これまでは「情報提供」に関する話を中心に取り上げてきたが、情報だけではソフトウェアの開発はできない。そこで今回は、MSDNが提供しているダウンロード関連のコンテンツについて取り上げてみることにしよう。
2つの「ダウンロード」
ちょっとややこしいのだが、MSDNオンラインには「ダウンロード」が3種類ある。そのうち「MSDNサブスクライバダウンロード」はMSDNサブスクリプション会員だけが利用できるものなので、今回は割愛することにしよう。
残る2種類の「ダウンロード」のうち、ひとつは「MSDNダウンロードセンター」で、こちらの方がダウンロード可能なソフトウェアの種類が多い。
MSDN ダウンロードセンター
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/aa570309.aspx
ここでは、ソフトウェア開発キット(SDK)のような開発者必須のツールだけでなく、各種ソフトウェアの評価版、さらにはMSDN.NET FrameworkやVisual C++の再頒布可能パッケージなど、評価版「以外」のものも含まれている。なぜか「無償」と「無料」の2種類があるのだが、その違いについては、しかとは分からない。
なお、ダウンロード可能なソフトウェアの陣容はだんだんと増えていくので、新着情報を知りたいときには、画面右にある[新着ダウンロード]を参照すると良いだろう。また、メジャーで多くの人が利用していそうなものをダウンロードするのであれば、画面中央にある[人気のあるダウンロード]をチェックしてみると良い。そこに目的のソフトウェアが載っていれば、いちいち探し回らなくても済む。
このほか、[ダウンロードおよびコードの共有]以下には、Visual Studioの製品や拡張機能を入手できる「Visual Studio Gallery」、サンプルコードを入手できる「Code Gallery」(英語版のみ)、オープンソースのプロジェクトを探したり自分で立ち上げたりできる「CodePlex」(英語版のみ)といったものもリンクされている。確かに、これらも「ダウンロード」ではある。
評価版を探しているのなら、[評価版ダウンロード]に
もうひとつのダウンロード関連コンテンツが、[評価版ダウンロード]だ。内容は読んで字のごとくで、各種ソフトウェアの評価版をダウンロードできる場所だ。
評価版を探しているのであれば、最初からこちらにアクセスする方が楽だ。まずは[トップダウンロード]を見てみて、目的のものがそこに載っていなければ、改めて探すというアプローチがよいだろう。
本稿執筆の時点(2010年10月初頭)で、MSDNオンラインで提供されている評価版ソフトウェアには以下の9製品がある。
Office 2010および関連製品
- Office Communications Server 2007 R2
- Office Professional Plus 2010
開発者向けツールと言語
- Visual Studio 2010 Ultimate
- Visual Studio 2010 Professional Edition
Windowsおよびプラットフォーム開発
- SQL Server 2008 R2
- SQL Server 2008
- Windows Server 2008 R2
- Windows Identity Foundation
Windows Azureプラットフォーム開発
- Windows Azure ソフトウェア開発キット (SDK)
上記のように4カテゴリーに分けられており、それぞれのカテゴリーごとにある[リリース]をクリックすると、右側に該当製品の一覧が現れる仕組みになっている。その中から、ダウンロードしたいソフトウェアの名称をクリックすると、ダウンロード用のWebページに移動する。
いうまでもないことだが、評価版でもシステム要件は製品版と同様だから、自分が試そうと思っているソフトウェアのシステム用件を満たした動作環境を準備する必要がある。
新着情報はニュースレターで
「MSDNダウンロードセンター」で提供されているソフトウェアは多岐にわたるため、全体像を把握したり、新着情報をいち早くキャッチしたりするのはちょっと大変だ。しかし、MSDN Flashニュースレターを購読していれば、新着情報、あるいはお勧めのソフトウェアに関する情報を把握できる。
MSDN Flashニュースレターは毎月第1・第3火曜日の配信なので、実質的には月に2回の配信ということになる。購読申し込みに際しては、Windows Live IDが必要になる。申し込みの際に、HTMLメールとテキストメールの選択が可能だが、どうしてもHTMLメールを利用できない、あるいは利用したくない場合を除いて、HTMLメールにしておく方がニュースレターっぽくて良いだろう。
MSDN Flashニュースレター
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/aa570311.aspx
ちょうど、この原稿を書いていたときにマイクロソフトのニュースレターで紹介されていたのが、Microsoft Web Platform Installer 2.0(PI 2.0)だ。これは、Webサーバを用意してWebアプリケーションを実行する際に必要となることが多いソフトウェアのダウンロード・セットアップ・アップデートをアシストしてくれる優れものだ。対象となる主なソフトウェアには、以下のものがある。
- Microsoft Web Platform Installer 2.0
- IIS(Internet Information Service)
- SQL Server Express
- .NET Framework
- Visual Web Developer
Microsoft Web Platform Installer 2.0
http://www.microsoft.com/web/downloads/platform.aspx
もうひとつ、「これは便利かも」と思ったのが、互換性検証ツールの「Microsoft Platform Ready」だった。
Microsoft Platform Ready
http://www.microsoftplatformready.com/jp/Home.aspx
このように、MSDNオンラインのダウンロードは「評価版が必要なら[評価版ダウンロード]」「評価版以外のものが必要なら[MSDNダウンロードセンター]」という二本立てになっているのだが、これも開発者向けの技術情報提供などと同様に、開発者の作業フローに合わせてステップ・バイ・ステップ方式にするのも一案かも知れない。なんていうことを(お節介にも)考えてしまった。