「誰よりも強くなりたい」「体を鍛えてムキムキになりたい」…男なら、誰しもそういう願望を、一度は持ったことがあるのではないだろうか。見た目、「ひ弱なメガネ」「草食系男子」であるマイナビニュースの記者Mも、そんな一人だ。本企画は、ひ弱な記者Mが、本当に強い人に会いに行き、新の漢(おとこ)へと成長していく物語である…。

今回お話を伺ったのは、2011年1月に創立された「ワールド・オブ・スターダム」の王者・高橋奈苗選手。3月20日には2度目の防衛を果たした彼女に、プロレスラーを目指したきっかけや現在の生活についてたずねた。

プロレスラーを目指したきっかけは?

ワールド・オブ・スターダム王座・高橋奈苗選手

中学時代はバレーボール部のマネジャーをしていたのですが、2年生の夏休みに、偶然、女子プロレスの中継を見たんです。試合自体は見ることはできなかったのですが、ちょうどテレビには「敗者髪切りマッチ」という特殊なルールの試合で、その試合後の風景が映し出されていました。

負けたほうが丸坊主にならなければいけないルールだったのですが、負けた人が笑顔で髪を切られている潔い姿に圧倒され、すぐに女子プロレスの世界に引き込まれてしまったんです。勝者のほうが逆に泣いて、「切らせたくない」といった状況になっていたくらいで、そこまで腹をくくっている人たちに純粋にあこがれました。以来、女子プロレスを見始めたのですが、ある日突然、自分でもやりたくなって、次の日からランニングを始めました。思い立ったら一直線なんです(笑)

あこがれて入ったプロレスの世界ですが、戸惑ったことは?

 たくさんありすぎて(笑)。そうですね、今思えば当然なのですが、最初は雑用に追われて練習がまともにできないことに焦りました。あとから考えてみれば、その雑用も勉強になることばかりだったのですが、若かった私は、「何をしにプロの世界に入ったのだろう?」と打ちのめされ、一度は挫折して逃げてしまったことも。でも離れてみて、あらためて私はプロレスが好きなんだ、プロレスをやりたいんだという思いが募り、頭を下げて戻らせてもらいました。

興味深くお話を聞く記者M。このあと、あんな悲劇が待っていようとは…

1996年にデビューして以来、今年で16年目。すっかりベテランですが、ここまで続けて来られたモチベーションはどこにあるのでしょうか。

 うちの団体(スターダム)は平均年齢21歳で若い選手が多いので、33歳の私は「ご老体」と年より扱いされることもあるのですが、できればベルトを持って棺おけに入りたいくらいプロレスが好きです(笑)昨年から肉体改造に励み、今新たな気持ちで取り組んでいます。30歳を過ぎてトレーニングを増やしたこともありますが、まだまだ自分の体が進化していくことが実感できます。だからどこまで行けるのか楽しみでもある(笑)。もともと挑戦していくことが大好きなんですよ、私。

つらいことがあっても、試合中は痛くても、リングの上でスポットライトを浴び、勝ったときにお客さんが喜んでくれている顔を見ると、すべてが報われます。次の大きな試合があると、緊張して、「もう嫌だ」と何度も思うのですが、それを通り越すと楽しいんです! その繰り返しですね。もしかしたら、試合が終わったその日が一番楽しいかもしれません(笑)。次の日からはまた次の試合に向けての戦いが始まりますから。

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