今回はマーケティングリサーチデータの考察をお休みさせていただいて、高速データ通信カードの速度比較についてのレポートをお届けしたいと思います。昨年12月にNTTドコモから発売された次世代型高速データ通信カード「Xi(クロッシィ)」を年始早々にMMD研究所でも入手し、全国主要都市にて「UQ WiMAX」「EMOBILE G4」との実測比較調査を実施してきました。その結果はいかに?
スピードでは「UQ WiMAX」に軍配
結果は表を見ていただくと一目瞭然ですが、スピードでは首都圏主要スポット、地方の主要都市含めて一部の地域を除き「UQ WiMAX」に軍配が上がる結果となりました。
次世代サービスであるNTTドコモの「Xi」については、次世代高速通信モード(LTE)のサービスエリアに関してまだ実用レベルとしては少し物足りない感があります。ただし、3Gモード(HSPA)への切り替えはスムーズで、その点を含めて比較すると「EMOBILE G4」のエリア、スピードに迫る結果となっています。LTEについては今後に期待したいところです。
いずれにしてもスピードに関しては、ほぼすべてのサービス/エリアにおいてYouTubeの動画などをストレスなく視聴することができました。
各社のカード端末の調査時の使用感ですが、USB端末をPCに接続してから回線接続までのタイムラグで見ると、「UQ WiMAX」が「EMOBILE G4」「Xi」よりも短時間で接続状態になるようです……といってもほんの数秒の差ですが、この点はヘビーユーザーにとっては見過ごせない要素かもしれません。
また、USB端末の形状についてもそれぞれ個性があり、NTTドコモの「Xi」の端末は、横に飛び出す形状が狭い場所においてやや使いづらく感じる場面がありました。
サイズ的に最も小さいのは「UQ WiMAX」のUSB端末ですが、USBスロットからの取り出しの際に、ネイルを施している女性調査スタッフから、「爪が傷つきそうでやや扱いづらい」という声も上がっていました。
本稿がみなさんのデータ通信カード選びの一助になれば幸いです。
なお、今回の調査概要や使用機器などは以下の通りとなっています。
調査対象の高速Wi-Fiデータ通信サービス/カード(USB型データ通信カード)
- UQ WiMAX / MW-U2510SS2
- EMOBILE G4 / D41HW
- NTTドコモ Xi / L-02C
使用した機器と調査方法
- 調査日時 : 2011年1月7日~13日
- 使用機器 : パナソニック レッツノートW(CF-W8E) ( OS : Windows Vista )
- 計測方法 : 価格.com ブロードバンドスピードテスト
- 調査方法 : 平日14:00~23:00の時間帯に同条件下で各3回計測し、最高速となった値を記録
調査スポット (首都圏)
- JR池袋駅 (ヤマダ電機 LABI1 日本総本店前)
- JR秋葉原駅 (ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba前)
- JR渋谷駅 (新南口改札前 / PUBLIC HOUSE CAFE & LOUNGE内)
- JR新橋駅 (SL広場)
- JR東京駅 (GRANSTA 銀の鈴広場のベンチ)
- JR有楽町 (東京国際フォーラム1F)
- 六本木 (六本木ヒルズ・メトロハットB1F / スターバックスコーヒー前のベンチ)
- 浅草 (雷門前)
- 横浜中華街(東門前 / スターバックスコーヒー内)
- 横浜みなとみらい21 (クイーンズスクエア / クリスピー・クリーム・ドーナツ前)
調査スポット (全国主要都市)
- 札幌 (北海道庁旧本庁舎・赤レンガ2F)
- 札幌 (すすきの / ススキノラフィラ 1Fエントランス)
- JR名古屋駅 (桜通り口)
- 栄 (オアシス21 / カフェ・ド・クリエ内)
- 梅田 (ヨドバシカメラ マルチメディア梅田前)
- JR新大阪駅 (千成瓢箪 ※工事中につき看板の前)
- JR広島駅 (新幹線口)
- 広島 (平和記念公園内)
- JR博多駅 (博多口)
- 中洲 (キャナルシティ博多 1F / プロント内)
<本稿執筆担当: 田川悟郎>
著者紹介
MMD研究所
MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。