Eclipse 4.x系が初のメインストリームに

2012年6月27日(現地時間)、Eclipseの最新版となるEclipse Juno (Eclipse 4.2)がリリースされた。これまでEclipseは、従来の3.x系と次世代版である4.x系が並行して開発されていた。前バージョンであるIndigo (Eclipse 3.7)までは3.x系がメインストリームだったが、今回のJuno (Eclipse 4.2)からは4.x系がメインストリームとなっている。

図1 : Eclipse 4.2のスプラッシュスクリーン

Eclipse 4.2ではメジャーバージョンが上がっているだけのことはあり、ユーザインタフェースも一目見ただけでそれとわかるほど大きく変更されている。本稿ではEclipse 4.2の新機能のうち、ワークベンチの新機能について紹介する。

なお、Junoに対応した3.x系の最新版となるEclipse 3.8についてはこちらからダウンロードできる。

Junoで提供されるパッケージ

Eclipse.orgでは、用途にあわせてプラグインを組み合わせたパッケージが提供されているが、Junoでは以下のパッケージが用意されている。

表 : Junoで提供されるパッケージ ◎ソースも含む ○含む △部分的に含む

Indigo時代と比べるとJavaScript向けのパッケージが廃止されたほか、XtextやXtend (本連載の第118回参照)を含むAutomotiveパッケージが追加されている。また、一部のパッケージにEclipse Code Recommendersというよりインテリジェントなコード補完機能を提供するプラグインが追加されている。

なお、GitやMavenのサポートを提供するEGitやMavenはJavaEE向けのパッケージには相変わらず含まれておらず、利用する場合は別途インストールする必要があるので注意して欲しい。

大きく変更されたルック&フィールとワークベンチの新機能

まず大きく異なるのがそのルック&フィールだ。Eclipse 3.0がリリースされたのが2004年なので8年ぶりにリニューアルされたことになる。とはいうものの、メニュー構成や基本的な操作方法については変わっていないため、実際に使ってみると見た目の変化ほど違和感はないはずだ。

図2 : Eclipse 4.2のワークベンチ

また、ワークベンチ上のビューやエディタの配置の自由度が向上している。Eclipseのワークベンチはウィンドウ中央にエディタ領域があり、それを取り囲むようにビューを配置することができたが、エディタはエディタ領域、ビューはビュー領域にしか配置できなかった。これに対し、Eclipse 4.2ではビューをエディタ領域に配置したり、エディタをビュー領域に配置することができるようになった。情報量の多いビューをエディタ領域にスタックすることで表示領域を確保したりといった使い方が可能だ。

図3 : ビューをエディタ領域にスタックしたところ

また、エディタやビューをドラッグすることでワークベンチから分離したフローティングウィンドウにすることができるようになった。デュアルディスプレイ環境でEclipseを使用する場合に一部のビューをサブディスプレイに配置しておくといった使い方ができ便利だ。

図4 : エディタやビューをフローティングウィンドウにできる

ワークベンチでのもう1つの大きな変更点がツールバーに配置された検索ボックスだ。この検索ボックスからはアクションやビュー、ウィザードなどEclipseの様々な機能を横断的に検索して呼び出すことのできるクイックアクセスが呼び出せる。クイックアクセス自体はこれまでのバージョンのEclipseでも実装されていたものの、アクセスしやすい場所に検索ボックスが配置されたことで利用する機会が増えるのではないだろうか。

図5 : クイックアクセス

まとめ

機能的にはすでに完成されており細かい改善の多いEclipseだが、4.2ではルック&フィールが一新されたことで久々に新鮮な気分で利用できるのではないだろうか。また、Eclipseの日本語ディストリビューションとして定番のPleiadesもすでにJunoに対応したバージョンがリリースされているので日本語で利用したいというユーザはこちらを利用するといいだろう。

次回はEclipse 4.2の新機能のうち、主にJava開発に関連するものを紹介する予定だ。