クリエイターを目指している皆さん。これから一緒にFlashを始めてみませんか。この連載では、Flashの機能を少しづつ学んでいく予定です。まず今回は、Flashとは何なのかという部分から解説していきたいと思います。

Flashとは

Flashという言葉について、改めて整理してみましょう。現在、Flashという言葉は、Adobe systemsのオーサリングソフト「Adobe Flash CS4」や、そのアプリケーションで作成されブラウザで再生されるSWFファイルのことを指します。「このWEBサイトにはFlashが使われている」、「FlashでWebコンテンツを作る」というように使用されています。また、各ブラウザ用にプラグイン形式で配布されている再生エンジンは「Adobe Flash Player」と呼ばれています。Flashには、オーサリングツールで編集するFLAファイルと、FLAファイルから書き出されたSWFファイルがあります。SWFは、オープンなフォーマットのため、これを作成するオーサリングツールはAdobe Flash以外にもありますが、この講座では、オーサリングツールとしてAdobe Flashの使い方を取り上げてきます。

Flashの歴史

ここで、オーサリングツールとしてのFlashの歴史を見ていきましょう。

登場年 ツール名
1996年 Future Splash Animator(Macromedia Flash1)
1997年 Macromedia Flash2
1998年 Macromedia Flash3
1999年 Macromedia Flash4
2000年 Macromedia Flash5
2002年 Macromedia Flash MX
2003年 Macromedia Flash MX2004、MX professional 2004
2005年 Macromedia Flash8、Professional8
2007年 Adobe Flash CS3 Professional
2008年 Adobe Flash CS4 Professional

Flashの最初のバージョンが開発されたのは1996年で、FutureWave SoftwareのFuture Splash Animatorにまで遡ります。やがて、それはMacromedia社に買収されます。日本語版で最初に出たFlashバージョン1は、実際には、英語版に簡易日本語マニュアルをつけて発売したというものでした。そのため、この製品は日本語版でありながら、日本語を使用することができないバージョンだったのです。

「FLASH日本語版」(簡易マニュアルつき)

ところで、当時Macromediaは、CD-ROMオーサリングツール「Director」をWebで再生させる技術、Shockwaveを開発しており、FlashはmacromediaにとってWeb戦略に欠かすことができない製品でした。ちなみに、SWFファイルのSWFとは、「Shockwave Flash Object」のことです。

Flash2がリリースされた当時は、プラグインも手動インストールが当たり前で、Flashには、ActionScriptというプログラミング言語もなく(※アクションという機能はありました)、音を埋め込むことはできませんでした。「Flash3」でムービークリップという概念が導入され、ActionScriptが使用できるようになったのです。

その後、登場した「Flash4」では、プログラミングができるレベルのActionScriptが搭載されました。このようにFlashは順調にバージョンアップを重ねてきましたが、2005年12月発売の「Flash8」を最後に、macromediaはAdobe systemsに買収され、以後、Adobe Flashとして、現在までバージョンを重ねていくことになります。

Flashが得意なこと

ところで、Webをよく見る方であれば、必ずどこかのサイトでFlashコンテンツを見ているはずです。Flashコンテンツはアニメーションから、メニューボタン、バナー、ブログパーツなどから、Webアプリと言われる複雑なコンテンツまで多彩です。

オンラインビデオ共有サービスのYouTube

無数にあるwebサイトの中でも、Flashを使ったサービスで有名なのは、YouTubeではないでしょうか。YouTubeのビデオは、FlashVideoというFlash専用のビデオフォーマットが使用されています。また、携帯電話のブラウザの中でもFlashの軽量版であるFlash Liteが動作します。また、アニメーション機能だけを見ると、Webだけに留まらずTV放送などでも利用されるようになりました。Webブラウザの中だけで動作したFlashを、Adobe AIR(※Adobe AIRとは、Adobe Integrated Runtimeの略で、AIR用に書き出されたFlashコンテンツが動作する専用の環境です)用アプリケーションに変換することでデスクトップで動作するようになります。

この講座で学んでいくこと

このような歴史からもわかるようにFlashは、元々アニメーションツールでした。そのため、アニメーションの作成機能は秀逸です。この講座でも、初歩からFlashアニメーションを作成していきたいと思っています。また、時代が変化するにつれ、ActionScriptというプログラミング言語が注目されるようになってきました。現在は、ActionScriptは、1.0/2.0から3.0までバージョンアップしています。ActionScriptについても、基礎から応用まで、解説していく予定です。この講座があなたのFlashクリエイターへの入り口になれば幸いです。

伊藤のりゆき(NORI)
有限会社トゴル・カンパニー代表。オーサリングエンジニアとしてFlashとMovable Typeでの制作を中心に活動。ロクナナワーク ショップ講師、アックゼロヨン審査員、ライターとしてFlash関連書籍や雑誌記事の執筆を行うなど、幅広く活動している。また、写真家としての顔も持つ。フォトブログ「Snap || Nothing」はこちら。