いつも何気なく飲んでいる牛乳にも、実はいろいろな種類があります。そして、いつの間にか「コーヒー牛乳」という言葉はお店から消えていたことをご存じでしょうか? 今回はそういった牛乳にまつわる話です。
牛乳を名乗るのは難しい
コーヒー牛乳という名称は、2003年に決められた飲用乳の表示に関する公正競争規約の改訂により、使えなくなった言葉です。この改正は2000年に起きた雪印集団食中毒事件を受け、乳飲料の製造法に厳しい規則が設けるために施行されました。さらに、牛乳という言葉自体が100%生乳の商品にしか使えなくなったため、スーパーやコンビニから「コーヒー牛乳」という名前のパッケージが姿を消しました。それらは今、「コーヒー乳飲料」となっています。
そんなわけで、牛乳をとりまく法律が強化されたことで、牛乳と一括(くく)りで呼ばれていたものも、細かく表記しなくてはいけなくなりました。
現在は、生乳を100%使用し、無脂乳固形分は8%以上、乳脂肪分が3%以上のものを「牛乳」としています。これらを少しでも加工し、成分に調整を加えると「加工乳」となり、その中でも脂肪分を下げたものが「低脂肪乳」となります。
低脂肪乳のオススメ活用術
加工賃があるはずなのに低脂肪乳が安いのは、取り除かれた乳脂肪は、価値の高いチーズやバターといった商品に変わるからなのですね。ゆえに、昔は「牛乳=飲みにくい」という印象でしたが、現在はある程度素材の味を残したものが多くなっており、また、カロリーを気にする人にも優しい商品としてお店に並んでいるわけです。カルシウムは当然しっかり残っており、ダイエット用プロテインなどと併せて飲むアスリートも多くいます。
味も風味も牛乳に劣る低脂肪乳ですが、実は意外な使い道があります。単品では、お世辞にもおいしいとは言いにくくとも、家庭でコーヒーに入れるのにぴったりです。また、ホットにしても脂肪分が浮いてこない上に乳臭くなりにくいので、カップラーメンに牛乳を入れる……という人は、この低脂肪乳を使う方がおいしいものができることがあります。
濃厚さを求めるなら2月!?
逆に、脂肪分を足している加工乳も売られており「濃厚タイプ」として脂肪分がそれぞれ2,3%増量されているのが特徴です。当然ながらカロリーも増量ですが、季節を通して変化のない濃厚な味が楽しめます。人によっては乳臭いと倦厭(けんえん)する場合もあるようです。
ちなみに、牛乳は動物である牛から搾り取っている以上、季節的な変化をモロに受けます。特に日本では四季があるためその差は顕著で、冬期の特に2月は脂肪が濃厚でおいしいとされています。
筆者プロフィール : くられ
『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」やツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。