乗り継ぎの心配は無視できない

鉄道でも飛行機でもバスでも、すべての乗り物に共通することだが、自分が乗っている便が遅れると、その後で別の便に乗り継ぐ予定があった時に問題が生じる。例えば、新幹線と在来線の特急を乗り継ぐ場面が考えられる。

こうした場合、「○○駅から△△号にお乗り換えのお客様、車掌が通りがかった際にお知らせください」と放送がかかることがある。乗り継ぐ乗客がどれくらいいるかを把握するためだ。その情報と遅延の程度に基づいて、相手の列車を待たせるか、後続列車に振り替えるかを決めることになる。といっても車掌の一存で決めるわけではなく、運行管理を担当している指令員に情報を上げたうえで、待たせるか振り替えるかの決定を下すのだが。

もしも「待たせる」という判断が下された場合、それが新幹線と在来線の乗り継ぎであれば、乗り換え改札に設置してある自動改札機を止めてゲートを開放してしまい、早く通れるようにすることがある。そうすることで、乗り継ぎ先の列車に生じる遅延を少しでも食い止めようと工夫しているわけだ。

列車が遅れて乗り継ぎ時間が少なくなった時、乗り換え通路の自動改札機を "開放" 状態にして、早く通れるようにすることがある(越後湯沢駅で)

また、新幹線と在来線の組み合わせ以外でも、明らかに乗り継ぎ客が多いと思われる列車同士であれば、遅延が生じた場合に乗り継ぐ相手の列車を待たせることがある。といっても、必ず待ってくれるという保証はないので、車内あるいは駅での放送に注意したい。都市部でよくある、終電同士で連絡を取るのと同じケースと言える。

一方、所定の列車に間に合わなくて後続列車に振り替えられた場合は、指定席券の扱いが問題になる。後続列車は後続列車で別途、指定席券を売ってしまっているからだ。

もっとも、新幹線を含む特急列車の場合、指定券を持っている列車に乗り遅れた場合でも、後続列車の自由席にはそのまま乗車できるのが通例なので、空席さえあればなんとかなる。筆者も、上越新幹線のダイヤが乱れて、越後湯沢で乗り継ぐ金沢行きの「はくたか」に間に合わず、後続の「はくたか」の自由席を使ったことがある。

ところが、旅行会社で購入したパック商品では指定された列車以外は乗車できず、切符をすべて買い直さなければならないことがある。購入時に確認しておきたいポイントだ。

例えば、(ビジネス客向けの商品ではないが)ガーラ湯沢スキー場向けに新幹線とリフト券がセットで売られていることがある。JR自身が販売する企画乗車券「GALA日帰りきっぷ」は、事前に指定席を確保した列車でなくても自由席の利用が可能だが、「びゅう」の旅行商品として販売しているものは指定された列車にしか乗れない、といった具合だ。

こうした乗り継ぎにおける配慮は、同じJRグループ同士、あるいは日頃から関わりがある鉄道会社同士だからできることと言える。

予定が狂った時の切符の扱いは事前に確認しておこう

遅延にまつわる有名なルールで「2時間以上遅れたら特急券は払い戻し」がある。ずいぶんと鉄道旅行を経験している筆者だが、実はこれに遭遇したのは1回だけ。前回の冒頭で触れた、盛岡駅で足止めを食ったケースだけだ。この時は発車の時点で2時間以上遅れていて、最初から払い戻し確定になってしまった。

遅れても目的地に着ければよいが、途中で運転打ち切りということもある。また、予定していた経路を利用できなくなって、別の経路に変更しなければならない場合もある。そんな時は切符の経路変更や払い戻しが発生するが、いずれも駅の「みどりの窓口」で依頼するのが基本だ。手持ちの乗車券を出して「かくかくしかじかの事情で、○○経由から△△経由に変更したい」といった形で説明すればよい。

列車に乗っている時に車掌が通りがかれば、そこで乗車券の経路変更を頼むこともできるはずだが、最近増えているワンマン列車だとそうもいかない。

実は、市販されている「時刻表」では運賃・料金について解説しているページの後ろのほうに、ちゃんと「払い戻し」や「列車が運転できない場合の取り扱い」についての記述があるので、目を通しておくようにお勧めしたい。いつ、どんな場面で役に立つかわからない。

なお、払い戻しなどに関する取り扱いは、旅客の自己都合による場合と鉄道会社側の都合や天変地異による場合とで異なることがあるので、それについても注意が必要だ。