Flashの開発環境

最近、AIRの登場によってRIAのプラットフォームとしてFlash/Flex(FlexはFlashで一般的なGUIアプリケーションを開発するためのフレームワーク)が大きな注目を集めている。Flash/Flexの開発にはAdobeの提供するFlash CS3やFlex Builderといった統合開発環境を利用するのが一般的だが、オープンソースのIDEもいくつか存在する。今回はFlash/Flexでの開発をサポートするオープンソースのIDEとしてFlashDevelop、ASDT、AIR GEARの3つを紹介する。

FlashDevelop

FlashDevelopは.NETプラットフォーム向けに開発されたActionScriptの統合開発環境だ。本稿執筆時点での最新バージョンは3.0.0beta4となっている。

図1 FlashDevelop

最新のActionScript 3.0のほか、FlexやhaXeにも対応している。haXeはJavaScriptに似た言語で記述したソースコードからWebブラウザ上で動作するJavaScript、Flash、NekoVMという独自のVMで動作するバイトコードを生成することができるというものだ。FlexのサポートについてはMXMLのタグのコード補完が可能というレベルで、Flex Builderのように画面のデザインをグラフィカルに編集するということはできない。しかしFlashDevelopはSWFファイルのプレビュー機能を備えているため、すぐに画面デザインを確認することが可能だ。

FlashDevelopは動作も軽快でプラグインによって機能を拡張することもできる。Windows環境であれば一押しの開発環境といえる。

ASDT

ASDTはEclipseプラグインとして動作するActionScriptの開発環境だ。本稿執筆時点での最新版は 0.0.9となっている。現在のところActionScript 3.0には対応していないものの、将来的には対応する予定とのことだ。

図2 ASDT

ActionScript のコード補完やエラー検出、SWFファイルの作成およびプレビューといった機能がサポートされている。特にソースコードのエラーについてはエディタでの編集中にリアルタイムに検出することが可能なほか、SWFへのコンパイルもソースコードの保存時に自動的に行われるなど、明示的にビルド操作を行う必要がない点はEclipseベースのIDEらしい特徴といえる。

ASDTはActionScriptでの開発に特化しているため、前述のFlashDevelopと比較するとFlexがサポートされていないなど若干物足りない部分もある。だがEclipseプラグインとして実装されているため、Eclipse本体が提供する機能や、サードパーティ製の豊富なプラグインの機能を組み合わせて利用できるというメリットがある。

AIR GEAR

AIR GEARはProject Amaterasが開発しているAIR開発専用のEclipseプラグインだ。AIR GEARは現在開発中であり、利用するにはSubversionからソースコードをチェックアウトしてビルドする必要がある。

図3 AIR GEAR

AIR GEARの最大の特徴は、Flexの画面デザインをグラフィカルに編集することができるという点だ。また、インクリメンタルビルドによる MXML/ActionScriptのエラー検出機能やAIRパッケージのエクスポート機能などを備えている。しかしActionScriptの編集機能は強調表示がサポートされているのみで、お世辞にも充実しているとは言い難いのが現状だ。将来的にASDTがActionScript 3.0をサポートするようになれば、そちらと組み合わせて利用するのも1つの手だろう。

気軽にFlash開発にトライしてみよう

AdobeはFlex SDKとしてFlexのコマンドラインコンパイラなどを提供している。最新のFlex3 SDKはまだベータ版であるが、将来的にオープンソース化される予定となっているほか、オープンソースのActionScript2コンパイラであるMTASCも存在する。これらのツールを利用すればテキストエディタでMXMLや ActionScriptを記述することでFlex/AIRでの開発を行うことも可能だが、今回紹介したように統合開発環境も無償でそろえることができる。

たしかに今回取り上げたオープンソースの開発ツールを商用のFlex Builderなどと比べると、「画面をビジュアルに作成することができない」「デバッグがサポートされていない」など機能面で制約があるのは事実だが、それでも気軽にFlashでの開発にトライできるという意味ではこれらのツールの存在は歓迎すべきといえるだろう。

なお、オープンソースの Flash/Flex開発ツールとしては、今回紹介したもの以外にもクロスプラットフォームで動作するActionScriptエディタSE|PYやFlexの画面をグラフィカルに作成するFLEXibleなども存在する。Flashでの開発にもオープンソースの開発ツールを役立てていただければ幸いだ。