前回は、「エアコンの設定温度を上げても期待しているほどの節電効果がない」という話を紹介した。今回は、われわれが思っているより節電効果があるモノを紹介しよう。それはテレビだ。

テレビはエアコンのように、安定稼働の状態に入ったら消費電力が減るというものではない。それでいて、長時間つけっぱなしにされることの多い家電だ。特に見たい番組があるわけではなく、食事時などにBGM代わりにつけていたり、時刻を知るためにつけていたりする家庭も多いだろう。

しかし、テレビの消費電力はなかなか侮れないのだ。プラズマテレビよりは液晶テレビのほうが省電力であるものの、最新の省エネモデルでも32V型で60W程度。一般的なモデルならば100Wは消費してしまう。もちろん大型化すれば消費電力も増えて、60Vクラスになると省エネモデルでも200W以上を消費する。プラズマテレビだともっと跳ね上がり、42V型で300W以上も使う。そして、古いモデルだとさらに消費電力は増え、なかには500Wというプラズマテレビの旧型もあるようだ。何となくつけておくには、あまりにももったいない。

銀行や郵便局、市役所、病院など長い待ち時間が発生しがちな場所ではよく利用者向けにテレビが用意されているが、これを全部消してしまえばかなりの節電になりそうだ。家庭でも暑い時にエアコンをつけることに罪悪感があるならば、テレビを消したことで「トントン」と思ったらどうだろう?

家庭における節電策として提案したいのが、ラジオの積極利用とテレビのスイッチを入れる前に番組表を確認する習慣だ。前者を実行するのは非常に簡単で、時計代わりや単純に音がなくて寂しいからという理由でテレビをつけてしまう場合をまるごとラジオに置き換えればよい。もともと、ラジオは音だけで伝えるメディアだけに、番組内容は「聞いてわかる」ようにできているから、ニュースや交通情報などもわかりやすい。しかも、消費電力は昔のラジカセ的なものでも10W程度。電池で動くポケットラジオを使うという方法もある。

番組表の確認は、見たい番組だけを見るために使ってほしい。何となくのダラダラ視聴を止めて、「20時から始まるこの番組が見たい」と確認し、20時にスイッチを入れて1時間見終わったら消すのだ。最近のテレビならタイマー機能などもあるから、これを活用すればうっかり見忘れることもない。さらに、輝度を若干暗めに設定し直せば節電効果は抜群だ。

もっとがんばりたいという人は、テレビ番組はすべて録画してから見るというのもよい。録画機器の消費電力はせいぜい35~50W程度だ。1度録画してから見ると決めてしまえば、録画してまで見たいほどでもない番組がわかったり、録画してみたものの面倒になって見ない番組が出てきたりするだろう。ここでも無駄が省けるわけだ。

もちろん録画したものを見る時は録画再生機器とテレビが電気を使うわけだが、可能ならば、夜間や休日など電力消費のピークタイムを外して見ることで、今夏必要とされている節電には対応できる。

Webサイトで公開されている東芝のテレビ用節電マニュアル。テレビを見ていない時の消し忘れを防ぐ方法なども紹介している

テレビを見なくなった分は、本を読むもよし、絵を描いたりプラモデルを作ったりと別の遊びをするもよし。ゲームだって充電式の携帯型ゲームなら夜間充電しておいてピークタイムにたっぷり遊べば何の罪悪感もない。この夏の節電を、新しい趣味の探索に使ってみることをオススメしたい。