Android Studioとは?

図1 : Android Studioの起動スプラッシュ

Android Studioは、2013年5月15日サンフランシスコで開催されたGoogleの開発者向けイベントGoogle I/O 2013で発表された新たなAndroid用のIDEだ。

これまでGoogleは、Android用の開発ツールとしてEclipse向けにADT(Android Developer Tools)というプラグインを提供してきたが、Android StudioはJava IDEの老舗として人気の高いIntelliJ IDEAのオープンソース版であるCommunity Edition(以降 IntelliJ CE)をベースとしており、無償で使用することができる。IntelliJは有償の上位版にも根強いファンを持つほどその使いやすさに定評のあるIDEで、もちろんAndroid Studioでも、IntelliJの基本的な機能をそのまま利用することができる。

今回はこのAndroid Studioについて見ていきたい。なお、Android Studioは本校執筆時点ではまだ早期アクセス版となっている。

Android Studioのインストール

Android Studioは、以下のURLからダウンロードできる。なお、Android Studioの動作にはJDKが必要になるので事前にインストールしておくこと。

http://developer.android.com/sdk/installing/studio.html

ADTと異なり別途Android SDKをインストールする必要はない。Android Studioだけで開発を始めることができるというのはお手軽だ。

Android Studioの主な機能

Android Studioを起動すると、まず図2のようなウィンドウが表示されるので「New Project...」を選択して、プロジェクトを作成する。

図2 : 起動直後に表示されるウィンドウ

図3 : 新規プロジェクトの作成

Android Studioの最大の特徴はドラッグ&ドロップでコンポーネントを配置可能なGUIデザイナだろう。様々なサイズの端末での見た目を確認することもできる。ただし、GUIデザイナ上でコンポーネントの配置をいじっていると不意に思いもよらないレイアウトになってしまったりなど、思い通りにコンポーネントを配置するには少々慣れが必要かもしれない。また、画面サイズを選択してプレビューすることが可能なほか、複数のデバイスでの表示を並べて同時にプレビューすることも可能だ。

図4 : GUIデザイナ

図5 : 複数デバイスでの表示を同時プレビュー可能

なお、プロパティビューなどではデフォルトでは日本語が文字化けしてしまう。これはIntelliJ CEでも同様なのだがデフォルトのテーマで使用しているフォントの問題だ。「File」メニューの「Settings」から「Appearance」を選択し、「Theme」に「Windows」などを選択することで解消できる。

アプリケーションは実機もしくはエミュレータでの実行・デバッグが可能だ。ツールバーからAVD Manager、SDK Manager、DDMSといった補助ツールを起動できる。このあたりは、ADTに慣れていれば特に問題なく使用することができるだろう。また、ログだけであればDDMSを起動せずAndroid Studio内蔵のビューで確認することもできる。

Eclipseからの移行

もちろん従来のEclipseベースのADTからの移行パスも用意されている。

まず、ADTを22.0以上にアップデートしたうえでEclipseのエクスポートウィザードからAndroidを開き、Generate Gradle build filesを選択することでEclipse上で開発していたAndroidプロジェクトをGradle形式でエクスポートすることができる。あとはAndroid Studio側でエクスポートしたプロジェクトをインポートすればよい。

IntelliJ CEとの違い

実は、従来のIntelliJ CEでもAndroidアプリの開発を行うことは可能だ。

図6 : IntelliJ CEのAndroid開発機能

ただし、現在の最新版であるIntelliJ CE 12ではプロジェクトのビルドがAntベース(Android StudioがGradleでビルドを行っている)などいくつかの差異があるものの、Android StudioがベースとしているIntelliJの次期バージョンではAndroid Studioと同等の機能が搭載される見込みだ。

Android StudioはAndroidアプリの開発に特化したIDEだが、IntelliJ CEは汎用的なIDEであるためAndroid開発以外にも使用できるというメリットがあり、今後IntelliJとAndroid Studioのどちらを選ぶべきかは悩ましいところかもしれない。

まとめ

実際のところ、Android開発という点に関していえばIntelliJ CEとAndroid Studioは同等であり、今後の棲み分けも不透明だ。とはいえAndroid Studioは本家Googleからリリースされるだけに、今後のAndroid開発はAndroid Studioが主流になっていくことは間違いないだろう。

従来のEclipseベースのADTには使いにくいという批判も多かったが、IntelliJベースとなることで改善されるのだろうか。Androidアプリ開発者はその動向に注目だ。