家族・友人・恋人・上司・部下や後輩、はたまたSNSのフォロワー、等々… 人それぞれ、その人の身近な存在があります。

そんな人たちに対して、「私の○○ならば、これぐらいのことはしてくれるだろう」「私の○○ならば、将来こうなるべきだ」と、根拠のない期待や願望を抱いてしまったりするものです。

身近な人々にほど湧いてくる、都合のいい期待。それらが満たされなかった時、怒りや不安などの感情が湧いてきたり、愛情や繋がりを疑ったり、思考がマイナスなループに入ってしまいます。

ブッダは、自分の子供や財産に執着する人を例に出して、「自分自身がすでに自分のものではないのに、どうして子や財産が自分のものになろうか?」と言いました。

自分すら常に移ろいつづける不安定なものなのに、なぜ周りの人や物まで思い通りに手中に収めていられるものか、というわけです。

「私の○○」と言った時に、それはただ事実や関係性を表す言葉でしかなく、それを強い執着心によって「○○は私の財産(所有物)であるから、私の思い通りになってほしい」という考え方をしてしまうと、都合のいい期待や願望、そしてそれが満たされない苦しみを生む原因となるのです。

周りの人を思い通りにすることはできませんが、自分自身のことなら鍛え、変えていくことができるというのが仏教哲学の考え方です。

自分を磨くことこそが、結果的に周囲との関係性を良くし、将来を作っていくのではないでしょうか。

■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。