一票の格差=市民の意見が国政に反映される度合いの違い

一票の重さへの判決が分かれました。2010年の参議院選挙では、鳥取県と神奈川県の一票の格差が5倍もの開きがあり、「憲法が定める平等原則に違反」しているという訴えへの判決が、11月17日に東京高裁で下ったのです。

いわゆる「一票の格差」を巡り、同時にいくつかの訴訟が行われていたのですが、午前の判決は「合憲」、午後は「違憲」と判断が分かれたというわけです。

人は生まれながらに平等ではないと知ったのは、高校に進学した頃でしょうか。お弁当に「うなぎ」をもってくる金持ちもいれば、空腹をやせ我慢で乗り切る貧乏人もいました。私たちは環境を選んで生まれることはできません。

しかし、憲法で「住居の自由」が認められており「選挙区」は選べます。格差があるということは、選挙という一種の「美人投票」に、特権的投票ができる地域があるということです。私が鳥取県知事ならこうアピールすることでしょう。

「あなたの意思がもっとも国政に反映される街。とっとり」

冗談はさておき、私の地元、東京都足立区は衆議院の選挙区が12区と13区に分かれています。その両方から民主党の議員が選出されたのですが、どちらも「不倫スキャンダル」が報じられたのを見ると、格差は是正されるべきですが、その前に国政を任せるに値する人間のほうが求められる気がしてなりません。

ドメイン付きホームページに隠されたSEOの罠

A社長が率いるWeb製作会社ではサービスを申し込むと、会員用として企業情報が掲載されたドメイン付きのホームページが作成されます。数ページの簡単なものですが、ページ数を絞ることで、迅速に公開されるというメリットがあります。

また、ホームページは「ブログ」をベースに作成されているので、コンテンツの追加や変更は会員自身で自由自在に行えることが最大のウリで、ドメイン取得やサーバの契約、ブログシステムの設置などの手間を省ける手軽さは確かに魅力的ではあります。

ここまでなら普通のWeb製作会社と言えるかもしれません。しかし、もう1つ喧伝している「SEO」がいただけません。A社長の提唱するSEOは「美人投票0.2」だからです。

ページランクテクノロジーと美人の関係

あるキーワードの検索結果で、上位に表示されると顧客の目に留まりやすくなります。この上位に表示される取り組みを「SEO」と呼びます。SEOにはいくつか方法がありますが、Googleが取り入れた「ページランクテクノロジー」を逆手に取った方法を「外部リンク」と呼びます。

ページランクテクノロジーとは、多くのサイトからリンクを貼られていれば、それだけ魅力や価値があると判断し、優先的に表示する仕組みで、いわゆる「美人投票」に例えられます。ここで「悪知恵」が働く人はこう考えます。

自分で100個のサイトを作り、そこからリンクを貼れば「美人」になれる

自社サーバを設置してしまえば、100サイトの運営は驚くほど安いコストで実現できます。それで「美人」が生まれるかと言えば、検索エンジンはすでにさまざまな対策を打っており、その1つが「IPアドレスによる投票」のチェックです。

IPアドレスはインターネットにおける「住所」で、一戸建て住宅のようにそれぞれの住所を設定したり、団地やマンションのように同じ住所に複数の世帯が住む形にしたりできます。SEOに有利とされるのは前者で、後者の「団地方式」は前述の「悪知恵」の可能性を疑われ、評価に一定の制限がかかると言われています。

「団地方式」のデメリットを知りつつも自社の利益を優先

外部リンクの1つの方法に、知人や取引先、あるいはネットサーフィンで見つけたサイトと交渉し、お互いにリンクを貼る「相互リンク」があります。検索エンジンはこうした「リンクを貼り合っている事情」まで調べることはできませんし、それぞれのサイトの訪問者に新しい情報を提供するという意味では、ホームページの存在価値を高めることができます。

A社長は会員企業に「相互リンク」を勧めており、それをメルマガやブログ、ツイッターで繰り返します。しかし、会員同士による相互リンクはSEO効果の見込めない「美人投票0.2」です。

会員のホームページは1つのIPアドレスで管理する「団地方式」となっており、会員同士の相互リンクは先ほど述べたように「組織票」と見られて「投票」の価値が減額されてしまいます。

2010年夏の参議院選挙における鳥取県の1票に対して、神奈川県が「0.2票」でしたが、私の経験上、同一IPからの相互リンクの一票は「0.2」より低い評価しか得られないのです。

A社長が「団地方式」を採用している理由は「コスト」です。「一戸建て」に比べると驚くほど安価。つまり、自社の利益のために、効果の望めない環境を提供し、効果の低い方法を啓蒙する一種の「詭弁」です。これを裏付けるのがA社長の会社サイトのIPアドレスが「一戸建て」であることです。一票の格差を放置しながら「国民の声」を代表していると叫ぶ政治家と重なります。

続きがあります。A社長の会社のサイトでは「SEOの成功事例」として会員企業が紹介されているのですが、そこから会員のサイトに「リンク」は貼られていません。リンクが「美人投票」なら、お客様に一票を投じるのが礼儀ではないでしょうか。

エンタープライズ1.0への箴言


「効果の低いSEOが堂々と販売されている」

宮脇 睦 (みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)がある。

筆者ブログ「マスコミでは言えないこと<イザ!支社>」、ツイッターのアカウントは

@miyawakiatsushi