【コラム】

週刊こむぎ

47 夜空の月は ほんとうに浮かんでいるか?

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季節は秋。次第に空気が澄んできて、
夜空に浮かぶ月もいっそう美しく見えてきます。
今週は、そんな月を眺めつつ、こねりが問答を仕掛けてきます。
「月は本当に空に浮かんでいるのか?」

仏教には「唯識」と言う世界観があります。
あらゆる存在は心(五感や無意識)が知覚した現象であるという考えで、
全ては移ろいつづける実体のないものであるという「空」の思想に繋がります。

「誰も月を見ていない時、月は本当に存在するのか?」
「誰もいない森で木が倒れたとしたら、
その時に音は鳴ったと言えるのだろうか?」
哲学の歴史の中でもこういった「知覚の外」にあるものの
存在についての議論が行われてきました。

また、中国禅の重要人物、慧能禅師は、
揺れている旗を見た2人の修行僧が「これは旗が動いているのだ」
「違う、風が動いているのだ」と言い争いをしている所に
「旗でも風でもなく、あなた達の心が動いているのです」
と説明したと言われています。

何かが「ある」と言うとき、
人は見たり触れたりして知覚しているものについて述べているか、
その体験を頭の中で思い出したりしています。
「月」「木」「旗」「動いている」と言った物事の区別も
人間の認識の範囲内で行われているものです。
また、自分の認識の外に出られない以上、
その外側で何が起こっているかは確認のしようがありません。

世界は心の中に知覚された現象である。
日常的な世界の捉え方とは異なった考え方のように思われますが、
それだけに発想を豊かにしてくれる世界観です。

VRやARといった技術が広がりを見せている時代、
「現実」はどのように捉えられるでしょうか。
「作られたものは作られたものにすぎない」
「知覚されている以上、作られたものも現実の一部だ」
色々な考え方ができると思います。

あらためて、自分や周りの人の体験している世界や
「現実」「存在」というものを観察してみると、
日常の見え方が少し変わってくるかもしれません。



■今回登場したのは、禅のぼさつが宿った「こねり」

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。

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インデックス

連載目次
第90回 因果と輪廻
第89回 カルマとの付き合い方
第88回 夏の空
第87回 1日を生きる
第86回 自分の好みは争いのタネ?
第85回 自分の思考をしっかりと眺める
第84回 枠の中で過ごす時間
第83回 直感にとらわれない目線
第82回 認識を変える
第81回 こころを洗う
第80回 価値観のかごの外側
第79回 真の強さ
第78回 変わらぬもののちから
第77回 もやもやを変えるきっかけ
第76回 かわらぬ日常
第75回 夢うつつ
第74回 おだやかなことば
第73回 花は咲いたら落ちるもの
第72回 ひとりで歩くことも時には大切
第71回 あるがままに生きる
第70回 強い執着心が苦しみを生む
第69回 「やりきった」達成感に 要注意
第68回 大きなものは 切り分けたべる
第67回 鳥が鳴くから 静けさがきわだつ
第66回 雑念を 雪のように溶かす
第65回 心身のこわばりから 自由になる
第64回 辛いとわかっているのなら
第63回 目は横に、鼻は縦に
第62回 心を空っぽにできることは 何?
第61回 目をさませ!
第60回 ひとも こむぎも あるがままが一番
第59回 一年のおわりに 「心の癖」をさがす
第58回 寒さのしのぎかたは 人それぞれ
第57回 さとりとは 苦しさから抜け出すこと
第56回 もともと そこには 何もない
第55回 考えるより まず お食べなさい
第54回 言葉にしばられず 「月」をながめる
第53回 「自分だけのもの」は 本当にある?
第52回 言葉がなくても つたわるきもち
第51回 ままならない体で パンをもとめる
第50回 どこから行っても たどりつく月
第49回 良いも 悪いも 心しだい
第48回 自分の足元を しっかりと見る
第47回 夜空の月は ほんとうに浮かんでいるか?
第46回 じぶんに適した「立ち位置」を見つける
第45回 パンだけに頼らず 多くの選択肢を持つ
第44回 どんなにちいさくても 「活きる」場所がある
第43回 「今あるもの」を あらためて知る
第42回 つよく求めるほど こころはさわぐ
第41回 口コミにはない じぶんの体験
第40回 心しだいで 火もまた 涼し
第39回 雲のように 水のように 流れてみる
第38回 すべての不安は 現実をこねたもの
第37回 ことばにできない 感覚を大事に
第36回 食べてみなければ わからない
第35回 七夕の夜に かの人を思う
第34回 すべては さだめ
第33回 居場所に合わせて 心はうつろう
第32回 相手にあわせて 語り方をかえる
第31回 雨もまた ひとつの試練
第30回 しぜんのままに ゆるやかに
第29回 そこにいるだけで 助けになる
第28回 雨が降るから こむぎがそだつ
第27回 答えのありかは 「どちらか」ではない
第26回 うちかつべきは おのれのみ
第25回 片手ではくしゅして 枠を見つめる
第24回 語るべきことだけを ていねいに伝える
第23回 たいせつな日は いつですか?
第22回 さくらの季節と 一期一会
第21回 不安をとりだし こねて焼く
第20回 「正しさ」の向きを 観察する
第19回 目の前のご飯に しっかり向き合う
第18回 待つことも ひつようです
第17回 やすむことも 大切なしごと
第16回 身近なやさしさを たいせつに
第15回 分けへだてなく お茶をもてなす
第14回 かわらぬものなど ないのです
第13回 おいしいとわかる しあわせ
第12回 みえるものだけに とらわれない
第11回 まいにちが 「なにかびより」
第10回 この"まる"は 何にみえる?
第9回 こころもすっきり おおそうじ
第8回 "へいじょうしん"にこそ みちはあり
第7回 こだわりを すててみる
第6回 じぶんにあった「しょうじん」を
第5回 そなたのみちを ゆくのです
第4回 あらゆるものが、われわれの師
第3回 すべてはひとつにつながっている
第2回 かまどにとびこむ勇気
第1回 いつでもおいで

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