右も左もスマートフォンユーザーばかりの時代だが、日本ではまだ従来型の携帯電話、いわゆる「ガラケー」の人気がまだ根強い。MM総研が2015年2月に発表した調査結果によると、去年1年間に出荷されたガラケーの数は1058万台で前の年と比較して5.7%増加したとのこと。ガラケーの出荷台数が増加したのは実に7年ぶりのことだったという。

ガラケー人気の背景にはスマートフォンより料金が安いことや、数字キーで操作できるので楽に使えることなど様々な理由がある。また折り畳み式なのでカバンの中に入れても誤操作しにくいという本体形状のメリットを上げる人もいるだろう。特に最近のスマートフォンは大型化が進んでおり、満員電車の中で片手で使うのも困難な製品もある。

とはいえ今やソーシャルネットワークサービス(SNS)の利用が増えており、メールよりもメッセージアプリで連絡を取り合う人が多いだろう。SNSの利用はスマートフォンならアプリも様々なものが出ており使いやすいが、ガラケーからとなるとちょっと使いにくいのが難点だ。

人気のiPhoneも大画面となり、ガラケーからの乗り換えに躊躇する人もいるだろう

KDDIが発表したガラホは、ガラケーとスマートフォンの中間的な製品だ

「ガラケーのように簡単に使え、でもスマートフォンのようにSNSやアプリも使える携帯電話は無いだろうか」とガラケーユーザーの多くの人は思っていたに違いない。その声に応えるように、KDDIは2015年1月にガラホこと『AQUOS K SHF31』を発表した。見た目は従来のガラケーで、中身はスマートフォンのAndroid OSを採用している。タッチパネルのスマートフォンへの買い替えを躊躇しているガラケーユーザーも、ガラホなら安心して乗り換えられそうだ。

さて日本で発売されるガラホのようなスマートフォンは、海外では出ていないのだろうか?実は日本以外の国でも「やっぱり折り畳み式のほうが使いやすい」と考えるユーザーが多い国もある。特にアジアでは日本や韓国メーカーがこぞって折り畳み式の携帯電話を販売していたこともあり、その形状の製品を求める声はまだ多い。

そのアジアで海外版ガラホともいえるスマートフォンを販売しているのがLGだ。LGの『Wine Smart』は2014年秋に発売になった製品で、折り畳みスタイルのスマートフォンだ。薄型の本体表面は布張りのような表面処理がされており、側面やヒンジは金色仕上げでどことなく高級感あるデザインをしている。

LG版のガラホといえるWine Smart

黒と白、どちらも高級感ある仕上がりだ

またディスプレイは日本のガラホとは異なりタッチパネルで、中身もAndroid OSのスマートフォンそのままのとなっている。ガラホが簡単かつ安心操作を心掛けているのに対し、Wine Smartはスタイリッシュな折り畳み型スマートフォンを目指した製品となっている。

だがWine Smartにも使いやすい工夫が随所にされている。その中でも数字キー部分に配置されたSNS専用ボタンはWine Smartの最大の特徴だ。台湾で販売されている製品には星のマークのキーがあり、自分の好みのSNSを配置できる。一方韓国版は同国で実質的な標準のSNS、カカオトークの専用ボタンとなっている。つまりWine Smartはスマートフォンでありながらも、簡単SNSケータイとして使うことができるわけだ。

サブディスプレイは無いが、Wine Smartの製品名の横にインジケータライトを備える

SNSをワンタッチで起動できる専用キーも配置。韓国版は黄色いカカオトークボタンになっている

Wine Smartは当初年配者向けに販売されたが、薄くて持ちやすいことや上品な質感が受け若い女性にも利用者が広がっているという。今後ピンクやブルーなどのカラバリが増えれば、ユーザー層はさらに広がるに違いない。

さてLGは日本でもスマートフォンを販売しているだけに、このWine Smartを日本市場に投入する可能性もあるかもしれない。その際はSNSボタンを緑色のLineボタンとし「Lineスマホ」として売り出せば人気を集めそうだ。。またガラホの相乗効果により、日本のガラケーユーザーのスマートフォンへの移行を一気に推し進める存在になるかもしれない。現時点ではまだ2カ国でしか販売されていないこのWine Smart、日本を含む各国での展開に期待したいものだ。