テキストエディタでプログラミング

本連載ではこれまでさまざまなIDEを紹介してきたが、IDEは高機能な反面、起動や動作は重く、スクリプト言語やソースコードや設定ファイルのちょっとした修正の場合はテキストエディタを利用するという開発者も多いことだろう。今回は、Windowsで利用できる代表的なプログラミング向けテキストエディタの中から、無償で利用可能なものを紹介する。

TeraPad

TeraPadはシンプルなSDI型のテキストエディタだ。強調表示や行番号表示といった基本的な機能は提供されているものの、後述するテキストエディタと比較すると機能面では見劣りする。しかしその分シンプルで扱いやすく、動作も軽快だ。「Windows標準のメモ帳に不満を感じていて変わりになるようなエディタを探している」という方におすすめだ。

図1 TeraPad

外部ツールを登録することができ、これである程度機能の不足を補うことが可能だ。任意の外部コマンドを呼び出すことが可能だが、有志の手によってTeraPadでの利用を前提としたツールも多数公開されている。VectorのTeraPadカテゴリを参照してほしい。

サクラエディタ

サクラエディタはオープンソースのWindows用テキストエディタで、プログラミング向けのさまざまな機能を提供している。デフォルトではSDI型のアプリケーションだが、オプションでタブ表示型にすることもできる。様々な言語の強調表示やアウトライン解析に対応しているほか、キーボードマクロはもちろんWSHによるマクロやテキストの差分表示といった機能を搭載している。

図2 サクラエディタ

高機能でカスタマイズ可能な範囲も広いが、比較的扱いやすいテキストエディタといえるだろう。文章の記述からプログラミングまで様々な用途に活用することができるだろう。

Meadow

MeadowはUNIX環境で代表的なテキストエディタであるEmacsをWindowsに移植したものだ。Emacsはその強力な編集機能や、Emacs Lispによる豊富な機能拡張を利用することで、ビルドやデバッグまで行えるIDEとして利用できるほど高機能なテキストエディタだ。拡張機能しだいではWebブラウザやメーラとしても利用することができるなど、もはやテキストエディタの枠には収まらない。ヘビーユーザはEmacsを何日も起動したまま、1日の作業のほとんどをEmacs内で済ませてしまうことも可能だという。

図3 Meadow

一般的なWindowsアプリケーションとは操作性が大きく異なるが、UNIX環境でEmacsを使い慣れているユーザにはおすすめのテキストエディタだ。Cygwinなどを併用することでWindows上でもUNIX環境に近いプログラミング環境を構築できるだろう。

xyzzy

xyzzyはWindows上で動作するEmacs風のテキストエディタだ。操作方法はEmacs風だが、Meadowと比較して「Windowsとの親和性が高い」「拡張をEmacs LispではなくCommon Lispで行う」といった違いがある。

図4 xyzzy

xyzzy固有の機能としては、とくにキーボードのみで操作可能な2画面ファイラが非常に便利だ。有志によって公開されている拡張機能については、Emacs/Meadowと比べると質/量ともに見劣りがする感が否めないが、Windows環境との親和性を取るならxyzzyという選択肢も充分に考えられる。ただしデフォルトでは一部Emacsのキーバインドと異なる部分があるため、Emacsを使いこなしているユーザにとってはxyzzyに違和感を感じる部分もあるかもしれない。

まとめ

ふだん、プログラミングにEclipseなどのIDEを利用している開発者でも、テキストエディタを利用しないということはないだろう。今回紹介したテキストエディタはいずれもプログラミング向けテキストエディタの中でも比較的高機能であり、マクロや拡張機能を導入することによってIDE風に利用することも充分に可能だ。このほかにもWindows環境で動作するテキストエディタにはさまざまなものがある。読者の皆さんもぜひ自分の使いやすいテキストエディタを見つけてほしい。