートフォンに展開可能な配布形式のファイルにコンパイルする機能は搭載しておらず、ツール上でのみ利用できる中間ファイルの形で出力される。中間ファイルから配布形式へのコンパイルは、B-WOODSの有償サービスを利用する形となっており、ここで初めて費用が発生する。

逆に言えば、アプリエディターとしてのG-BOOKの機能をフルに試してから実際のビジネスとして投入するかどうかを決定できるので、気軽に、かつ十分な時間的余裕を持って導入を検討できるのが大きなメリットだ。契約体系は、コンパイル作業費とアプリ格納用のサーバー費用をそれぞれ定額で月々支払う形を基本としているが、更新を必要としないアプリの場合は、1回のコンパイル作業費のみで以降のランニングコストがかからない形態も用意している。