大学を卒業して間もない方から、「PG(プログラマ)とSE(システムエンジニア)の仕事はどんなところが面白いと思うか?」という質問を受けました。

PGとSEの仕事に感じる面白みは人によって様々ですが、私なら、「様々な会社の中に入り込んでカルチャーを感じられること」を挙げたいと思います。

IT業界の仕事はプロジェクト単位で行うものが多く、多くのPGやSEは複数のプロジェクトを経験しながら成長することになります。一般的に、プロジェクトが変わるとクライアントも変わりますから、これは複数のクライアントのカルチャーに触れる機会が多いということでもあります。

例えば、トヨタに入社した人はずっとトヨタの空気(カルチャー)の中で仕事をすることでしょう。しかし、富士通に入社して自動車部門のSEになれば、トヨタのプロジェクトに参加することもあれば、日産のプロジェクトに加わることもあります。もしかしたらフォードやクライスラーのプロジェクトに参加できるかもしれません。もしくは、製造業という枠組みであれば、三菱重工や新日鉄というクライアントのプロジェクトに入ることもあり得ます。

※具体的なイメージを持ってもらいたいので、いくつか実在の社名を挙げていますが、富士通社にそのようなプロジェクトが実際にあるというわけではありません。まあいくつかは実在するでしょうけど。

クライアントごとにカルチャー(企業理念・文化・風土)が異なりますから、A社での常識はB社での非常識にあたるというケースも散見します。

システムに問題が生じてITサービスが止まってしまった場合、普通は「障害」と表現しますが、NTT系列の会社では差別的表現であるとして「故障」という表現を使います。これはカルチャーギャップの典型例でしょう。

他にも、新興企業と老舗企業では意思決定のスピードの違いを顕著に感じることが多いですし、公共サービスに近い業務を担うクライアントであれば、官公庁とのネゴシエーションも発生するという具合に、本当に色々なカルチャーがあるのだと実感します。ゆえに、私はプロジェクトが変わることを擬似的な転職と捉えています。プロジェクトを多く経験している人は総じて考えが深く、より客観的な視点で物事を判断できます。

PG・SEのそんなエキサイティングなところが私は好きです。

著者紹介

吉澤準特 (ヨシザワジュントク)

外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。

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この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。