世界最大の携帯電話市場、中国でいよいよLTEサービスが開始される見通しとなった。中国移動の広東省分社、広東移動はTD-LTE方式による4Gサービスの加入受付を9月29日から開始。サービスインの日程は現時点では未定だが、早ければ10月末にも開始すると見られている。
広東移動が提示したLTE料金は3タイプにわかれる。それぞれスマートフォン一般プラン、スマートフォンデータプラン、データ端末プランとなり、音声通話はスマートフォン一般プランのみで利用可能。また各プランとも無料データ通信分が含まれるが、その内訳は契約した省(広東省)を含む中国全国での無料利用分と、契約した省(広東省)内だけで利用できるボーナス分の2本だてとなっている。TD-LTEの最大速度は下り80Mbps。各プランの詳細は以下の通り。
・1.4Gスマートフォン一般プラン
-138元/月-音声500分+全国600MB+契約省内400MB
-238元/月-音声1000分+全国1GB+契約省内1GB-338元/月
-音声2000分+全国2GB+契約省内1GB
・2.4Gスマートフォンデータプラン
-50元/月-全国600MB+契約省内400MB
-70元/月-全国1GB+契約省内1GB
-100元/月-全国2GB+契約省内1GB
・3.4Gデータ端末プラン
-50元/月-全国600MB+契約省内400MB
-70元/月-全国1GB+契約省内1GB
-100元/月-全国2GB+契約省内1GB
-130元/月-全国3GB+契約省内1GB
端末はスマートフォンが2機種。ひとつは、SamsungのGALAXY Note II N7108Dで、Snapdragon 600を採用しCPUは1.9GHzクアッドコア、ディスプレイは5.5インチHDを搭載する上位モデル。TD-LTEに加えFDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSMの5モードに対応する。価格は5299元(約8万4000円)。
もう1機種はHuaweiのG716でHisiliconのデュアルコア1.2GHz CPUを搭載。5インチHDディスプレイを搭載し、通信方式はTD-LTE、TD-SCDMA、GSMの3モードに対応。価格は2880元(約4万5700円)。このほかモバイルWi-Fiルーターが600元で発売となる。スマートフォンは18-36カ月契約で割引を受けられ、最大割引時の本体価格は実質無料となる。
データ通信はLTEのほか、3G(TD-SCDMA)、2G(GSM)での接続時も利用できる。また現在提供している3G、2Gのプランと比較すると、ソーシャルサービス全盛時代を反映してか無料SMS利用分は含まれず従量課金となっている。なおスマートフォン一般プランの音声通話の着信料金は無料。
中国では3Gサービス開始時、独自規格となるTD-SCDMA方式の普及にこだわり、顧客数最大の中国移動に同方式を採用させた。だがネットワークも端末も商用化レベルには程遠い状況で見切り発車を行ったため、サービス加入から数年はなかなか加入者が増えなかった。
しかもライバルとなる中国聯通、中国電信はそれぞれ世界各国で利用されているW-CDMA、CDMA2000を3Gに採用。海外メーカーの最新端末も続々と販売され、3社の3G加入者数は中国移動一人勝ちの2G時代とはうって変わり、3社が拮抗するまでになっている。ちなみにAppleのiPhoneもTD-SCDMAへ対応していないことから、中国移動からの販売は行われず中国聯通、中国電信のみから発売された。
TD-LTEではその反省を生かし、大規模なテストサービスを先行16都市で開始し商用化への準備期間をじっくりと取っている。オリンピックや万博といった国際イベントに合わせてサービスを開始するという見栄も捨て、消費者が納得するネットワーク品質と端末が出揃ってから正式なサービスを開始する予定だ。そして端末も今回のハイエンドモデル、N7108Dのように中国国外の4G/3G方式にも対応させることで、海外でも高速な通信方式を利用できるようにしている。
実は中国ではまだTD-LTEの免許はどの事業者にも発行されていない。だが今回広東移動がサービス受付を開始したことで、免許発行は秒読み段階に入り発行後すみやかにサービスが開始されると見られている。中国移動は現在国内16都市でTD-LTEのテストサービスを行っており、まずこれらの都市から正式サービスが始められる予定。その後年内には100都市にTD-LTEサービスを拡大する予定としている。またTD-LTE対応端末は年内に100万台をメーカーに発注する予定で、スマートフォンも今回発売された2機種に加え、合計10機種前後が発売される予定となっている。