ちぎりパンとなったこねたもの。
こうして均一に並んでいると、
ひとつひとつに意味のようなものを感じてしまいますが、
はたして意味はあるのでしょうか。

仏教の哲学を代表する3つの教え(三法印)の中に
「諸法無我」というものがあります。
仏教では物事を「縁起(因果関係)」から生ずる現象として
捉えている、ということは何度か説明していますが、
それゆえに物事に「我」は無いという教えが「諸法無我」です。

「我」とは、
「変化せず、周りの何者の影響も受けず、
 全てを思うままコントロールできる意志を持つもの」
という意味のものです。

人間も様々な物質や現象が集まって
個々としての形を成していますが、
身体は刻一刻と変化していますし、
他人や環境の影響を受けて行動したり考えたりしています。

また、意志の通りに自分をコントロールできるわけではありません。
(風邪をひいた時に、「風邪を治そう!」と念じたら治ってしまったり、
「今日は調子が悪いからちょっと内臓の動かし方を変えよう」
 なんてことできませんよね)。

「自分が外に出ると雨が降る…」
「関わっているプロジェクトが
 立て続けに中止になってしまった…」

自分にとってよくないことが続くとき、
そこに「意思」のようなものや
「自分だけをねらって降りかかる災い」のようなものを
感じてしまい、余計に憂鬱な気分になることがあります。

そんなとき、現象の中に確固たるものや
自由自在な意思などないという
「諸法無我」の言葉を思い出すと、
ずぶずぶと深く考えすぎたり、
悩みすぎたりせずにすむのではないでしょうか。


■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。