2013年最初の大型展示会となるCES2013が1月上旬、今年もラスベガスで開催された。ここ数年CESでは携帯電話メーカーから意欲的な新製品が発表されているが、今回一番の勢いを感じられたのはHuaweiだった。

6.1インチの大画面で他社を圧倒するAscend Mate

Huaweiは2012年のCESで世界最薄サイズのスマートフォン「Ascend P1 S」、翌月にはMobile World Congress 2012で自社クアッドコアCPU搭載の「Ascend D1」と、大手メーカーにも引けを取らないフラッグシップ製品を展示会ごとに発表してきた。だが今年のCES2013では新製品を一挙に3機種も発表、そのいずれもが話題性十分の意欲的な製品となっている。

中でも大きな話題となったのは6インチを超える大型ディスプレイを搭載した「Ascend Mate」だ。各社のフラッグシップモデルが5インチFHDディスプレイ搭載で横並びの中、このAscend Mateはそれを超える6.1インチのディスプレイを搭載。解像度こそ1280x720ピクセルと劣るものの、Mateの名前が語るように、大きなディスプレイを気軽に楽しめるスマートフォンという位置づけの製品となっている。

スマートフォンのディスプレイサイズが大型化する中、各メーカーは本体のサイズをいかに持ちやすくするか、そして大型化を最小限にとどめるかに苦心している。例えばNTTドコモの2013年春モデルとして発表された「ELUGA X P-02E」はディスプレイ左右のフレーム部分を3mmと狭くすることで本体幅68mmを実現している。これに対してAscend Mateの本体サイズは163.5x85.7x9.9mm。厚みこそ1センチメートルを切っているが、横幅は約86mmとかなり広い。もちろんこのサイズは片手では持ちにくいだろうが、それよりも大画面化によるリッチなユーザー体験を第一に優先させているのである。

SamsungのGALAXY Noteが先鞭をつけた5インチスマートフォン市場は各社が追従し、2013年はこの5インチ搭載が標準となっていくだろう。一方その上を行くHuaweiの6インチモデルが果たして消費者に受け入れられるかどうかは未知数だ。しかし注目すべきポイントはHuaweiが他社に先駆けて新しいジャンルの製品を投入し、消費者の反応を伺おうとしている姿勢だ。先行する上位メーカーの動きを見ながら製品を開発するのではなく、自ら市場を切り開こうとする動きは同社が今後シェアを上げマーケットリーダーとしての存在感を高めていくためには必要なことだ。いわば実験的な製品とも言えるAscend Mateが、今後市場でどのような反応を受けるのかは興味深い。

CES2013で発表されたAscend Mate

6.1インチディスプレイは大きく迫力がある

Windows Phoneも出すなど、日本からも注目したい

Huaweiは他にもWindows Phone 8スマートフォン「Ascend W1」も発表した。Windows PhoneスマートフォンはNokiaのLumiaシリーズの登場以降、各社からカラフルな色合いのボディーカラーを採用したモデルが続々と登場している。このAscend W1もブルーとレッドのボディーはLumiaを髣髴させるポップな色合いだ。4インチディスプレイのミッドレンジモデルで、ターゲット層も20から30代を想定しているとのこと。

このAscend W1にはホワイトとブラックのボディーカラーも用意される。こちらは落ち着いた色合いで、ブルーとレッドの同じモデルとは見た目の印象が大きく異なっている。特にホワイトモデルはディスプレイ面の外部を金属調の枠で覆っており、エレガントで高級感あるイメージになっている。このホワイトモデルは女性層も強く意識しているとのこと。Windows Phoneはまだ市場で爆発的に売れるほど認知度も広がっておらず、複数の製品を市場に投入するにはまだリスクが大きいかもしれない。このAscend W1のように1つのモデルをカラーリングで印象の異なる2タイプの製品に作り分けているあたりはなかなかうまい戦略だろう。

ポップな色合いのAscend W1

ホワイトモデルはエレガントな仕上げ

Huaweiは5インチFHDディスプレイ、クアッドコアCPU搭載のフラッグシップモデル「Ascend D2」もCES2013で発表している。日本のNTTドコモ2013年モデルでも同名の「Ascend D2 HW-03E」が発表されたが、そちらはLTEに対応するもののディスプレイは一回り小さい4.7インチHDのものとなった。日本ではまだ同社のブランド知名度は低く、他社の5インチモデルより1ランク下の製品という位置づけだ。その分、価格も買いやすいものになるだろう。

このHW-03はドコモ向け2012年秋モデルの「Ascend HW-01E」、ソフトバンク向け2012年冬モデルの「STREAM 201HW」に次ぐ高スペックな製品だ。Huaweiは今後も海外展示会で最新製品を次々と発表していくだろうが、それらの中のいくつかのモデルは日本向けにも発売されることだろう。同社の海外市場での動きは日本からも要注目である。