Perl向け開発環境とPadre

Perlのようなスクリプト言語の開発環境はテキストエディタを用いる開発者が多いのではないだろうか。Perl向けの開発環境としてはこれまでにもKomodoやEPIC(Eclipseプラグイン)などがあったが、動作が緩慢・不安定であるなどの理由で広く利用されているとは言い難いのが実情だ。

PadreはPerl向けの開発環境の1つで、IDEというよりはテキストエディタに近い。最大の特徴はPadre自身もPerlで書かれており、Perlによるプラグインで拡張可能という点だ。

図1 : PadreのWebサイト

PadreはGUIツールキットとしてwxWidgetを使用しており、様々なプラットフォーム上で動作する。Windows向けのインストーラ(Windows用のPerl実行環境であるStrawberry Perlも含まれている)が用意されているほか、UbuntuやFeroraといったLinuxディストリビューションでもパッケージ管理システムを使用して簡単にインストールすることができる。

Padreの基本機能

PadreはPerlスクリプトの強調表示(Perl以外にも様々な言語に対応している)やアウトライン表示、構文チェック、TODOタグの表示といった機能を備えている。[F2]キーでPerlのマニュアルからキャレット位置の単語を検索することもできる。ただし、IDEでは一般的なコードアシスト機能は提供されていない。あくまでPerlスクリプトの編集をサポートするテキストエディタの延長という位置付けだ。

図2 : Padre

スクリプトの実行のほか、デバッグを行うことも可能だ。デバッガはいったんデバッガを起動してからでないとブレークポイントを設置できなかったり、参照したい変数を[Debug]メニューから1つずつDebuggerビューに登録する必要があるなど使い勝手はよいとは言えないが、簡単なスクリプトのデバッグには役立つだろう。

Debuggerビューでは登録した変数の値を参照することができるが変数の書き換えを行うことはできない。ただし、任意のスクリプトを評価することができるので、この機能を利用して変数の書き換えを行うことができる。

また、Pardeは簡易的なリファクタリング機能も備えており、[Refactor]メニューから変数のリネームやサブルーチンの抽出などを行うことが可能だ。

プラグインによる拡張

冒頭でも述べたとおり、Padreはプラグインで機能を拡張することができる。Padreにはあらかじめいくつかのプラグインが付属しており、[Tools]メニューの[Plug-in Manager]で表示されるプラグインマネージャで有効にすることができる。

図3 : プラグインマネージャ

たとえばPerl Tidyプラグインを有効にすると[Tools]メニューに以下のような項目が追加され、ソースコードのフォーマットを行うことができるようになる。

図4 : Perl Tidyプラグインのメニュー

PadreのプラグインはCPANからインストールする必要があり、利用可能なプラグインの一覧は[Tools]メニューの[Plug-in Tools]-[Plug-in List]で参照することができる。らSubversionやGit、Mercurialなどを使用するものなど、様々なプラグインが存在する。

図5 : 利用可能なPadreプラグインの一覧

まとめ

Pardeは動作も軽快でテキストエディタの代わりとして気軽に使用することができる。コードアシスト機能が提供されていない点は残念だが、構文チェックやリファクタリング、デバッグといった機能はPerlスクリプトを記述する際に役立つだろう。

なお、本稿では執筆時点の最新版を使用したが、CPANモジュールのインストールを行おうとしたり、エディタの文字コードを変更しようとするとPadreそのものが終了してしまうなど、筆者の環境ではやや不安定な面も見受けられた。また、Padreのユーザインタフェースは一部を除いて日本語化されており、日本語を含むPerlスクリプトを編集することも可能だが、エディタ上で日本語のインライン入力を行うことはできない。利用にあたってはこれらの点に留意して欲しい。