今回は「脱臭」による空調効率化での節電方法を紹介しよう。人がいる空間における臭い対策として、最も簡単であり、かつ、よく使われているのが「換気」だ。しかし、常に外から入ってきた空気を冷やしたり暖めたりしていると、空調コストが膨大になる。

工場などでは吸い出した空気を脱臭して戻す循環方式を使うことで温度管理をしやすくしているケースもあるが、臭いを完全に除去するのは難しい。結局、少々薄くなった悪臭に耐えながら仕事をしているという所も多いようだ。

飲食店などの場合、臭いの元が定かではないというケースもある。「ゴミはきちんと処理して掃除もしているのになぜか臭う」というケースだ。どこから臭っているのかわからないまま、とにかく換気でごまかしていたりする。これは家庭やオフィスでもあることだろう。

循環方式で換気をしている工場も、臭いを気にして換気し続けている店舗やオフィスも、上手に脱臭できれば空調に使う電力はもっと減り、その空間で過ごす人も快適になる。では、こうした時に何に頼ればよいのかと言えば、それは「臭気判定士」だ。

テレビ番組などで特殊な機械を使わずに鼻をひくつかせながら歩き回り、臭いの元を発見する人を見たことがないだろうか。あれが臭気判定士だ。臭い対策をするための国家資格で、臭いのことを相談するなら最も信頼できる相手だろう。

臭気判定士が行う対策は、大規模な工場や店舗に装置を組み込んでの脱臭だけでなく、薬剤を利用する方法もある。そうした現場で使われるプロ用の消臭剤が小分けされており、個人でもオンラインで購入できる。「プロに頼るほどではないけれど気になる」、「悪臭の出所はわかっているけれど臭いが消えない」といった時に使ってみることをオススメしたい。

プロ用の消臭剤といってもいろいろあるが、とりあえず「業務用消臭剤」や「家庭用消臭剤」というキーワードで検索してみるとよい。ホテルの喫煙ルームでやペットショップで使われているものなど、臭いの種類に合わせて商品が分けられているから、自分の目的にぴったり合うものを探してみよう。

スーパーマーケットで生ゴミを含むゴミを一時的に置く物置のようなところで、腐敗を防ぐためにエアコンを使って冷蔵庫のように冷やしていたのが、脱臭を行うことで大きく消費電力が削減できたという例がある。電気代が50分の1になったというから、驚きの効果だ。

身近では、釣り餌をこぼしてしまった車内の何度洗ってもとれない悪臭が簡単に消えたという体験がある。いつまでも消えない香水の臭い、部屋に染みつくペットの臭い、タバコの臭いも気にならなくなった。臭いに耐えている人、換気しすぎて空調効果の低さやコストに悩んでいる人は、ぜひ1度「脱臭」という手も考えてみてほしい。